日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

捲土重来

2020-06-21 22:44:53 | 旅日記
例年なら北海道と沖縄で高校野球が始まる週です。それが「中止」に追い込まれ、自分にとっては主役不在のまま夏が過ぎ去ろうとしています。ただし、今週末はその穴を埋めてくれる代役が現れました。今や本家を凌駕したと言われて久しい、かつてのAKB公式ライバル達です。

このblogで時折話題にするようになったのは五年ほど前からです。来年で結成十周年を迎える歴史の、半分ほどを見てきたということになります。とはいえ、自分の熱の入れようなど大したものではありませんでした。仲間内には、贔屓のグループを追いかけて九州にまで移住した人物もいるからです。
高くはなかった熱量が、ますます冷めていったのは二年半ほど前からでした。櫛の歯が欠けるように古参の面々が去って行き、若い世代への入れ替わりが本格化するにつれて、チーム色の変化をありありと感じたのが一因です。たとえば高校野球なら、毎年選手が入れ替わります。あれを思えば、顔触れが変わることなど大した問題ではないのかもしれません。しかしどうにも順応できず、そもそもの発端となった公式サイトのblogを通じ、限られた情報を断片的に知るのみとなっていました。
そこへとどめを刺す出来事となったのが、他ならぬ一連の騒動です。実質的な活動休止に追い込まれ、発信手段がblogにほぼ限られていく中、その内容も「自粛」と「我慢」を呼びかけるかのごときものに変質しました。ただでさえ自粛自粛の大合唱に辟易しきっていたこともあり、これがよい潮時とみて手を引くという顛末です。とはいえ、否応なく聞こえてくる情報もあります。どこからともなく流れてきたのは、本格的な活動再開に合わせて、伝説のWeb配信を復活させるという噂でした。金曜の晩から日曜の夕方まで延々続く、その名も「46時間TV」です。

世代交代はますます進み、今や三分の一ほどは声を聞いたこともない面々です。それだけに、四度目があると聞いても、今更楽しめるだろうかと懐疑的な部分はありました。またしても「自粛」と「我慢」を呼びかけるような代物なら、直ちに切ればよかろうとも思っていました。しかるに何だかんだで見てしまったのは、かつて文化祭のようだと評した懐かしい雰囲気が、そのまま受け継がれていたからでもあります。何より秀逸だったのは、あらゆることに制約が課される世知辛いご時世、限られた人手と機材を駆使しつつ、視聴者を少しでも楽しませようとする工夫の跡が感じられたことです。それは出演者の人繰り、機材の配置から画面の構成に至るまで全編に貫かれていました。終わった後、しみじみよかったと思えたのは四年前の第二弾以来でしょうか。
今回の配信が、新たに始まるという動画配信の宣伝も兼ねているのは明らかです。大規模な公演は当分できそうにもない状況だけに、さらなる長期化を見据えて、蓄えた財産を切り売りしながら凌ぐつもりなのでしょう。姑息といってしまえばそれまででも、創意工夫を凝らしつつ生き残りを図る飲食店のような逞しさは感じられます。無闇に「自粛」していたように見えながら、捲土重来を期して来るべき時に備えていたわけです。荒んだ世の中にあって多少なりとも救われたような思いでした。粋な演出には素直に感謝したいというのが本音であります。
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