
先生の言った「何も斬らないが鉄は斬る」の意味はいまだにわからぬままだったが、とにかく、押して押すことが”豪剣”の極意と考えたゾロはまた闇雲に斬りかかった。だが、どれだけ相手を斬ろうと、鉄の体はびくともしない。
敵は、腕をドリルのように回転させだし、【螺旋抜斬スパイラルホロウ】の回転の威力は、ゾロの剣をはじきとばし、その腹の肉をえぐり、ゾロの断末魔のような悲鳴があたりに響いた。

腹をえぐられたゾロはぼろ布のように吹き飛んで、地面にうつ伏せに倒れた。このまま背後からとどめを刺されることだけは・・・避けたい。最後の力を振り絞ったゾロは、体を返して敵に腹を向けた。剣士たる者、背中の傷は恥・・・

無防備に腹を向けた大口を叩く剣士に、Mr.1は【滅裂斬(スーパーブレイク)】でトドメの一撃を刺した。

ゾロの腹がすっぱりと斬られると同時に、ゾロの背後にあった石柱も斬れ、血まみれのゾロの上に石が降ってきたが、建物がすべて崩れたその土煙がおさまった時、ゾロは立っていた。

Mr.1は驚く。あれほどの傷を負ってまだ立ち、あれほどの石片をすべてよけたのか・・・と。
だが違っていた。
ゾロはよけたのではなく、わかったのだ。石の落ちてこない場所がここだと自然にわかったのだ。落ちてくる石から生き物みたいな・・・気配よりもっとくっきりした・・”石の呼吸”を感じたのだ。
こういう感じは前にもあった・・・あたりがやけに静かで、自分の鼓動がバカでかく聞こえて・・まさに死の境地。

ゾロは自分の心臓がドクンドクンとミ脈打つのと同時に、石の呼吸、木の呼吸、土の呼吸を感じとっていた。
何も斬らないってのは、”呼吸”を知れってことなのか?
それが鉄をも斬る刀・・・?
ゾロは、刀に意志が伝わるのがわかった。
斬らないものは斬らない、斬るものは石でも斬る。
あとは自分に鉄を斬る実力があるかどうか。
ゾロは刀一本でMr.1と真正面に対峙すると、一刀流居合【獅子歌歌(ししそんそん)】を構えた。
この一太刀で鉄を斬らねば確実に死ぬ。生きるか死ぬかの、必殺の一撃を繰り出した。

ゾロは男に礼を言った。”何も斬らない”剣の境地を知り、鉄を斬った。自分は、まだまだ強くなれることを確信した瞬間だった。
真っ向勝負で斬られたMr.1は、倒れながら「この勝負のうちに・・・成長しちまいやがった・・・マイッたぜ・・・」と負けた相手に、不足はなかった。
アルバーナ東通りの戦い、海賊狩りのゾロ VS バロックワークスMr.1
ゾロの勝利だった。

これで、ルフィを除く麦わらの一味はそれぞれバロック・ワークスを倒した。
あとは、アルバーナ宮殿へ。ビビとの約束の地へ向かうだけ。
ゾロはルフィや仲間達、そしてビビのことが気になったが、その場で意識を無くして地面に倒れこんでしまった。
世界一の剣士、ミホークに敗北したゾロ。
海賊王の仲間なら世界一の剣豪になってもらわないと困ると言ったルフィ。
そんなルフィにゾロが出した答えとは…!?
~あらすじ~
斬られるゾロ。
それを泣き叫ぶルフィとウソップ、そしてヨサクとジョニー。
サンジは相手は本物の世界一で勝ち目なんかなかったはずなのにイカレてると言う。
死ぬくらいなら野望を捨てろと。
サンジ「簡単だろ!!!野望を捨てるくらい!!!」
ルフィは腕を伸ばしてミホーク目がけて突っ込む。
ミホーク「若き剣士の仲間か…貴様もまたよくぞ見届けた……!!!」
避けられるルフィだが、ミホークはまだ生かしてあるから安心しろと言う。
ヨサクとジョニーとウソップがゾロの救出に尽力している。
我が名はジュラキュール・ミホーク
ミホーク「己を知り世界を知り、強くなれロロノア!!!おれは先幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を越えてみよ!!!」
このおれを越えてみよロロノア!!!
ゼフ「鷹の目のミホークにここまで言わせるとは……」
ウソップにゾロの無事を確認するルフィ。
するとゾロは剣を天に掲げる。