海人の深深たる海底に向いてー深海の不思議ー

地球上の7割を占める海。海の大半は深海。深海生物、潜水調査船など素晴らしい深海の秘蔵画像を紹介。奇抜・奇妙な姿に驚愕!!

女性ダイバーの活躍

2015年07月03日 | 日記
  米海軍など女性ダイバーの活躍
                   山田 海人

 十数年前、カリフォルニアにあるオーシャニヤリング系のコマーシャルダイビングセンター(現在はNational Polytechnic College of Science)を訪問した折、混合ガスコースに女性ダイバー研修生がいました。それほど大きな身体でもありませんでしたがハードハットを装備してプールへ飛び込む姿にパイオニアスピリットを感じました。当時は石油・天然ガス採掘の現場で活躍する男性ダイバーを目指して体育会系の若者が混合ガス潜水を学んでいたので女性なのに大丈夫なのかと心配したのを覚えています。

 深海潜水を経験するには他給気潜水器、それも重たいヘルメット、ウエイト、それに重たいウェイトシュースを装備します。米海軍のマークⅤ潜水器は90キロを超えていますので潜水ステージで吊りあげられての潜水になります。このように深海潜水のダイバーになるには屈強な若者のみが修了できる特別な資格でした。ちなみに米海軍のダイバーの平均身長182センチ、体重80キロと言われています。

 最近では厳しい訓練で知られる米海軍のダイバーにも女性の進出が目立ちます。米海軍の深海潜水コースを卒業してマスターダイバーと呼ばれる唯一の女性ダイバーがいます、その名はメアリー・ボーニンさんです。米海軍に入隊して、空気潜水、混合ガス潜水の資格を得て、更に多くの潜水作業を経験して海軍のマスターダイバーにまで昇りつめた方です。ダイバー歴が二十数年あってこれまで1,000人以上もの海軍のダイバーを訓練してきました。米海軍ではメアリー・ボーニンさんの存在を称えて海軍のアンダーシーミュージアムにはメアリーさんの特別展示室を設けているほどです。

 米海軍のダイバーにはマスターダイバー以外にも次々と優秀な女性ダイバーが誕生しました。これまでは“女性だから、それはできない!”と回避していたことも男性と同様に行うようになりました。そして最初に女性深海ダイバーとなったのはドナ・トビアスです。1975年に他給気混合ガスのハードハット(マークⅤ)をかぶっての潜水研修を修了して深海ダイバーになったものです。ウェイトシュースは両足で25キロ、胸のウエイトは45キロ、ヘルメットなど20キロを装備しての潜水作業を行ってきたのです。女性ダイバーとしてエンジニアリングのトップとなった女性ダイバーもいます。ダイアン・カレン・リンは1977年に海軍に入隊し、土木部門の部署に勤務した後、83年に海軍の深海潜水コースを卒業、飽和潜水ダイバーの資格を得ました。そしてダイアンは水中土木の技術とダイバーの経験をいかして海中工学の専門家となりました。最後の海軍の任務では250人のダイバーとエンジニアのトップとなって2000年まで活躍しました。その後、海軍を退官してマリン・テクノロジー。ソサエティーの副会長に就任し、現在ではバージニア大学で土木工学を教えています。

 また、女性初の米海軍サルベージのスーパーバイザーに就任したのはバーバラ・ボビー。ショウリ―です。バーバラは1996年のTWA800便のサルベージ、2000年にCOLE爆撃機のサルベージなど2002年まで多くの作業で指導的役割を担い、女性初のスーパーバイザーとなりました。サルベージ作業をエンジニアリングとして捉え、更にダイバー作業を安全に行って、目的を達成するという責任の重いスーパーバイザー、これを成し遂げたのですから素晴らしい才能の持ち主です。2005年に海軍を退任しましたがイリノイ州立大学からサイエンスの名誉博士号を与えられました。海軍にはまだまだ書き足りないほど多くの才能あふれる女性ダイバーがいます。

 サイエンスの分野でも女性ダイバーが活躍しています。1970年に行われた海底居住実験テクタイト計画ですが1つのミションでは女性だけのチームが海底居住を経験しました。そのリーダーであったシルビア・アールは海洋生物学者で潜水調査船「アルビン」をはじめ、大気圧潜水服「ジム」でも深海へ潜水するなど活躍しています。また、もっと深海へ行きたいと「アルビン」のパイロットになってしまったシンデイー・バン・ドーバーは熱水噴出孔と化学合成生態系のエキスパートで現在はデューク大学の教授です。
サメの研究家で日本人の血を受け継ぐユジニー・クラークはスクリップス海洋研究所の研究に貢献しています。2003年のスペースシャトルコロンビアの事故で亡くなったローレル・クラーク宇宙飛行士も飽和潜水ダイバーであり、海軍の潜水医官としても活躍しました。

 他にも潜水機材販売会社として有名なDUI社のスーザン・ロング社長やカービィー・モーガン潜水器会社のコニー・リン・モーガン社長も女性ダイバーの経験をいかして潜水業界で活躍しています。
 今回、ここに紹介した女性ダイバーの方々を見ていますと、モチベーションが高く、知的で、活動的で、チャレンジ精神が旺盛な方々です、何かキラキラと世の中を明るくしているような存在でした。
                             おわり



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