ムルマンスク便り

-夏の完全白夜、冬のオーロラ- ロシア連邦北西部にあり北極圏最大都市ムルマンスク市(ムールマンスク)の現地情報をお届け。

天文学者トゥロシェンコフ氏 逝去

2023-02-04 18:00:00 | 様々な話題
ムルマンスクの天文学者ヴィクトル・エヴゲーニエヴィチ・トゥロシェンコフ氏が、2023年1月31日に逝去されました。享年60歳でした。

トゥルシェンコフ氏は1962年6月7日、ウクライナのヴィーンヌィツャ州生まれの天文学者。彼がこよなく愛した詩人プーシキンの生年月日と1日違いであることを非常に誇りに思い、また詩人でもありました。

幼少の頃から天文学が好きでしたが、先天性の重い病気を患っていて、彼の運命は常に困難の中にありました。彼のライフワークは主に太陽であり、晴れれば毎日太陽を観察し、研究を続けられました。 そして、現代のようにオーロラ出現予報が精密且つスマホで手軽に入手できる時代じゃなかった頃から独自に研究し、そしてオーロラ出現確率が高いと算出された日には、自宅近くの丘に登り写真に収めるという日々を過ごされていました。

地元の単科大学や学校で天文学を教えたり、子ども天文教室「アルタイル」と地元の天文サークル「オリオン」を創設し愛好家らと共に活動。また全ロシア天文測地学協会ムルマンスク支部の支部長も勤められました。

若干の日本人(留学生や日本語教師の皆さん)とも交流があり、「天文おじさん」「詩吟おじさん」と言って親しんでいました。
また2000年代には、某雑誌の企画で日本のプラネタリウムクリエイター大平貴之氏と対談されたこともありました。

トゥロシェンコフ氏については、弊ブログでも取り上げさせてもらったことがあります。
 ムルマンスク州に大火球落下(2014年4月21日付)
 https://blog.goo.ne.jp/murmansk/e/811a65194f59846a564c727a273ae3ca

海外旅行者のバイブル「地球の歩き方 ロシア編」中の「ムールマンスク」ページで掲載されているオーロラ写真(2016-2017年版にはその写真があります。今はどうなのかな?)は、彼の作品です。
その節は大変お世話になりました。

現地時間2月4日正午に葬儀です。参列してきます。天国で安らかに。合掌。

▼青少年図書館で開催されたオーロラ写真展で在りし日のトゥロシェンコフ氏(2017年4月12日付)

神の洗礼の日

2023-02-01 00:10:30 | ムルマンスク市・街の表情
毎年の伝統行事「クレシェーニエ・ゴスポドゥネ(Крещение Господне)」が、1月18~19日にムルマンスク市北部にあるセミョーノフスコエ湖で開催されました。
神の洗礼の日、とでも訳しましょうか。
以前弊ブログでも何度か取り上げてきました。
分厚く凍てついた湖の氷を切ってスペースを作り、そこで行水()するのです。

どうしてそこで行水することが神の洗礼に関係するのかというと、ゲローエフ・セヴェロモルツェフ幹線道路を挟みこの湖の反対側にドーン

スパス・ナ・ヴァダフ聖堂(Церковь Спас на Водах)が鎮座しているからだとか。
現在は、この聖堂の隣に別の聖堂を建設中。この乱世、もうトニカクホントに ネ申 束頁 み・・・といったところでしょうか。

先ずは司祭による洗礼式。そして参加者は、女性は湖畔にある木造小屋(セイウチの家、という名前らしい)で、男性は近くの仮設テントで水着に着替えます。その後、このクソ寒い中、軽く泳いだり行水したり、そして十字を切ってキリストに祈りを捧げます。毎回驚きますが、参加者の皆さん、水温がプラス数度程度の温度なんだけど、躊躇なく入れるんですよね。行水後は各着替え室に戻り、暖を取りながら着替えます。
ビデオ中、最後に行水している男性はムルマンスク州知事、アンドレイ・チビス氏です。


姉妹都市・パートナー関係にある国際都市に異変

2023-01-30 00:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
バスに乗って職場へ向かうとき、いろいろなイベントカーに会います。
昨今ならVだのZだのあしらったバスが多いですが、たまに姉妹都市関係アピールカーに搭乗することもあります。
そのバスにたまたま乗って内装を見回し、その都市の市旗を見ていました。
確か11だったか12だったかあった筈が、白いシールで覆われた旗がありました。
うちに帰ってwikipediaを見たところ、

ムルマンスク市と姉妹都市関係にある国際都市
1) ルレオ(スウェーデン)   1972年3月26日~
2) トロムソ(ノルウェー)   1972年7月10日~
3) ヴァドソー(ノルウェー)   1973年4月30日~
4) ジャクソンビル(米国)   1975年7月14日~
5) フローニンゲン(オランダ)   1989年6月20日~
6) アークレイリー(アイスランド)   1994年10月14日~
7) アランヤ(トルコ)   2014年2月17日~
8) ミンスク(ベラルーシ)   2014年8月21日~※1995年6月30日まではパートナー都市関係だった。
9) ハルビン(中国)   2015年10月16日~

ムルマンスク市とパートナー都市関係にある国際都市
1) クックスハーフェン(ドイツ)   2004年8月14日~
2) ドゥアルヌネー(フランス)   2006年6月8日~
3) ゴメリ(ベラルーシ)   2009年8月5日~

やっぱり減っていました。そしてこのようなことが書かれていました。
「ポーランドのシュチェチン市は、1993年から2022年2月28日まで姉妹都市関係だった。」
「フィンランドのロバニエミ市は、1962年4月23日から2022年3月まで姉妹都市関係だった。」
2022年2月24日に露によるウクライナ侵攻のため関係を打ち切ったそうです。

ムルマンスク市は州内唯一、ポーランドの都市と関係締結していた都市でした。
ムルマンスク州内の他都市と姉妹都市関係を締結している欧州の都市は変更がないため、静観と言ったところでしょうか。

*****

またムルマンスク市にはノルウェー領事館分室とスウェーデン領事館分室もありましたが、2022年2月24日に露によるウクライナ侵攻のため、閉鎖したようです。

悲しい事態ですね。

クリスマスツリー 転倒アクシデント

2023-01-27 07:32:11 | ムルマンスク市・街の表情
ちょっと有り得ないアクシデントが起こりました
正月休み明けの1月9日。
ムルマンスク鉄道駅に飾ってあったクリスマスツリーが強風に煽られ、しかもあらぬ方向に回転して倒れ、下から階段で上がって来た通行人2人に直撃。怪我を負わせました。ビデオをご覧下さい。

暖房機付のバス待合室が登場・・・?

2023-01-24 00:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
冬にはすっかりキーンと冷える北極圏最大都市ムルマンスク市に、こんな建物が登場しました。
政府が大奮発して市中心地区のバス停に配置した、暖房機つきの待合室です。
中に入ると天井に設置されている熱放射装置のお蔭で、室内が暖まる仕組みです。
極寒の地にようやく登場と、ムルマンチャーネが大喜び。

ところがこれがちょっとプロブレムな話題になっています

プロブレムその1。12月中に登場したのですが、暖房が運転されません。
一度「12月29日から運転開始」という知らせを受けましたが、全く運転の気配がありません。
そのあと「1月25日から運転開始」という知らせが。本当なんだかどうだか
バスに入ったときにフワッと感じる嬉しい温かさ、早く来て欲しいです

プロブレムその2。一戸440万ルーブル
これは市中心地のマンションで、そこそこいい部屋が1室買える値段に相当します。
詳細が開示されていないようで、現在検察と調査委員会がこの内訳を調べているとか。
私が見かけただけでも、上下線合計12戸は確認できました。
政府ったらこの時期になかなかの太っ腹ですね。さあ、計算してみましょ~う

プロブレムその3。そしてバス料金が2月1日から施行され、35→40ルーブルと値上がりします・・・

SNSでは
「も少し安くて手頃なモデルは他にあるのに見え張って一番高いの選んでおいて、暖房費賄えなくなったから、バス代値上げしてそれに充てるんかーい。」
「少なくとも夏までに稼動して欲しい。今年もまた暑い夏になりそうだから。」
など、怒りの声が溢れています。

●上の写真は市中心にある「ピャーチウグロフ」バス停。暖房が利かないバス待合室が建っています。設置工事の段階から見てたんですが、古い建造物を除去し、電気系統を敷設するためなどで地面を堀って、配筋してセメント流して基礎工事したあと、またそこ掘り返してたんですよね。何やってんだか・・・。それから写真手前は、数年前にロシアで流行ったマスコット「ジュドゥン(Ждун)」、欧州のデザイナーが考案したもの。長い行列で待つ羽目になっても、世の中の不条理に遭っても只々待ち続ける、恰幅の良さと肌のたるみが目立つロシアのおばあちゃんをゾウアザラシに見立てたらしい。現在ムルマンチャーネは老若男女皆、ジュドゥンのように暖房を待っています。

初日の出2023 in ロシア連邦ムルマンスク市

2023-01-23 07:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
 年末年始そして現在は-5℃~-13℃ぐらいの比較的マイルドな気温でしたが、1月の7~8日にかけて大寒波が来て、ムルマンスク市中心部の気温がマイナス21度まで下がりました。ちょっと風も強かったので、顔が痺れましたね~

 1月11日はムルマンスク市で初日の出でした。とはいっても、初日はお昼頃に26分顔を出すだけです。しかも今回は地平線に長い雲が横たわっていて、市内で最も高い山に行っても、太陽面を拝むことはできなかったそうです。でも12月2日からずっと太陽を見てなかったので、久しぶりの橙白色の眩い光に市民はうっとりしていました。これから明るい時間がどんどん長くなっていきます。私は21日昼に街中の高台から太陽面を拝むことができました。やっぱりホッとしますよね

▼毎年市内の高い山で開催されている初日の出観望。裸成分が少々ありますが、寒風に晒されながら日光浴しているだけで平常運転なので、ご心配なきよう。

ムルマンスク州のドカ雪

2023-01-04 02:21:38 | ムルマンスク市・街の表情
北極圏といえば、ムルマンスク。ムルマンスクといえば、氷点下と雪とオーロラ。
実際どれだけ降るのかがわかる写真をご紹介(写真をクリックすると大きくなります)。





毎年豪雪に見舞われることを考慮して、当地でのブランコは地上1mに座席がありますが、
未曾有の豪雪に見舞われたときは、それでも埋まります。
動画はその時の様子です。



更に毎年豪雪に見舞われるムルマンスク州ならではのユーモアをご紹介。


▼もし吹雪で空港が閉鎖されたことで1日中出発を待たされるような人がいるなら、そこはムルマンスクです。



▼もし呼んだタクシーの雪堀りを手伝い、手押しを手伝う派目になり、それから行けるなら、そこはムルマンスクです。



▼吹雪警報発令にも拘らず、学校や大学に通っている人がいるなら、そこはムルマンスクです。



▼この雪崩にも拘らず雪塊を片付けてくれる道路作業員に感謝している人がいるなら、そこはムルマンスクです。



▼中庭でドカ雪に嵌り、優しい通行人に救出されたことで仕事に遅れた人がいるなら、そこはムルマンスクです。



▼もしこんな雪にまつわるハプニングやアクシデントにもかかわらず自分の町を愛している人がいるなら、そこはムルマンスクです。



これ見て「うん、そうだよな。普通普通」と思ってしまうので、
この地に大分慣れたというか、豪雪マヒしてしまっているようです・・・

謹賀新年2023年

2023-01-02 02:21:38 | ムルマンスク市・街の表情
新年明けましておめでとうございます。
ムルマンスクにずっとおりましたがひどく多忙で、長々と更新できずにおりました。
如何お過ごしでしょうか。

ムルマンスク州のあちこちで12月中旬頃からクリスマスツリーが設置&ライトアップされました。

▼ムルマンスク市でのクリスマスツリー点灯イベントの様子



ムルマンスク州各地のクリスマスツリーの様子です(画像をクリックすると大きくなります)。

▼(左から)ムルマンスク市、ムルマシー町、ヴィジャエヴォ町、ニーケリ町
   

▼(左から)ポリャールヌィ町、オストロヴノィ市、アパチット市、アラクルッチィ市
   

▼(左から)カンダラクシャ市、ザアジョールスク市、ガジエヴォ町、セヴェロモルスク市
   

▼(左から)コヴドール市、モンチェゴルスク市、オレネゴルスク市、キーロフスク市、ポリャールヌィエゾーリ市
    

相変わらず物価が高い

2022-09-10 20:06:41 | 様々な話題
相変わらず物価が高い。数品買っただけで、すぐに1000RUB超えてしまう。
侵攻前だったら、1000RUBあったら買い物かごにいっぱい買えたのに。


物価については、大体の消費が侵攻前と比べて20~30%上昇しているのは、依然として変わりません。


コピー用紙A4(500枚)は更に高い。以前300RUB前後だったのが400~500RUB
漂白剤が入手困難なため、藁半紙色のコピー用紙が登場。その名も「ECO」。物は言いようですね。
色が暗くなっただけで、紙質は同じです。
 
先日子供のために美術学校で使う道具を買いましたが、思わず言葉を失う総額になってしまいました


また、「お値段据え置き」措置を講じている主要食料品もあります。
それは例えば牛乳でよく見られますが、「据え置く」ということだから、どこかがマイナーチェンジされているということ。
写真はリニューアルされた牛乳。漂白剤が入手困難なため、右側の従来品と比べ色が白から藁半紙色になっています
そして側面裏面も、インク量が極力抑えられています
色が暗くなったので不味そうに見えますが、味はそのままですのでご安心を。
(あでも、この前Пятёрочкаで買った自社製品牛乳は、身の毛がよだつくらい苦かったです。きっとロットが悪かったのでしょう。)

9月になりました

2022-09-06 16:52:55 | ムルマンスク市・街の表情
9月になりました。

1ヶ月前くらいまでは、こちら北極圏でも信じられないくらいの暑さでしたが、その後はキュッ・・・と肌寒くなりました。
雨もよく降りましたので、今年はキノコがよく生えてました。食べられる野生のキノコ「パダシーノヴィキ」を沢山食べました。美味しかったです。

そして本日から循環暖房運転が開始されました。それまで外の気温が10℃を下回っていて、部屋も肌寒かったので、ホッとしています

さて、先日久しぶりの北極海ネタが日本で放映されてましたね。遠方ながらニッポン応援してます

【タカオカ解説】世界の大国が豊富な地下資源狙い北極へ!ついに始まった争奪戦、各国の思惑は?日本はどうする?