市街地にキャンプ場があり、その目の前に呑み屋街があるという僥倖に恵まれ、標津で呑むという瓢箪から駒の展開になりました。しばし逡巡の末、飛び込んだのは「しれとこ食堂」です。
当然何の情報も持たなかった中、せめてもの手がかりになるものが、キャンプ場の受付に備え付けられていました。「美味しべつ」と題された手製の冊子で、町内で営業中の、おそらく全ての飲食店が、一通りの情報と写真、寸評つきで紹介されていたのです。しかし、それを踏まえて呑み屋街を歩いてみても、これはと思える店は見当たりませんでした。そのような中、しいていうならここだろうと思ったのが、国道沿いにある小ぎれいな店です。ただしかなりの大店で、カウンターもあるにはあるというものの、一人で心おきなく呑めるかどうかは未知数でした。ともかく店へ行ってみると、半個室を中心にした店内が見え、やはりどうかという疑念の方が勝りました。結局そこには見切りをつけ、代わりに選んだのがここだったという顛末です。
店先の行灯には「しれとこ」とある一方、件の冊子には「しれとこ食堂」とありました。実際のところ、行灯にあるラーメン、おでん、串焼きの文字からして、稚内で世話になった「庄内食堂」を彷彿させる店構えをしています。要は純然たる居酒屋というより、酔客がなだれ込むラーメンに近い店ということです。そしてその予想はおおむね的中しました。おでんの他に一品でもあればと期待したものの、残念ながらそのようなものはなく、看板にあった三つと、あとは茶漬けがせいぜいだったのです。これでは心行くまで盃を傾ける状況でもありません。おでんを肴に酒を一杯飲み干した後、ラーメンをいただいて締めくくりました。
居酒屋として見た場合には中途半端な結果に終わったものの、それでもあながち悪くはありませんでした。入ったときこそ先客の姿はなかったものの、やがて二軒目、三軒目と思しき地元客が次々入り、遅い時間にもかかわらずたいそうな賑わいとなってきたのです。他の選択肢が乏しいという事情はあるにしても、それだけではないような気がします。うどんの出汁にもどことなく通ずる淡い色のスープは、いかにも酔客向けの味ながら、素面に近い状態でも十分美味しくいただける一杯でした。肌寒い晩秋の夜、ラーメンをすすって暖まり、地元の人々の生活にも触れられたという点において、訪ねた甲斐はあったというのが実感です。
★しれとこ食堂
標津郡標津町南1条西1-1-8
0153-82-2616
1800PM-030AM
不定休
当然何の情報も持たなかった中、せめてもの手がかりになるものが、キャンプ場の受付に備え付けられていました。「美味しべつ」と題された手製の冊子で、町内で営業中の、おそらく全ての飲食店が、一通りの情報と写真、寸評つきで紹介されていたのです。しかし、それを踏まえて呑み屋街を歩いてみても、これはと思える店は見当たりませんでした。そのような中、しいていうならここだろうと思ったのが、国道沿いにある小ぎれいな店です。ただしかなりの大店で、カウンターもあるにはあるというものの、一人で心おきなく呑めるかどうかは未知数でした。ともかく店へ行ってみると、半個室を中心にした店内が見え、やはりどうかという疑念の方が勝りました。結局そこには見切りをつけ、代わりに選んだのがここだったという顛末です。
店先の行灯には「しれとこ」とある一方、件の冊子には「しれとこ食堂」とありました。実際のところ、行灯にあるラーメン、おでん、串焼きの文字からして、稚内で世話になった「庄内食堂」を彷彿させる店構えをしています。要は純然たる居酒屋というより、酔客がなだれ込むラーメンに近い店ということです。そしてその予想はおおむね的中しました。おでんの他に一品でもあればと期待したものの、残念ながらそのようなものはなく、看板にあった三つと、あとは茶漬けがせいぜいだったのです。これでは心行くまで盃を傾ける状況でもありません。おでんを肴に酒を一杯飲み干した後、ラーメンをいただいて締めくくりました。
居酒屋として見た場合には中途半端な結果に終わったものの、それでもあながち悪くはありませんでした。入ったときこそ先客の姿はなかったものの、やがて二軒目、三軒目と思しき地元客が次々入り、遅い時間にもかかわらずたいそうな賑わいとなってきたのです。他の選択肢が乏しいという事情はあるにしても、それだけではないような気がします。うどんの出汁にもどことなく通ずる淡い色のスープは、いかにも酔客向けの味ながら、素面に近い状態でも十分美味しくいただける一杯でした。肌寒い晩秋の夜、ラーメンをすすって暖まり、地元の人々の生活にも触れられたという点において、訪ねた甲斐はあったというのが実感です。
★しれとこ食堂
標津郡標津町南1条西1-1-8
0153-82-2616
1800PM-030AM
不定休