関西スポニチに異彩を放つ『乗峯栄一の賭け』
今年で18年目の長きに渡って掲載され続けている、関西スポーツ紙でも
古株となってきているが、本尊自身はちっとも重鎮の意識が無く
フレンドリーなのが、
非公式ファンサイトを見てもよく伝わってくる。
私が氏の作品と実質初めて遭遇したのは、H6年に発行された
「別冊宝島193 競馬名馬読本2」で
オペックホースを担当したのが氏であった。
昭和55年のダービー後、全敗したこの馬を、氏は越前藩の悪名高き
松平忠直卿と重ねて紹介している。これが私のツボにはまった。
( 競馬名馬読本2を読む機会がある方、是非。これはほんまに面白い)
菊池寛の小説で忠直卿は、家来と剣術の稽古をするが
いつも家来に勝ってしまう。ご機嫌な忠直卿にある日、家来たちが
「わざと負けるのは大変だ」などという声が聞こえてくる。
これでご乱心の殿、次から次へと家来と真剣の稽古を積むが
家来はみなわざと?負けて死んでいく、ついには蟄居の身となる忠直卿。
オペックホースもダービーの後、馬たちが「わざと負けてやった」
の声を聞いてしまい、乱心めされたのか???
という内容である、最近ではダービー後勝てなかった馬で
タヤスツヨシあたりが居るが、オペックは7~8歳まで走っている。
オペック=忠直卿(笑)
他の競馬作家、コラムニスト、競馬ライターが血統やら当たったの
外れたの内容の中、あきらかに異色だった。
それまでもスポニチを読んでいたが、失礼ながら氏のコラムを
流し読みしていた(レッツゴーターキンの天皇賞は同病相哀れむで
私も昏倒しましたが)ことに気づき、もったいないと思った。
(当初4~5年は「新進作家 乗峯栄一の賭け」がタイトルで
いつ新進が抜けるねんと一人ツッコミをしていた)
スポニチの氏が書いているコラムも同様、
文面に割く予想は5%くらいで、あとはオペックのノリであった。
そう、競馬予想紙なんて当たらぬのがほとんどなんで、
面白い文章がないと面白くないのである。
馬柱を参考にして、あくまでファクターとしてしか
予想紙を見ないのは大概の競馬ファンなら当たり前。
先日の日曜関西スポニチで書かれていた
まいど1号→地球から宇宙へ飛び越えていく大変さ→阿南大将の
。「不服のものは自分の屍を越えていけ」→
「この乗峯の予想に不服のものは乗峯の屍を越えていけ」→
きっとドドドと越えていくやろうという関西テーストの
オチまでつくが、この短いコラムで凄い転化である。
シロウトがやると大怪我する内容で、久々にオペックを思い出した。
有名人やチャらい競馬ライターを選択せずに、
本当に競馬が好きな作家を指名した
当時のスポニチ・デスク氏の慧眼もさることながら
マンネリに陥ることなく、今もあのオペックの時と変わらない
洒脱な文章を書き続ける氏の情熱は今も
安珍清姫のような
熱いトグロを捲いている。
これからも初心の「純粋な競馬ファンを引きずり込む」
でやっていって欲しいもんです。
もうすぐ春競馬も近づく睦月に 京都にて。