海人の深深たる海底に向いてー深海の不思議ー

地球上の7割を占める海。海の大半は深海。深海生物、潜水調査船など素晴らしい深海の秘蔵画像を紹介。奇抜・奇妙な姿に驚愕!!

世界最深のプール

2015年06月19日 | 日記
新しく完成したプールは水深33mもある。ダイビング用にはもってこいだ。ダイバーの訓練、機材の確認などに利用できる。 情報では中国が水深100mのプールを計画していると言う。

人間の水中活動

2015年06月08日 | 日記
        人間の水中活動
                  海洋科学ライター 山田 海人

 私達人間は「陸上を歩く哺乳動物」であり、空気(窒素80%、酸素20%)を呼吸(20/min)し、海抜0m(1気圧)から海抜5500m(0.5気圧)で生活している。一方、海に適応した哺乳動物であるクジラ・イルカは同じ空気呼吸しながら海面を猛スピードで泳ぎ、眼は水中と空中でも見え、音波を出して仲間との会話やエコーロケーション(音響探査)して海中の様子、獲物の存在を把握している。さらに優れた潜水能力(マッコウクジラ水深3000m、シャチ1000m、イルカ300mなど)を持っている。
 人間は水中に入ると、裸目では水中の像が網膜で結ばずぼやけて見えない、冷たい水温で体温が保てない、空気を吸わない息こらえはせいぜい1分ですぐに苦しくなる、水面を泳ぐ速さは競泳選手でも4ノット(2m/sec)ですぐに疲れてしまう。このように人間は水中活動には適していない。
 しかし、海中には豊富な魚介類があって昔から一部の人間(海女・海士)は潜って漁を行っていた。海女・海士が水中でモノがはっきり見える水中メガネを使うようになったのは国産のガラスが製造できるようになった明治20年ごろからである。 その後、欧米からヘルメット潜水機が輸入されて魚介類の捕獲、港湾土木など水中活動は増えていった。現在では化石燃料の石油・天然ガス採掘現場、パイプラインの修理、落下物の回収、救難現場、原子力発電所の原子炉などでダイバーが活躍している。
 空気潜水の限界:ダイバーは潜っている水圧(水深10m毎に1気圧)と同じ圧力の空気(窒素80%、酸素20%)を吸うが30m付近から窒素酔いが生じ、50m以深では泥酔状態に近くなってしまう。一方、純粋な酸素(100%)を24時間吸うと肺炎になるが水深10mを超える水中では酸素中毒(ケイレン、気絶など)が起こる。さらに身体に溶け込んだ圧力空気により潜水病の危険が生じる。このため、水深50m以深に潜るにはヘリウム・酸素の混合ガスを呼吸ガスにしている。
エピソード:欧米を超えた潜水技術 1925年地中海の水深91mに沈む「八坂丸」から片岡弓八は23億円もの金貨をすべて回収し、欧米のダイバーが挑んでもできなかった水深からの快挙だった。
海底に住む:昭和43年から海洋開発の一環で科学技術庁が「シートピア(海底居住実験)」を始め、4人のダイバーが30m、60mの海底居住を行った。海底で湯沸かし器を使うと10mで120℃、100mでは180℃で沸騰しヤケドの危険があった。
深海潜水システム(SDC/DDCシステム):その後、100mから300mまでの大陸棚での人間の水中活動のため、深海潜水システムの開発、実証実験が行われ、私はダイバー、潜水班長として実験に参加し、水深300mまでの潜水を体験した。 300mの潜水では身体に30気圧もの圧力がかかり、呼吸ガスの密度は大気の7倍にもなった。海中の水温は6℃と冷たく温水加温服で指先まで温めての2時間作業だった。300mまでの加圧時間は10時間、減圧時間は13日間もかかった。この技術は海上自衛隊の水深500mまでの潜水艦救難システムに技術移管された。

エピソード:1929年世界初の潜水調査船は西村式豆潜水艇(水深200m)
でビービー・バートンの潜水球が310m潜水した前年だった。
潜水調査船:JAMSTEC(海洋研究開発機構)ではダイバーによる深海潜水に加えて、大気圧状態で深海を調査する潜水調査船の開発を行い、「しんかい2000」、「しんかい6500」システムを建造、運航して日本近海、世界の深海域を調査している。 「しんかい6500」システムは3人乗り(パイロット2名、観察舎1名)で直径2mの耐圧殻の中で8時間滞在し、海底を観察する。最近では女性研究者も潜航している。
海外の有名な海洋研究所は6000m級の泉水調査船を運航して太平洋、大西洋、インド洋など調査し、海洋科学に貢献している。
深海の聖域への挑戦:世界最深部はマリアナ海溝10911mで、1960年ガソリンを浮力にした「トリエステ」(二人乗り)が潜航に成功した。また最近では2012年アバターの映画監督ジェームス・キャメロンが一人乗り潜水調査船ディープシーチャレンジャーにより10.900mに潜航して海底の様子を3Dカメラで撮影した。
大気圧潜水服システム;関節構造の多いい潜水服タイプの潜水装置で服を着るように中に入り脚の動き、腕の動きだけで海中作業する。 なかでもADS2000(600m潜航可)は米海軍が潜水艦救難システムとして採用され、その機能が高く評価された。
相模湾の海:私達の住む鎌倉の前の海は相模湾です。相模湾の最深部は1600mで大部分が水深200mより深い深海です。深海には発光器官を持った深海魚、奇抜な顔をした深海魚などが生息し、由比ヶ浜で生きたチョウチンアンコウが打ち上げられたこともあります。
海:地球にある「水」の97%は海にあります。地球表面の7割は海で海の平均水深は3800mにもなります。 地球初の生命誕生は深海の温泉(熱水噴出孔)のブラックスモーカー付近と言われ、「母なる海」とも呼ばれています。          おわり