
モンブラン・ノーランドの有名な昔話は、実話であった。
北の海のルブニール王国に、モンブラン・ノーランドという男がいました。
探検家のノーランドの話は、いつもウソのような大冒険の話。
あるときノーランドは旅から帰ってきて、王様に報告しました。
滅びてなお美しく、誇り高く建つ黄金郷「シャンドラ」という都市があったことを。
5年後、「マリージョア」よりグランドラインに入る許可が下りたノーランドは、再び友のいるジャヤの島を目指して冒険に旅立った。
今度は王を連れての航海だった。
だが、苦難の航海の末にたどり着いたジャヤに、ノーランドは驚愕する。
島が半分に千切られて、親友カルガラの住む村も、あの黄金都市もそこに存在しなかったのだ。
ただ1つだけ、カルガラの村の家が半分に千切られてポツンと残っており、そこがかつてカルガラ達が住んでいたことを静かに物語っていた。
ノーランドは、黄金を楽しみにしてい王の逆鱗に触れて捕らえられたことよりも、親友カルガラの行方がわからなくなっていることの方がショックだった。
なぜ・・・村はどこへ?e生きているなら聞かせてくれ、黄金の鐘の音を、シャンドラの灯よ!!!

半年後、ノーランドは、王を騙した虚言の大罪で打ち首の公開処刑に処せられた。
首がはねられる事になっても、ノーランドは決して言葉を覆さなかった。
「私はグランドラインのジャヤという島で、巨大な黄金都市を見た。黄金郷は存在する」
その言葉を証言する部下達も捕らえられ、言葉は届かない。
ノーランドという国が誇る英雄の冒険談は、全てが虚言だったという驚きは国中を失望させた。
ノーランドは、首を切り落とされるその瞬間まで、カルガラの身を案じていた。

事実はこうである。
ノーランドが再びジャヤに到着する約1年ほど前、カルガラ達の住む村は、巨大地震と共に直下が起こった「ノックアップストリーム」に巻き込まれたジャヤは半分に引き裂かれ、カルガラ達の居る地面ごと突き上げられたのだった。
空へ舞い上げられた大地は空島の「巨大豆蔓ジャイアントジャック」に突き刺さり、その勢いで黄金の大鐘楼は美しい音色を空中に響かせた。


後に「大地の歌声」と呼ばれる伝説の鐘の音だ。
その時空を支配していた"神"が言う。
「巨大な大地は天が我らに与え賜うた聖地で、私が住むべき場所だ。そこにいる者を引き摺り出せ!!我こそが神なるぞ!!!」

カルガラ達は、襲い来る「我は神なり」と名乗る空の人達に対して、故郷を守るべく戦った。
先祖が命がけで守り通した地であり、友が再び訪ねてくる地である。
誰にも譲り渡すわけにはいかないと、カルガラは、異国の空の地で故郷を守って戦い続けた。
「約束したよな、ノーランド。またいつの日か必ず会おう。
お前が再びジャヤに着いたら、消えた我らをどう思うかな、だがもう少し待て。
今鐘の音を伝えるから。オレ達はここにいると伝えるから。ンドラの灯をともせェ!!!!!」




カルガラの思いは果たされることなく、子孫へと受け継がれていく。
ノーランドの想いもまた、果たされることなく、長き時を経て子孫へと受け継がれていく。