
新世界に君臨する四皇の一角”赤髪のシャンクス”が「赤髪海賊団」を引き連れてマリンフォードに現れたことで、場内はどよめき、皆一様に戦いの手を止めて、赤髪シャンクスの動向に注目した。海軍では、昨日四皇”カイドウ”と小競り合いをしていたとの報告が上がっていた為、まさか昨日の今日でここに到着するとは思ってもいなかった。
シャンクスは、ルフィが落としていった”麦わら帽子”を拾い上げると、これを幼かったルフィに預けた10年前のことを、まるで昨日の事のように鮮明に思い出していた。
いろいろな思いを託したあの子が、海賊となって、この頂上決戦の場にいる・・・。
「一目・・・会いてェなァ・・・」とつぶやいたが、辞めておいた。 「だが・・今会ったら、約束が違うもんな、ルフィ」


10年前の約束は「この帽子をお前に預ける。いつかきっと返しに来い、立派な海賊になってな」である。
シャンクスは、空を漂うバギーに「お前にあげたい宝の地図があるんだが、その前にそいつをルフィに渡してくれ」と麦わら帽子を託した。帽子は、シャンクスからバギー、トラファルガーローを経て、ルフィの元に届けられた。
だが、バギーへの宝の地図は嘘だった。そう言えばバギーがホイホイ動くことを知っていたから。バギーは旧友シャンクスの相変らずのいたずらっこぶりに怒ったが、その四皇シャンクスと対等にやりやうバギーの姿を見て、またもバギー信者達は感動を覚えずにはいられないのであった。

海軍大将達は、赤髪のシャンクスへ攻撃するつもりはないが、指を咥えて”麦わらのルフィ”を逃がすわけにも行かず、青キジ・赤犬・黄ザルの3大将揃って、トラファルガー・ローの潜水艦へ一斉攻撃を加えた。
「これでまだ生きてたらァ、あいつらァ運が良かったんだと諦めるしかないねェ~~~」と黄ザルが線を引いた。

七武海”女帝ハンコック”は、”麦わらのルフィ”の追跡を続ける為に軍艦1隻を出してマリンフォードを離れ、”鷹の目のミホーク”も「白ひげと戦うことは承諾したが、赤髪は協定の範囲外だ」と帰って行った。
シャンクスはマルコに「マルコ、これ以上応戦するな、大人しく手を引け」と命じると、海軍に向かって言った。
「これ以上欲しても両軍被害は無益に拡大する一方だ!!!まだ暴れ足りねェ奴がいるなら、来い!!!おれ達が相手をしてやる!!!」

海軍兵士達は、この先四皇と対峙するなど出来るわけもなく、立ちすくんだ。
シャンクスは、黒ひげを向いた。 「どうだティーチ、いや”黒ひげ”」シャンクスは額の傷がズキ・・・と疼くのを覚えた。

黒ひげは「・・・・ゼハハやめとこう!!!欲しい物は手に入れたんだ。お前らと戦うにゃあ・・まだ時期が早ェ!!!」と部下達を連れてマリンフォードを立ち去って行った。この先、黒ひげ海賊団がこの海において重要な脅威となることは目に見えていたが、センゴクはその背を黙って見送った。
静まり返ったマリンフォードに、シャンクスの声だけが響いた。
「全員、この場はおれの顔を立てて貰おう」

落ち着きを取り戻した白ひげ海賊団の者達は、改めて深い哀しみと喪失感に襲われながら、体を引きずるようにして退却を始め、戦争に勝利した海軍にも喜びはなく、えもいわれぬ虚無感と取りこぼしたものの大きさに脱力したように、負傷者の手当てを始めた。

シャンクスは「”白ひげ””エース”、二人の弔いはおれ達に任せて貰う。戦いの映像は世に発信されていたんだ・・!!これ以上そいつらの死を晒す様なマネはさせない!!」と言う。

一部の海軍幹部は「この二人の首を晒してこそ、海軍の勝鬨は上がるのだ」と海賊の言い分に反対したが、センゴク元帥は「構わん!!お前なら・・・いい。赤髪、責任は私が取る」と海軍幹部を黙らせた。
シャンクスはセンゴクに「すまん」と返すと、センゴクは皆に負傷者の手当てを急ぐよう命じた。
シャンクスが宣言する。
「戦争は・・!!!終わりだァ!!!!」

かくして”大海賊時代”開幕以来の最大の戦い”マリンフォード頂上戦争”はここに幕を閉じ、歴史に深く刻まれる
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