日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

四谷赤坂麹町 - 燗コーヒー藤々

2020-11-17 20:46:54 | 居酒屋
長旅が終わり次第、訪ねてみたいと思っていた店があります。その中の一つを訪ねる機会がようやく巡ってきました。「燗コーヒー藤々」を半年ぶりに再訪します。
街中が静まりかえっていた四月から五月にかけて、足繁く通った店の一つがここです。当日の遅い時間でも飛び込めて、一品ずつ選べる持ち帰りの使い勝手は絶大でした。しかし、通常営業に復帰後は一転して縁遠くなり今に至りました。食わず嫌いをしていたつもりはないものの、元々は割烹に近い業態の店だけに、気兼ねなくいつでも寄れる居酒屋とは勝手が違います。事前に一報入れてからにしようと思っていたところ、その機会を見計らっているうちに、半年近く経ってしまった次第です。
なかなか踏み切れなかったのは、当日の予約状況がなまじ分かってしまうからでもありました。「なまじ」というのは、facebookの投稿により一応判明するものの、鵜呑みにはできないからに他なりません。「ゆったり」「まだまだ」「少し」の順に混んでいき、満席の場合はその旨告知されるという法則から、「ゆったり」の日が狙い目なのかと思いきや、満席を理由に振られたことがあります。おそらくは、当日に入る予約も多いのでしょう。その一方で、予約が全くない日には臨時休業することも多く、空いた日を狙おうとすればするほど入れないという皮肉な結果が続いていました。「ゆったり」の告知が出ていた今日、原点に立ち返って一報入れてみたところ、ようやく宿願達成となった次第です。

足繁く通った当時は、店主が接客、調理の二役をこなしていましたが、接客は本来女将の役割です。事実上の一見となるこちらに対し、まずは概略についての指南がありました。品書きは会席とおおむね同じ順序で配列されているため、順序通りに選んでいくのが最も無難とのことでした。その品書きには字面からして手の込んだ品々が並びます。調理、盛り付け、器のどれもが凝っており、値段についてもそれ相応です。居酒屋以上、割烹未満を標榜する当店ではありますが、少なくとも店構え、仕事ぶりと値段に着目する限り、居酒屋然としたものは全く感じられません。
ただし、あながち羊頭狗肉というわけでもありません。単品が豊富に取り揃えられ、少なめの量でも注文できるところは、いわゆる居酒屋使いにお誂え向きです。燗酒に適したものが多くを占める品書きには、店主らの酒に対する造詣の深さが窺われ、一杯毎に白湯が出てくるところについても気が利いています。選び抜かれた酒をしみじみ味わいつつ、それに見合った肴を選んで行けるところが、教祖も推奨する所以でしょう。
徳利を三本空けた後、ご飯と汁物をいただいて、八千円台の後半という結果でした。日参できる値段ではないものの、口コミサイトで伝わるほどの値段でもありません。勝手は一応分かったため、「ゆったり」の日を狙い澄まして再訪するのも一興といったところです。

燗コーヒー藤々
東京都新宿区荒木町10-14 伍番館ビルB階
03-6883-9898
1700PM-2200PM(LO)
日祝日他不定休

小左衛門
舞美人
山陰東郷
突き出し(本ししゃも)
無花果とあんぽ柿の白和え
鴨と芹の治部煮
唐墨と海老芋
本わさび飯
味噌汁
香の物
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