「ひとこと感想」その16。
最初この映画のタイトルを見たときは、無知な私は「ワインに関係あるような話かな~」などとノンキなことを思った(^^;。でも、チラシの下の方ををよく見ると・・・「1941年、ナチ占領下のフランス。1人のドイツ将校の死(暗殺)に、ヒトラーは150人の人質の死を要求した」。
ヒトラーの要求になんとか抵抗しようとする収容所のフランス人たち。処刑対象選びを命じられたフランスの行政官。過剰な報復に危険を感じて回避しようと模索するドイツ軍人。そして実際に銃殺を命じられる若いドイツ兵たち・・・。さまざまな立場でヒトラーの要求と向き合うことになった人々の姿を、映画はあくまで「生身の人間」として描こうとしているように私には見えた。
監督はドイツの名匠(『ブリキの太鼓』)と言われる人で、映画はフランスとドイツの合作。自国ドイツの歴史の暗黒部分を、「悲劇」や「伝説」としてではなく、事実は事実として、今の私たちと地続きの目線で描こうという姿勢・努力を感じ、私はちょっと厳粛な気持ちになった。
昨年末に観て(ブン殴られたような気がした)『サウルの息子』などとは全く違う、クラッシクな上品さ?すら感じる作品だったけれど、「一度回り始めた歯車」を結局誰も止められなかった・・・だからこそ「あなたは何に従うのか。命令の奴隷になるな」・・・という意味で、「戦争」「ファシズム」を、(「収容所」「人質の処刑」という悲劇でありながら)ごく身近なレベルで考えさせる映画だったと思う。
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