海人の深深たる海底に向いてー深海の不思議ー

地球上の7割を占める海。海の大半は深海。深海生物、潜水調査船など素晴らしい深海の秘蔵画像を紹介。奇抜・奇妙な姿に驚愕!!

欧米人の書かない捕鯨問題

2012年07月21日 | 日記
欧米人の書かない捕鯨問題
               山田 海人
 親しみを感じるクジラやイルカは私達と同じ哺乳動物で温かい体温とおへそや乳頭ももっている。 日本でいえば江戸時代に欧米ではとんでもないクジラの殺戮を行って絶滅に追い込んでいった。

欧米では16世紀ごろからクジラの油をいろいろな産業で使うようになった。当時の鯨油は灯火用、ろうそく、石鹸、マシン油、潤滑油、革の防水処理、製薬の合成物、火薬など産業革命によって大きな需要が期待される大切な原料だった。

鯨油は樽に入れられバーレル(樽の意味)単位で運ばれ、取引されていた。まるで今の石油取引のようだ。

当時の欧米の照明は鯨油を灯すランプで、街中の街灯(ロンドン市内だけでも100を超えていたようだ)、室内の灯りなど膨大な量のランプがあって、これを灯すために鯨油の需要は高まっていった。 欧米の家庭のランプは鯨油ランプで各家庭は数か所も使っていた。このころ、日本は菜種油の燈明皿を灯していた。このため膨大な量の鯨油を採るために何万頭ものクジラを捕獲していた。しかし市民はこの灯油がクジラの油と知らずに使って罪の意識はなかったという。

鯨油をとるための捕鯨船は米国、英国、ノルゥエーなどが運航していた。具体的な数字は1848年のデータでは米国の捕鯨船は735隻にもなって大西洋、太平洋のクジラを乱獲していた。

当時の捕鯨は原則的に次のように行われていた。捕鯨船はボートを降ろして遊泳しているクジラに銛を刺してクジラを捕り、捕鯨船の船縁に死んだクジラを結びつける。 死んだクジラの皮をはがして皮だけを捕鯨船に取り込む。 クジラの身体はロープを外して海へ捨てられていた。取ったクジラの皮を釜で炊いて鯨油をとる。鯨油は樽に入れて船蔵に保管し用意した樽の数だけクジラを捕続けた。鯨油の入った樽の数は記録されているが、クジラの種類、頭数、大きさ、オス、メスなどの記録は残っていない。 少なくとも捕鯨船の航海日誌には情報が残っていると思うのだが。

つまり欧米の捕鯨ではクジラの種類と捕獲数というより、石油と同じバーレル(樽)で数えていた。 大切な生き物をその油の量でしか数えていなかったということは生き物への敬意が見られない、愚かな行為だ。
当時、家の灯りをともしていた鯨油のことを欧米の市民はクジラから絞り出した油だと知らされていなかったと知識人は言うのだが本当だろうか?だから鯨油を使う時に罪の意識はなかったという。私には言い訳に聞こえてしょうがない。今の欧米市民のようにクジラに対して親しみや思いやりを感じていれば絶滅に追い込んだ捕鯨は行われなかったはずだ。 
クジラが多く生息する極域へ航海できるようになった最近のことだ。1930~31年に欧米41隻の捕鯨船が短期間に3万4千頭ものシロナガスクジラなどを捕獲して絶滅に追い込んでいった。

クジラを救ったのは石油開発だった。アメリカでは1859年ペンシルバニア州で石油の採掘がはじまった。さらに1861年の南北戦争で捕鯨に出動する機会が減ってきた。20世紀になって石油の採掘量が増え、鯨油の価格が下がり過激な捕鯨活動は抑えられてきた。

英国の自然保護 英国やドイツは牧畜のために生息していたクマを300年ほど前に絶滅させた経緯がある。日本は今でもクマ2種類と共存している。我々日本人は野生動物と共生の道を歩んできた素晴らしい実績がある、欧米では野生動物に過激な対応をしてきた歴史があって今の自然保護の考えが生まれている。 



竜涎香(りゅうぜんこう)

2012年07月12日 | 日記
浮かぶ金塊とは
 海面にはいろいろなものが浮かんでいて、舳先の見張りは怠れない。外国からの人工ゴミは近年増えるばかりである。そんな中でとても高価な漂流物もある“竜涎香りゅぜんこう”と呼ばれるものだ。
 竜涎香は現在1g20ドルで取引されているちょっと前の金と同等の高価なものである。 またの名を“浮かぶ金塊”と呼ばれているものだ。竜涎香は昔から香料や媚薬、万能薬などとして扱われ、クレオパトラや楊貴妃も使われた超高級なもので、現在でも香水やお香として珍重されている。
 どうして竜涎香が海面を漂っているのだろうか?これはマッコウクジラが排泄した“クジラのフン”なのだ。特殊な油でできているので浮力があり何年も海面に浮いている。マッコウクジラから排泄されて海面で空気に触れて酸化が進む、紫外線を浴びて化学変化を起こすことから長く海面を漂っていたものほど高価で取引されている。短いものでも2~3年、長いものは十数年も漂っていたものもある。
 歯クジラであるマッコウクジラは深く潜水することで知られている。大好物の深海巨大イカ“ダイオウイカ”を探して餌としているのだ。ダイオウイカは大きくなると体長18m重さ1トンにもなり、水深300mから3000mに棲んでいる。
 マッコウクジラはダイオウイカをはじめ大好きなタコ・イカを常食にしているが、タコ・イカには口のところに歯の役目をしているカラストンビがある。硬いキチン質でできているカラストンビは消きずにマッコウクジラの胃や腸を通って未消化物として排泄される。しかし尖った先端はまれに胃や腸 に刺さることがある。 まれに刺さったカラストンビにはやがてクジラの体内から特殊な油が出てカラストンビを包んでいく 。徐々に厚くなってやがて胃や腸から抜けて、排泄物のフンとなり、これが竜涎香となる。こうしてできるので全てのマッコウクジラが排泄するわけではない。捕鯨をしていた頃はマッコウクジラの体内から時折竜涎香が採取されていた。1000頭に1頭にも満たない割合である。
 17世紀の琉球王朝はこの竜涎香の有数な輸出国であった、国をあげて竜涎香を探していたのだ。ウイリアム・アダムス(三浦安針)も那覇で100キロ購入したと書かれた古文書もある。現在マッコウクジラは世界で200万頭も生息している。また、竜涎香を拾って、大金を手にした外国のニュースもある。海面に浮かんでいる怪しい物体を見たら、ちょっと“浮かぶ金塊”竜涎香のことを意識して欲しい、貴方が大金を手にする機会なのかも知れない。

熱水噴出孔のアバウト

2012年07月12日 | 日記
熱水噴出孔のアバウトをまとめたので以下に 紹介いたします。


 これまで熱水噴出孔は1977年に発見されて以来、30年間に約100ケ
所、約550本もの熱水噴出孔が発見され、月に2本のスピードで熱水噴
出孔が見つかっていることになります。

 これまでのもので、最も浅い熱水噴出孔はニュージーランドの水深30
m、最も深いところは水深4,800m(20010年7月)で平均水深は
2,100mです。
 熱水噴出孔のチムニーでこれまで最大の高さはロストシティーにある
55mもの 大きなものです。なかにはオレゴン沖の高さ9mの「ゴジラ」と
名づけら れた有名なものもあります。

 これまで発見された熱水噴出孔の最高温度は大西洋中央海嶺の474℃
です。

 熱水噴出孔は新しい海底ができる太平洋、大西洋の中央海嶺(長さ約
7万4千キロ)にありますが、これまで30年間にその約10%が調べら
れています。今後残り90%が調べられることになりますが、まだまだ未
知の分野ですので、これからも大きな発見が期待されています。


山田 海人
〒247-0062鎌倉市山ノ内309
e-mail:mykaito@mail.goo.ne.jp

メカジキの潜水船への攻撃

2012年07月11日 | 日記
潜水調査船などを攻撃するメカジキ

 攻撃的な性格で知られるメカジキは水中で明るい光や騒音を放つ人工物が嫌いなようだ。これまで潜水調査船が襲われた例として1967年7月6日のALVINの202潜航で水深600mを潜航中に襲われ 、危うくのぞき窓の脇のアクリルプレートに刺さり、電気系統のジャンクション・ボックスを壊されて いる。
 1969年7月18日にメキシコ湾流を漂流調査していたBEN FRANKLINは水深245mで2匹のメカ ジキに襲われ、のぞき窓を狙われた。 
 1994年2月ブラジル沖のパイプラインをメンテナンス中の潜水船が水深240mでメカジキに襲 われた。 
 2005年10月30日には水深150mの石油掘削孔付近をメカジキが時速80キロで突進し、吻を左右に振り回して攻撃してきた。
 2008年にはオーストラリアのDavid Attonborroughs沖のBOPにメカジキが突っ込み、吻でケーブル類を傷つけた、弱ったメカジキはROVで引き離すことに成功した。

山田 海人
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