日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

最後のランチ - バンビ

2020-06-15 22:26:43 | B級グルメ
飲食店に対する生殺し同然の規制が敷かれていたとき、正月以外は無休だった「ラ・タベルナ」も、煽りを食って日祝日定休に追い込まれていました。そのような中、無休を貫いていた頼もしい店の一つが「バンビ」です。在宅のとき、以前から愛用してきた店として「ラ・タベルナ」「アジャンタ」「こうや」を挙げましたが、次点はここかもしれません。
看板にはSince1970の文字があります。つまり今年で創業50年、既出の三軒に勝るとも劣らない老舗です。洋食の老舗といえば、このblogで絶賛してきたのは赤坂の「津つ井」ですが、そこはかとなく高級感を漂わせるあちらに対して、当店の雰囲気はきわめて大衆的です。いや、有り体には「がさつ」といった方がよいかもしれません。駅前の呑み屋街の一角、オープンキッチンを囲む台形のカウンターで、昭和末期の歌謡曲が流れる中、黙々と飯を頬張るのはむくつけき男共ばかりです。
そのような店だけに、大味な点もあるにはあります。他の三軒とは違い、他人様に自信を持って勧めるほどの代物ではありません。とはいえ、多少の安っぽさがむしろ癖になるという点では、中毒性のある味ということもできます。いかなるときも店を開け、安く手早く野郎共の腹を満たす実直な商売が、人々に受け入れられてきた秘訣でしょうか。伊達に半世紀続いてきたわけではありません。
営業時間の短縮を余儀なくされていたとき、店先にはその旨を告知する張り紙とともに、この状況を必ず乗り越えると誓う檄文が掲げられていました。たとえお客が激減しても、無休での営業を続けてきた気概の一端を窺わせるものでした。まだ先行き不透明とはいえ、最悪の状況を切り抜けたのは事実です。奮闘ぶりに敬意を表するとともに、次なる半世紀も乗り越えてくれることを願います。

バンビ 四谷店
東京都新宿区四谷1-3 津嶋ビル1F
03-3355-4658
1100AM-2230PM
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