
モリアをぶッ飛ばして皆を助けると意気込んだルフィだったが、モリアの影によって、森深くに置き去りにされて戦うことすら出来ずに無駄に時間だけが過ぎていった。
このままでは、朝日を浴びて体が消滅するのをただ待つだけだ・・・。


一方、モリアの本体は珍客中の珍客の応対をしていた。
相手は”暴君くま”と呼ばれる、王下七武海にして唯一、政府の言いなりに動く男、バーソロミュー・くま。

モリアに引けをとらない巨体の男は、モリアに「旅行するなら、どこに行きたい?」と担当直流に聞いたが、モリアは「おいおい、やめとけ!お前の能力ぐらいわかってる、用件を言え」とその言葉を牽制して、行きたい旅行先を答えなかった。
くまは淡々と「報告事項がある。王下七武海クロコダイル降任の後釜が決まった。後継者の名は”マーシャル・D・ティーチ”、通称”黒ひげ”という男。世間ではすでにちょっとした騒ぎになっているが、ここには届いていまい」

世間から隔離された生活をしているモリアには初耳の名前だった為、くまが補足説明をつけ加えた。
「”白ひげ”の一団から逃亡した男で・・・確かな実力を示して加盟した。元々の懸賞金は0」
それを聞いたモリアは「まぁ穴埋め作業が済んでよかったじゃねぇか、これで世界の均衡とやらは保てるんだろう?」と言ったが、くまはボソリと「・・・おれは全くの”逆”を想像しているが・・・」と言ってから、次の報告を口にした。
「それより政府は今気がかりが一つあるらしい。エニエス・ロビーの一件以降、政府は”麦わらの一味”の動向を常に警戒している。・・・つまり、また一人、”七武海”が麦わらの手で落とさやしないかと政府は危惧している。必要ならばおれが貴様に加勢しても構わない」
これにはモリアは烈火の如くに激怒した。
「あんな少数の経験の浅いか遺族団に、おれが敗けるかもしれねェと!!!?」
”麦わら”に対して七武海2人をぶつけるのは、くまの独自判断だったが、モリアは激怒して断り、その”麦わら”をゾンビ兵にしてやると戦いへと参戦した。
その頃、船長ルフィを除く”麦わらの一味”は、オーズとの死闘の最中だった。
一番やる気があるのはゾロで、先ほどもらったばかりの『黒刀・秋水』の使い勝手を試したい気持ちがはやっていた。
ゾロはオーズのパンチを刀で逸らすと【三刀流・百八煩悩鳳(ひゃくはちボンドほう)】を撃った。
この技は、惨斬の威力を飛ばすので、斬るではなく撃つに近い攻撃となるのだが、その威力はゾロ自身の想像を越えていた。
他の2本より重くて強い[秋水]の軌道は、他の2本の軌道を巻き込んで1本となり、威力を拡大させた。

その軌跡をみたゾロは「いいモンくれたな・・・剣豪リューマ・・!!」とつぶやいた。
オーズと正面きって戦おうとするゾロをウソップが止めた。
ルフィがモリアをぶっ飛ばせば、皆の影は返ってくる、無理する必要がないと。
だが、ゾロはルフィの事をよくわかっていた。
「充分信じちゃいるが、ルフィにも苦手なモンはあるだろ!!”ダマシ”だ!!!人をおちょくるような能力の揃ったこの島で、敵が正々堂々ルフィと対峙してくれるかさえ、疑問だ。
ルフィがすかされて朝がくれば終わりだ。だったら夜明けまでにルフィ1人だけでも正常に戻しときゃあ、後はなんとかなんだろ!!!」

夜明けまで、残り30分程。
ただし、深い霧が朝日を遮ってくれると思っていたが、オーズの冒険によって、スリラーパークは『魔の三角地帯(トライアングル)』を
抜けてしまったようで、霧がサーと晴れていった。
最悪なのは、それだけではなかった。
ゲッコー・モリアがオーズの腹の中に作られた「コクピット」に乗り込んで、戦闘に参加してきたのだ。
モリアを倒さなければ、オーズは浄化できないというのに、これでは、オーズを倒さないことには、モリアは倒せられない。
頭脳の足りない力だけのオーズに、戦略家の操縦が加わる・・・!!!


だが、サンジとゾロは「かえってスッキリしたじやねぇか、やるしかねェ!!!」と意気込んだ。
ゾロは「ウソップ、山ほどの塩を持ってこい!!オーズはそれで浄化する!!」と指示したが、それを聞いたモリアは、ウソップごと食堂への通路をオーズに破壊させた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます