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眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『誰も守ってくれない』

2010-02-23 15:41:24 | 映画・本
長すぎる「ひとこと感想」その10。

現実はそこまではいかないんじゃないか・・・というような、やや極端な?エピソードも目に付くけれど、それは私が今の日本の現実に疎いのだと言われれば、そうかもしれないとも思いそうだ。とにかくこの物語が荒唐無稽に感じられない・・・ということ自体に、私などは寒々とした気持ちになる。

刑事が浜辺で女の子に言った言葉(「今度はキミが家族を守るんだ」)にも、私は複雑な感情を持つ。女の子の両親が、どちらも「大人」としては(敢えて「親」としてとは言わない)あまりに頼りないことが、情けなく、悲しい。刑事の言葉は本来、両親に対して言われるべきものだと私は思う。

それなのに、タイトルそのまま「誰も守ってくれない」現実が、今の日本では社会レベルでも家庭レベルでも、当たり前のようになってしまっているのも、日々どこかで感じていることだ。もちろん、それ以上にマスメディアの止めどなさが問題なのだとしても。

オトナが「大人」としては腰が据わっていないことと、マスメディアの過熱?とはどこかで繋がってる、或いはニワトリとタマゴのように、私には見えるのかもしれない。

ただ・・・ここまでは「親」「大人」としての自分は棚上げして書いたけれど、人生で起きるさまざまなピンチを「(大人として)引き受ける」「(子どもの蔭に隠れて?)見て見ぬふりしない」ことが、私自身出来るかどうかは、これこそなってみないとわからない。(我ながら、ずいぶん心許ない「親」「大人」で、申訳ないと思う。)

映画では、刑事は女の子にとって、唯一「大人」の責任を果たそうとしてくれたオトナだったのだと思う。彼は職業上の義務としてそうしたのだけれど、思春期の少女にとって、「最大の危機」に(最低限を割らない?)「大人」が身近に1人でも存在したことは、取りあえず彼女のこの先の人生が、狂ってしまうのを防ぐ方向に作用したのだと私は思った。

逆に言えば、深刻な人間不信に陥っても不思議ない状況からこちらへ戻ってくるには、「たった1人」いればいいのかもしれない・・・とも。(あくまで映画の中での話だけれど。)

ある日突然「殺人犯の妹」になってしまった15歳の少女を演じた、志田未来さんの瞳の強い光が記憶に残る。刑事役の佐藤浩市さんは、スマートに判断・決断出来ない感じがリアルで、私はこの人のボヤボヤしている(躊躇っている?)ときの表情が好き。(ついでに、相棒の若い刑事さん(松田龍平)の都会っ子ぶりも(笑)。)






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