ビビは大砲の中の時限式爆弾を前に、再び悔しさに身を震わせた。クロコダイルの言葉が、頭の中に響く。(おしえてやろうか、お前に国は救えない)
「ここまで探させておいて・・・!!!砲撃予告をしておいて・・・!!!一体どこまで人をバカにすれば気が済むのよ・・・!!どこまで人をあざ笑えば気が済むのよ!!!クロコダイル!!!」ビビは再び悔しさと、悲しさと無念さと・・・すべての絶望に床に座り込んだ。
その時、ビビの背後に立つ人がいた。ハヤブサの姿の時にMr.7らに狙撃されたはずのペルだった。
「懐かしい場所ですね、砂砂団の秘密基地・・・。まったくあなたの破天荒な行動には毎度手を焼かされっばなしで・・・!!!」
ペルは、懐かしいあの頃を思い出していた。
アラバスタが平和で、ビビ王女やコーザら『砂砂団』の子供達の元気な声が宮殿中に響き、皆が笑顔だった頃のことを。コーザ達は門番の目を盗んで秘密の抜け道から宮殿に入ってきては、ビビ王女を連れて『砂砂団の秘密基地』であるこの時計台に遊びに行っていたこと。大人達は、皆、秘密基地がどこかは知らぬフリをして、ベルがこっそり偵察して見守っていた日々のこと・・・・。
だが、一度だけペルがビビに激怒したことがあった・・・。
ビビが、ペルの入隊記念日のお祝いの花火を作ろうと、無断で爆薬庫で入り、爆弾が誤爆したのだ。ペルは、王女の頬をひっぱたいて怒鳴った。
「この場所には近づくなと・・!!何度言ったらわかるんだ!!!!・・・ケガで済まなかったら・・・どうするんです・・・・!!!」
その後ペルは、ビビに謝罪として、ビビをその背に乗せて大空を飛ばされたんだっけ・・・。ペルの背でビビ王女は、「なぜ毎日戦いの訓練をするの?」とペルに聞いた。
「この国をお守りする為です。」
「誰と戦うの?」
「さぁ・・戦う事より守るのです」
そんな日々がペルの記憶には詰まっていた。ペルは優しい顔でビビ王女に言った。
「ビビ様私は・・・あなた達ネフェルタリ家に仕えられた事を、心より誇らしく思います。」
そう言うとペルはハヤブサの姿となり、大砲の中から爆弾を引き抜き、そのまままっすぐ大空へと舞い上がって行った。
時限爆弾の爆発まで、あと5秒。
爆発のその瞬間、ペルは満足そうに笑った。
我、アラバスタの守護神ファルコン。王家の敵を討ち滅ぼすものなり
周囲5キロを吹き飛ばす爆弾の威力は凄まじく、ペルが力の限りの上空高くへ持ち上げてもなお、その衝撃派で王都の建物は瓦礫と化していった。
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