日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2018続編 - 下北物語

2018-10-13 22:12:33 | 居酒屋
標津より賑やかなのは確かでも、弘前、青森、八戸に比べてしまえばささやかな繁華街です。一軒目を出た時点で明かりはまばらになってきました。時間が経てば経つほど選択肢が狭まることを考えると、次へ行くなら間髪入れずに飛び込むしかありません。腹ごなしをする間もなく同じ並びの店に入りました。続いて訪ねるのは「下北物語」です。
最初にどこへ行くかと考えたとき、ここも候補の一つでした。店先に客待ちのタクシーが止まっており、有数の繁盛店なのだろうと推察されたからです。一軒目の段階では見るからに大店なのを敬遠して見送ったものの、もう一軒はしごするなら有力だろうと思っていました。同じく候補と目していた蕎麦居酒屋が閉まっていたことにより、迷いなく暖簾をくぐるという顛末です。
炉端焼きのようにも見える赤提灯と縄暖簾の店構えに比して、カウンターは四席のみと意外なほどにささやかでした。半個室の座敷が中心で、カウンターはおまけ程度という位置付けのようです。とはいえ、カウンターと他の区画が分けられて、一人でも気兼ねがないのは「海魚」と共通しています。大店故に品数は豊富ながら、日替わりのおすすめと地酒は別紙にまとめられ、二軒目ならそれだけあれば十分です。地物のマコガレイと秋刀魚を肴に、下北の地酒を二合飲み干し切り上げました。

下北物語
むつ市田名部町3-8
0175-22-4896
1700PM-2300PM(LO)
月曜定休

北勇・関乃井
お通し(ひじき煮)
津軽海峡産マコガレイ刺
さんま塩焼
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 海魚

2018-10-13 20:52:51 | 居酒屋
出発前の時点では、下北へ行くならキャンプだろうと思っていました。北海道並みの低料金で利用できるキャンプ場が複数ある一方、町に泊まって呑もうにも、店の心当たりがなかったからです。しかるに逆の結論となったのは、田名部の町に入って呑み屋街の灯りが見えてきたとき、ここで一杯やっていきたいという考えが、俄に頭をもたげてきたからに他なりません。
実は、投宿に先立って呑み屋街を歩いてはみたものの、宿代を払ってまで入りたいと思える店は見当たりませんでした。しかし、いかにも北国らしい長屋の呑み屋街が点在しているのを見て、無碍に素通りしがたくなったとでも申しましょうか。自走では初めて訪ねる下北半島の、土産話の一つにでもなってくれれば、それだけで十分のように思えてきた次第です。つまり、標津のときと同様に、酒、肴、居心地を堪能するというよりは、最果ての呑み屋街で一杯やること自体に意義があると考えての選択でした。最良とは行かないまでも、そこそこ満足できる店に出会えれば十分と思ってはいたのです。とはいえ、今後再び巡ってくるかどうかも分からない貴重な機会ということになると、必要以上に逡巡してしまいます。
まず向かったのは、若い店主が作ったらしき横文字の店です。荒削りな部分はありながらも、実力を示してくれそうな予感がしてのことでした。しかし、いざ店先へ立ってみると、奥の方から先客らの歓声が聞こえてきます。扉を少し開いてのぞき込んでも、カウンターの様子を知ることはできず、客層の若さが窺われるだけでした。結局、一人客が落ち着いて呑める店ではなかろうと判断して敬遠。通りの向かい側にある店に目標を切り替えました。ところが、ここでも先客らの歓声が聞こえてくるという同様の結果に。続いては、少し離れたところにある、大衆割烹然とした店をのぞいてみるも、カウンターの様子からしてそろそろ仕舞いの雰囲気が漂い、こちらはこちらで入りづらいものがあります。事前に当たりをつけた店が、いずれも微妙に入りづらいという悩ましい状況の中、先ほど気付かなかった小路の奥の居酒屋に目が留まり、そちらに落ち着いたという顛末です。

北国の繁華街にありがちなのが、向かい合わせにした長屋を屋根で覆った小路です。吹きすさぶ風雪を避けるための工夫でしょう。この店も「田名部横丁」なる長屋の一番奥にあります。店先に品書きはないものの、赤提灯と染め抜きの暖簾には看過しがたいものがありました。その向こう側から漏れてくるTVの音は気になるものの、それを理由に敬遠しようというよりも、ともかく暖簾をくぐってみようと思わせる佇まいです。意を決して飛び込むと、こちらの予感がある程度まで正しかったと直感しました。
10席分以上はある長いカウンターを中心にして、座敷を二階に分けた造りは、一人で呑むには好都合。地酒と日替わりの肴をそれぞれ一枚のホワイトボードにまとめて、同じものを左右に一対ずつ掲げ、どの席からでも見やすくした品書きも好ましいものがあります。来年還暦という店主が一人で仕切る店だけに、品数は決して多くないものの、酒呑みのツボを押さえて過不足なく揃えたところに、居酒屋としての実力の一端が窺われました。話し好きな店主による軽妙な客あしらいと、常連の一人客がふらりと立ち寄る雰囲気も上々。突出した美点こそないものの、当地で呑む機会が再び巡ってきたときは、再訪してみたいと思える一軒です。

海魚
むつ市田名部町3-3
0175-23-5162
1700PM-2200PM
水曜定休

寒立馬・八仙
お通し(もずく)
あぶらめ刺身
いか塩辛
みそ貝焼き
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 投宿

2018-10-13 19:29:47 | 東北
結局今夜は宿泊ということで結論が出ました。投宿して一息ついたところです。
青森からは140km走りました。夏泊半島を回った分を差し引いても120kmほどになり、金沢から輪島までと比べても大差なかったことになります。最北端の大間まで、さらに50km近くもあることを考えると、先は長いというのが実感です。
しかし、ここまでに関していえば、輪島ほど遠いとまでは感じませんでした。これは、野辺地から先に限れば60km少々だったのに加えて、道が平坦かつ直線的だったという事情によるところもあります。
完全に平坦かつ一直線というわけではありません。平地はそれほど広くなく、道にも常に起伏があります。ただし、高い山が全くないため、海岸段丘を上り下りするような区間が一切なく、自転車でも走れそうな緩い坂が延々繰り返されます。陸奥湾の眺めについてはおおむね予想通りだったのに対して、陸側の眺めと地形は独特でした。この先の車窓がどう変わるかも楽しみです。
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 寿湯

2018-10-13 18:20:35 | 温泉
とっぷりと暮れたところでむつ市街に入りました。市街の中心がいよいよ近付き、橋の袂の信号で止まると、少し離れた川沿いに、呑み屋街らしき灯りが見えました。次いで反対側に目を遣ると、今度は「温泉浴場」の行灯が。キャンプをするにも宿泊するにも、どのみち風呂には入らなければなりません。その風呂が目の前にあるなら渡りに船です。咄嗟に左折し飛び込みました。立ち寄るのは寿湯です。

★寿湯
むつ市小川町2-4-29
0175-22-2502
1400PM-2100PM
月曜定休
入浴料450円
泉質 ナトリウム-塩化物冷鉱泉
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 陸奥横浜駅

2018-10-13 16:34:50 | 東北
夏泊半島を一周して国道4号線に再び合流。野辺地からは279号線で下北半島を北上してきました。只今陸奥横浜の駅を訪ねています。正面から右側へ大きな庇を回し、その下に前室を作った、北国らしい木造駅舎が健在です。半分ほどが日陰に隠れてしまったものの、弱い西日を浴びた姿をどうにか記録できました。
天気待ちで時間を消費し、さらには夏泊半島を回ったことにより、下北半島へ行ったとしても時間的には半端になりかねませんでした。野辺地から南下すれば七戸に至り、そこから西へひたすら走れば弘前です。こうなると、俄然津軽へ行きたくなるのが人情ではあります。しかるにそれを振り切ったのは、今回に関する限り、なじみの場所より知らないところへ行きたかったからに他なりません。秋の津軽は三年前が最後とはいえ、七戸から弘前まではその間何度も走りました。そこから先も、何度も走った道を同じように走って帰ることになるでしょう。馬鹿の一つ覚えを繰り返すより、北へ走ってみたくなったというのが真相です。
このまま行けば、明るいうちにむつ市街には着きそうです。市街をざっと見回して、これはと思う呑み屋があり、なおかつ宿が空いているなら、そのまま投宿するにもやぶさかではありませんが、見当たらなければ薬研か大間でキャンプを張ります。
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 夏泊半島

2018-10-13 14:19:46 | 東北
酒と土産を買ってからようやく出発。国道4号線を東へ走り、浅虫を過ぎたところで、夏泊半島を周回する県道9号線に入りました。11時の位置まで走り、海沿いの駐車帯に車を止めたところです。
正面には下北半島、左前方には津軽半島が見え、その彼方にはさらに遠い半島の陰が浮かんでします。先端の形状からして、おそらく竜飛岬でしょう。ここから北海道まで見渡すのはさすがに厳しそうですが、それでも陸奥湾を一望していることになります。

昨晩八甲田へ行くようなことを匂わせましたが、その後下北半島へ行こうという考えが俄に浮上しました。下北半島といえば、汽車旅でも長きにわたって無沙汰しており、自身の運転で走ったことは一度もありません。五月にも行ってみようと企てながら、天候が振るわずに見送りました。しかし今回、土日の両日とも晴れるとの予報が出たため、再挑戦する案が浮上してきた次第です。
しかるにまだ夏泊半島などを走っているのは、ここまで期待ほどには晴れなかったからです。空全体に分厚い雲が漂って、大半の時間にわたり日が陰っていたため、この天候でわざわざ行くかと消極的になったのでした。そこでしばらく様子を見ていたところ、一時を過ぎた頃からようやく日が射してきたため、ともかく青森市街を出ました。ただ、その後もすっかり晴れたとまでは言い難かったため、とりあえず夏泊半島へやってきたという顛末です。
今更という感はあるものの、ようやく空は晴れてきて、下北半島も視界に入る限りでは晴れています。ただし、五時には日が暮れることを考えると、今から行ってもどこまで走れるかは微妙です。中途半端になりそうな場合は、夏泊半島を一周したところで切り上げ、津軽へ行くのも一案でしょう。ともかく今は先を目指します。
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 大黒寿司

2018-10-13 12:28:09 | 居酒屋
新青森に着くのが10時過ぎという条件から、早めのお昼に中華そばをいただこうと思っていました。駅の近くに長尾中華そばがあり、少し走れば以前世話になったひらこ屋もあるからです。しかしそのつもりでひらこ屋へ向かうと、行列こそなかったものの、接客の青年が駐車場を巡回しています。どうやら車の中で待ち、順番で案内される仕組みのようです。その結果、待たされるのを嫌って敬遠。7号線を引き返し、長尾中華そばも素通りして青森市街に入りました。代わりに立ち寄ったのは大黒寿司です。
寿司屋で呑むという習慣を持たない自分が、ここに限って何度も世話になってきたのは、いわば居酒屋使いのできる寿司屋だからに他なりません。つまり、自分にとっては一杯やれない状況で訪ねても仕方ないとはいえるのです。それでも結局訪ねたのは、挨拶代わりに寄っておこうと思い立ったからでもあります。先週末、朝帰りと引き替えに一杯やっていくかと考えながら、結局見送った分の穴埋めという趣旨もあります。
こうして暖簾をくぐったところ、見慣れた二人組が「まいどさま」の第一声で迎えてくれました。昼に来るとは珍しいとの一言も。そうなると、昼から一杯やれないのがなおさら惜しくなってきます。とはいえ挨拶代わりという目的を果たせたのは幸いです。
冬場の三連休を利用した汽車旅では、帰りの列車が出る前に、ここで一献傾けて締めくくるのが恒例です。そのときにまた来年お会いしましょう…

大黒寿司
青森市新町1-2-6
017-722-6480
1100AM-2200PM
祝日除く火曜定休
すしランチ980円
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 津軽新城駅

2018-10-13 11:36:24 | 東北
最初に立ち寄るのは新青森の一つ隣の津軽新城駅、雪国には珍しい入母屋の木造駅舎が健在です。しかし、健在だからといって予断を許さないのが東日本管内の駅舎でもあります。駅の裏手を旧国道が通っており、そちらの方が開けていることからすると、いつ橋上駅舎に建て替えられてもおかしくはありません。最新の機材で今一度押さえることができたのは幸いです。
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晩秋の大地を行く 2018続編 - 新青森駅

2018-10-13 10:46:52 | 東北
新青森に着きました。車を引き取り出発します。今回一時帰京の拠点にしたのは、駅に併設された市営の立体駐車場です。料金は一日当たり800円、つまり八戸と盛岡よりも割高です。しかし、屋内に止められ管理人も常駐となれば安心感が違ってきます。すぐ近くに600円の民間駐車場があるものの、こちらを選ぶということで迷いはありませんでした。
ちなみに、月末に乗車する「サンライズ」の手配もついでに済ませました。深川駅では悪戦苦闘しながら発券できないという結果に終わりましたが、ある程度乗客数のある駅なら、係員も熟練しているということなのでしょう。来週末までに自走で帰り、その後西へと転戦するのが今のところの予定です。
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晩秋の大地を行く 2018続編 - はやぶさ47号

2018-10-13 07:09:12 | 東北
東北に車を置いて帰るとき、八戸以北を起点にすると、何かにつけて面倒です。現地への往復が「全車指定席のはやぶさ」になってしまうからです。指定料と「はやぶさ」の割増料金、合わせて千円ほどの出費が要るのはまだよしとしましょう。何より問題なのは、北海道新幹線の開業後「はやぶさ」の混雑が慢性化してきたことです。これにより、「やまびこ」も選べる盛岡まではよいものの、そこから先への移動が格段に煩わしくなってしまいました。しかし幸い、今回は行きも帰りも臨時列車の設定がありました。始発の一本後を行く臨時列車で青森へ下ります。
小樽で列車を手配したとき、始発列車もとれたかどうかが定かではありません。始発と比べるまでもなく、臨時列車があるならそれだと即決したからです。新青森への到着時刻で比べると20分しか違わない以上、空いた方で行くことについては迷いがありませんでした。

それはよいのですが、東京駅に着くなり興ざめさせられました。「ないない尽くし」の案内放送が連呼されていたのです。指定席特急券がなければ乗車できない、車内での変更は受け付けない、デッキに立つこともできない、臨時列車なので車内販売はしない、というのがその内容です。できないことを並べ立てる前に、全車指定席だからこそ提供できる価値がいくばくかでもあるのなら、それを提案してもらいたいものですが。もてなしの精神の欠片もないこの会社の体質が、ありありと窺われるお粗末さでした。

★東京656/はやぶさ47(2047B)/1007新青森
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