日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2016 - 晩酌

2016-09-26 20:19:40 | 晩酌
日没まで活動し、それから宿探しをして買い出しを済ませ、さらに風呂、設営まで済ませると、晩酌を始められるのは何だかんだで10時過ぎになるのが常です。しかし今日は活動終了が早く、買い出しもセイコーマートで手早く済ませ、さらにはキャンプ場と温泉が隣接しているという好条件も重なり、八時という異例の早い開始となりました。先ほど下りの普通列車が走り去ったところです。

ここでキャンプをするとき、音威子府のセイコーマート以外に事実上調達手段がないことについては既に述べました。しかも音威子府のセイコーマートにはホットシェフもありません。このようなとき重宝するのが味付ラムジンギスカンです。これともやしを鍋で煮れば、それだけでもかなりの分量となるため、あとは100円惣菜を二つか三つ押さえれば足りてしまうのは助かります。
気温は引き続き14度で無風、これなら長袖シャツと雨合羽の組み合わせで乗り切れそうです。炊事場の方に街灯がついており、便利さを考えるならそこを拝借するのが賢明ですが、やはり今夜は星空の見える場所を選ぶのが一番でしょう。街灯から一番離れた暗い場所で、ランタンの明かりを頼りに晩酌します。

ちなみに、今日は北海道にとって忘れようとしても忘れられない一日です。かの洞爺丸事故が起こったのは62年前の今日でした。今夜は一転穏やかな星空となっています。犠牲者の冥福を祈り、献杯…

サッポロクラシック
北のポテトサラダ
中札内産卵のふんわり玉子焼き
大根粕漬け
味付ラムジンギスカン
もやし
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 天塩川温泉

2016-09-26 19:54:23 | 温泉
天塩川温泉のキャンプ場が旅人から絶大なる支持を受けている理由として、入念に手入れされた芝生、簡素ながらも必要にして十分な設備、慣れたキャンパーたちが集まる静かな雰囲気などが挙げられますが、実利の点でいえば無料であること、さらには敷地のすぐ隣に温泉があることが挙げられます。その温泉は北海道によくある宿泊施設と食堂を併設した半公営の施設で、温泉といいながら鉱泉を沸かしているのもありがちなことです。
しかし、キャンプ前の入浴を前提にした場合、最も重要なのは手近な場所にあることで、泉質はよければそれに越したことはないという程度なのが実情です。かような観点からすれば、キャンプ場に隣接した温泉には何物にも代え難い価値があります。日没後、設営後の走行を好まないライダーにとってはなおさらでしょう。
それにしても、日が暮れて気温が下がったこともあり、熱い風呂が肌身に染みました。昼の時点では当分長袖は必要ないと思ったはずが、今夜は道中初めて長袖シャツの出番となりそうです。音威子府まで北上し、ようやく晩秋らしくなってきました。

天塩川温泉
中川郡音威子府村咲来919
01656-5-3330
1000AM-2030PM(最終受付)
入浴料400円
泉質 ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉(中性低張性冷鉱泉)
泉温 9.8度
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 天塩川温泉リバーサイドキャンプ場

2016-09-26 19:14:16 | 北海道
来た道を引き返し、本日の宿となる天塩川温泉リバーサイドキャンプ場に到着。音威子府まで行ってから引き返す形となったことにより、本日は最終的に80km少々の走行となりました。只今設営を済ませたところです。
日が暮れた時点で18度あり、今夜もキャンプ日和かと思ったところが、その後次第に気温が下がり、現在14度となっています。とはいえ、氷点下にならない限りどうにかなることも経験上分かっています。今のところ風もなければ雨の予報もなく、まずは一安心といったところです。
それより意表を突かれたのは先客が全くいないことです。日頃世話になっている情報サイトでも最高の評価を得ている、旅人ならば知らない者はいないというほどの有名なキャンプ場であり、以前訪ねたときも相当数の先客がいました。それだけに、中旬と下旬の違いという事情を割り引いても、まさか貸切になるとは思いませんでした。
何かの事情で閉鎖されてしまったのかというとそうでもなさそうで、街灯はついており炊事場も洗面所も使えます。先客が全くいない状況でのキャンプは過去に何度も経験しており、歓迎こそすれ心細く感じるようなことではありません。満天の星空を仰ぎつつ、心行くまで晩酌をさせてもらいます。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 深まる秋

2016-09-26 17:33:19 | 北海道
普通列車の減便により、稚内方面の列車は17時7分という異例の早い終発となってしまいました。その最終列車が走り去るのを見届け、あとはキャンプ場へ向かうだけです。
五時過ぎという昨日以上の早い終了だけに、駅前旅館があればそこへ飛び込むにもやぶさかではないものの、残念ながらその手の宿はいずれも廃業してしまったようです。セイコーマートで酒と食料を買い、キャンプ場に着き次第設営を済ませて一風呂浴び、しかる後に晩酌という流れになります。前回泊まったときは気温が10度近くまで下がり、寒さに震えながらのキャンプでしたが、今のところ気温は17.5度あります。半袖で通すのは無理だとしても、雨合羽を一枚羽織ればどうにかなるでしょう。

上陸以来一貫して暖かく、晩秋というより九月の上旬、中旬あたりの季節感が続いています。しかし、今日晩秋を実感する場面が少ないながらもありました。一つは美深と紋穂内で遭遇したDE15の試運転ですが、もう一つは日の傾く早さです。
上陸初日は一日曇りか雨、翌日も午後から晴れはしたものの日の陰る場面が多く、昨日も午前は快晴で午後は日差しが隠れがちという空模様でした。しかし今日は、時間が経てば経つほど空が晴れわたり、その分日差しが弱まって行く様子を刻一刻と見届けることができました。二時を過ぎれば日が傾き出したと分かり、場所によっては四時台の前半、よほど開けた場所を除き五時までには日が陰るというのがおおよその目安です。
さらに気付いたのは、先ほどから白くて細かい虫が飛んでいることです。経験が乏しいため確たることはいえないものの、これがいわゆる雪虫というものなのでしょうか。名寄では蚊が飛んでいたわけであり、初雪の時期から遡っても、九月の下旬に雪虫が飛ぶというのはあまりに早すぎます。しかし、去年もほぼ同じ時期に白滝で似たような虫を目撃しており、あながち見間違いともいいきれません。真偽のほどはともかく、秋が深まりつつあることだけは間違いないようです。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 音威子府駅

2016-09-26 16:54:34 | 北海道
まあ予想通りというか、結局音威子府まで70kmほどしか北上できませんでした。しかし切りのよい場所まで来られたのでよしとします。
かつて天北線を分けた道北の要衝も、今や人口千人足らずの過疎地となってしまいました。しかし、背の高い山小屋風の駅舎の脇には保線区の詰所が建ち、少し離れた場所には職員住宅もあります。存続問題が表面化し、いよいよ先行き不透明となってきた宗谷北線ですが、音威子府に関する限り、今なお健在の様子なのは幸いです。駅舎を照らしていた西日が陰るのを見届けて、本日の昼の部は終了と相成りました。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 咲来駅

2016-09-26 16:23:31 | 北海道
駅舎の方角からして完全な逆光になる豊清水、キャンプ場の最寄りの天塩川温泉を飛ばして咲来駅を訪ねます。恩根内と同様、防雪林と線路で国道と隔てられた反対側に、北海道ではこれでも「市街」と呼べる程度のささやかな集落があり、それを一番奥まで進むと未舗装の駅前が広がって、その右奥にホームと待合室が現れました。道の突き当たりに建物の基礎が残っていることからして、かつてはここに駅舎があり、少し離れた場所にホームを置いた造りだったのでしょう。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 恩根内駅

2016-09-26 15:33:09 | 北海道
40号線に戻って北上し、旧道にそれたところに現れるのが紋穂内駅です。駅前通りの突き当たりには、JR初期に改築された駅舎が鎮座し、駅前には少ないながらも民家があって、駅前通りの先には郵便局が。駅の傍らには煉瓦造りの農業倉庫もあるなど、雰囲気が智恵文駅によく似た雰囲気です。
ちなみに、駅の手前の四種踏切で、先ほど通過した下りの普通列車を撮りました。線路との距離感をつかみ損ない、中途半端な結果に終わってしまったものの、側面から西日を浴びた列車が右にカーブを切りつつ迫ってくる構図は上々でした。あと少しで下りの「サロベツ」が来るため、今からそれを狙います。日中の残り時間からしても、今日は音威子府まで行くのがせいぜいでしょう。その結果、今夜は天塩川温泉で道中初のキャンプを張る可能性が高くなりました。この場合、買い出しの手段は事実上音威子府のセイコーマートしかないため、こちらも満を持しての初登場となりそうです。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 紋穂内駅

2016-09-26 15:02:13 | 北海道
国道から分かれた道道で天塩川の対岸に渡り、それが尽きたところに紋穂内駅があります。本日二ヶ所目となる貨車駅舎ですが、安普請ながらも改装が施されていた智恵文駅に対し、こちらは塗装がひび割れ荒れ放題、駅前にも人家は一切見当たらず、あちら以上にうらぶれた雰囲気です。しかし、駅前に一台止まった自転車が、この駅にも利用客がいることを物語っています。
ちなみに、鳴るはずのない踏切がまたも鳴り、次に汽笛が聞こえると、先ほど美深で見かけたDE15が上ってきました。時間からしておそらく音威子府で折り返したのでしょう。ホームに進入してくるところを一応記録しましたが、あまりに咄嗟のことでレンズを付け替える余裕もなかったのが惜しまれます。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 初野駅

2016-09-26 14:42:12 | 北海道
腹ごしらえを済ませたところで移動を再開します。まず立ち寄るのは初野駅です。防雪林の切れ目となる踏切に接する形で、朝礼台のホームとスーパーハウスの待合室があり、ホームにはまたも同業者の姿が。しかし車はありません。おそらく先ほど通った上りの普通列車から降り、この後来る下りの普通列車で次の駅へ向かうのでしょう。南美深、北星、日進など味わい深い駅が他にも多々ある中、この駅でわざわざ降りたということは、既に相当数の駅で乗り降りしているのでしょうか。自分には真似のできない芸当です。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 井上大衆食堂

2016-09-26 14:05:38 | B級グルメ
今回の活動では異例ともいえる事態が起きています。上陸四日目にしていまだにセイコーマートの出番がないことです。これは三日連続宿泊だったのに加え、昼も抜きだったり駅前食堂に入ったりしたためですが、本日もツーリングマップルRで紹介されている町中の食堂に入りました。訪ねるのは「井上大衆食堂」です。
昨日訪ねた「三星食堂」が、昔ながらの虚飾のない駅前食堂だったこともあり、この店に対しても同じ雰囲気を勝手に期待していたところが、実態は全く異なるものでした。実質三席ばかりのカウンターに小上がりのテーブル席をいくつか並べた店内は、有り体にいえば少々うらぶれており、カウンターの頭上には色褪せた品書きの短冊が並びます。しかし、声に出して読みたくなるほど簡明にして直截だった「三星食堂」の品書きに対し、こちらの品書きはカレーの全国チェーン並に複雑で、初見では即座に理解できません。手元の品書きを熟読し、店主の説明も拝聴して分かったのは、ラーメンのスープがAからGまで7種類あり、さらにタレの味が醤油、塩、味噌、カレー、担々の5種、麺も美深、名寄、旭川、札幌の5社による7種があり、さらに麺の量と固さも選べるということでした。カレーと定食も辛さ、ご飯の量、肉の量、トッピングが何通りも選べるため、掛け算で無数の組み合わせができるという仕掛けです。
どれが最善なのか見当もつかないまま、ともかくラーメンをいただくことにして、スープはポークスープにラードを加えたBを、麺は基本だという名寄の豊岡製を選び、味は醤油、それに90円増で追加のチャーシューを注文。しばらくすると、チャーシュー、メンマ、ネギを別皿にして、さらに豆板醤、ラー油、ニンニクなどの調味料の瓶を乗せたお盆が運ばれてきました。豚骨ではなく「ポークミックス」とあるように、シチュー、ポトフのような洋の風味を感じるスープです。麺とチャーシューもおいしく、他のスープも試してみたくなってきます。怪しげな雰囲気と品書きに一瞬身構えましたが、ライダー御用達の味に間違いはありませんでした。

井上食堂
中川郡美深町大通り北3-3
01656-2-1031
1000AM-2100PM
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 美深駅

2016-09-26 13:17:53 | 北海道
名寄以来の有人駅がここで登場。美深駅を訪ねます。美幸線の廃止後に建て替えられた駅だけに、古びた味わいはないものの、煉瓦タイルを門型に積み上げた二階建ては堂々としており、その中央から「美幸の鐘」と名付けられた高い塔が突き出て、青空に抜ける様子は意外なほど様になっています。
美幸線といえば、何回北海道に足を運んでも立ち寄れずにいる路線の一つであり、かなりの数の遺構が残っているのも承知しています。しかし、それらを回れば日中の残り時間を使い切るのは確実です。今回は廃止路線より現役路線を優先しなければなりません。稚内から戻るとき、時間が許せば訪ねることにします。

ちなみに、上り方の踏切が鳴り出して汽笛が聞こえ、やがてラッセルヘッドを外したDE15が単機で入ってきました。ラッセル車の試運転には相当早い時期ですが、来るべき冬に備えて習熟運転でもしているのでしょうか。まだ初秋を思わせる陽気の中、北国では早くも冬支度が始まっているようです。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 南美深駅

2016-09-26 12:30:10 | 北海道
続いては南美深駅を訪ねます。朝礼台と、少し離れた場所にある待合室という組み合わせが復活。三角形のファサードに「南美深待合所」の看板を掲げた待合室の外壁は、かつてのEF58青大将を彷彿させる明るい緑色に塗り直されており、やや濃い緑色をした屋根との取り合わせが様になっています。
駅前にはもう見られないかと思っていた田圃が広がっています。稲作の北限は遠別だそうで、そうだとするとこの沿線でも音威子府あたりまでは田圃があるのでしょうか。しかし、美深からはますます平地が少なくなってくることを考えると、このあたりが事実上の北限なのかもしれません。

ちなみに、帯広ナンバーのレンタカーに乗った同業者が現れ、さらには先ほど智北で遭遇した同業者もこちらに追いつき、行き交う車もほとんどない駅前で、三人の同業者が鉢合わせる結果となりました。たとえば去年も金華駅で同業者に出くわしたことはあるものの、よりによって三人集まるとは何とも間の悪い話です。彼等とはいずれまたどこかで遭遇するのでしょうか。これ以上騒がれ出す前に、早く回っておいた方がよさそうです。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 智北駅

2016-09-26 12:18:28 | 北海道
続いて訪ねるのは智北駅です。これまで訪ねてきた駅というと、簡素な無人駅ながらも待合室の佇まいと周辺の雰囲気に味があり、しばし滞在したくなるところが多かったものですが、こちらは鉄骨を組んだホームに接する形でスーパーハウスのような待合室を造っただけと味気なく、去年訪ねた留萌本線の信砂によく似ています。
駅周辺に人家はなく、ホームの向こうに広がる牧草地に農家がいくつか点在しているに過ぎません。あの農家の人々が駅まで歩いて乗りに来るとも思えませんが、駅前には自転車が二台止まっています。つまり、この駅を利用している通学客が少なくとも二人はいるわけです。よそ者にしてみれば何のためにあるかが不可解な駅であっても、地元の人々には不可欠な存在なのだと実感させられます。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 北星駅

2016-09-26 11:50:46 | 北海道
そのようなわけで、一つ戻って北星駅を訪ねます。いわゆる朝礼台と、少し離れた場所に建つ安普請の、しかし味わいのある待合室という組み合わせは日進駅と同様です。赤い屋根、無塗装の羽目板に木のサッシという昔のままの姿で残るこの待合室、駅名の表示がない代わりに、赤地に白抜き文字で「毛」「織の」「北」「紡」と力強く書かれた正方形の琺瑯看板が幅一杯に並んでおり、それらが星形のロゴマークを中心に左右対称をなしているのは心憎いものがあります。
コメント

晩秋の大地を行く 2016 - 智恵文駅

2016-09-26 11:17:21 | 北海道
一駅飛ばして智恵文駅を訪ねます。国鉄末期に道内各地で造られた貨車駅舎で、しかもそれに紫色のトタン板が張り付けられているため、建物自体は特段鑑賞に値するようなものではありません。しかし、国道から延びてきた道が未舗装の駅前に突き当たり、片隅には煉瓦造りの農業倉庫が、駅前通りには郵便局があって、かつてはここも農産物の積み出しで賑わったのだろうと想像できます。

ちなみに一駅飛ばしたのは、順番通りに辿ろうとすると、未舗装路を延々行かなければならない可能性があったためです。開けた場所を直線主体で貫いていた名寄までと違い、この先は天塩川に沿ってうねうねと行く区間が続きます。国道の反対側にある駅も多く、その結果このように順序を入れ替えたり迂回したりする必要が出てくるわけです。
それとともに変わったのは、田圃が一切なくなり、その代わりに牧場が増えてきたことです。先へ行けば行くほど最果ての雰囲気が色濃くなるでしょう。
コメント