日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅 2018 - 夜空のジンギスカン

2018-05-06 22:01:17 | 居酒屋
上陸以来毎日雨に降られたにもかかわらず、小雨だったりすぐ止んだり、屋内、車内でやり過ごしたりしてきたため、一度も傘を開いていません。こうなると、このまま傘を差さずに乗り切ろうという考えが頭をもたげてきます。幸い、札幌に着いたところで雨は幾分弱まりました。雨合羽だけ羽織ってすすきのへ繰り出します。
すすきのに中洲といえば東西の一大歓楽街ですが、両者に共通する特徴として、日曜には極度なまでに選択肢が限られるという点を挙げることができます。その経験則を踏まえ、期待はせずに臨んだものの、実態はそれをもさらに下回っていました。頼みの綱の「ふらの」が早仕舞いしてしまった中、代わりの店の心当たりを二軒ほど訪ねるも、臨時休業なのか早仕舞いなのか、ともかく店は閉まっていました。これにより、選択肢はジンギスカンに事実上限られました。多少なりとも勝手の分かったところをと考え、一昨年世話になった「夜空のジンギスカン」に落ち着くという結果です。

こうして実現した二年ぶりの再訪でしたが、結論から申しますと、波に乗り切れなかったとでもいえばよいでしょうか。店の良し悪しという以前に、そもそも生ラムジンギスカンというものが自分に合わないのかもしれません。ここで「合わない」というのは、味覚的に受け付けないということではなく、店の仕組みが合わないということを意味します。
勝手が悪いといえば寿司屋も同じですが、それでも昨夜訪ねたえりもの店ではそれなりに楽しむことができました。まず酒を頼み、次に刺身をいただき、真打ちに寿司をつまむという流れが、居酒屋のそれに比べて本質的には異ならないからでしょう。
ところがこの店の場合、席に着くや否や肉の注文を聞かれます。こちらとしては、まず煮込みかキムチあたりでビールを飲み干し、次に野菜焼でもいただいて、真打ちに肉を投入したいところなのですが、そのようなお客は他にいないのでしょうか。目の前で火が赤々と燃えている中、ともかく肉を注文せざるを得ない雰囲気につられ、アスパラ、煮込みとともに肉も一人前だけ頼んだ結果、付け合わせの野菜と合わせて四つもの品々が並ぶ結果となってしまい、何とも落ち着きませんでした。

そのようなわけで、味自体決して悪くはなかったものの、注文の仕組みがそもそも自分に合っておらず、存分には楽しめなかったというのが実情です。日曜といえども日本酒バーに屋台など若干の選択肢がある福岡と違い、日曜の札幌では今のところ決定版といえる店がありません。そもそも日曜に泊まるという状況を避けるのが第一ではありますが、今回のようにやむなく泊まる機会が出てくる可能性もあるでしょう。そのような場合に備え、もう少し模索を続ける必要がありそうです。

夜空のジンギスカン本店
札幌市中央区南4条西4丁目 MYプラザビル10F
050-5868-0204
1700PM-030AM(LO)
大晦日及び元日休業

サッポロクラシック
オーストラリア産生ラム
北海道産グリーンアスパラ
ラムのすじ煮込み
コメント

北海道花見の旅 2018 - 最後の夜

2018-05-06 20:57:11 | 北海道
その後もおおむね順調に走って札幌に着きました。出発からの走行距離は2180kmに達し、今日だけで300km以上を走ったことになります。三年前に「北斗星」を追いかけたとき、一日で450km走ったことはありますが、それを除けば300kmを超えることは滅多にありません。襟裳岬の遠さを改めて実感させられる数字です。
気温は終日10度を超えず、札幌市街でも7.5度しかありません。結局今日は終日真冬と同じ耐寒装備で過ごしました。本降りの雨にもたたられ、結果としては昨日走った道を延々引き返すだけの一日でした。主題と位置付けていた襟裳岬で、短い時間とはいえ晴れたのがせめてもの救いだったことになります。

道内最後の夜は法華クラブの世話になります。萱野はどうしたと思われたかもしれません。もちろん萱野に泊まれればそれに越したことはありませんでした。そもそも、日曜のすすきのには多くを期待できません。明日の予定を考えても、萱野を拠点にした方がはるかに有利でした。それにもかかわらずこのような結果となったのは、早い話またも電話が通じなかったからに他なりません。
本日の経路上、早来が札幌方面と萱野方面の分かれ道となりました。そこまで走れば到着時刻も読めてきます。そこで、早来まで走ったところで電話を入れるも応答がなく、時間を置いて二度かけ直しても同様でした。三回かけて出ないということは、おそらく一家で外出したのでしょう。
隣に住む弟さんが在宅なら、何はともあれ現地に乗り込み、事情を話して開けてもらうという手はあります。しかし、北海道の旅人宿は、他人様の善意によって成り立つものです。既に二晩世話になったばかりか、無理を言ってさらに一晩泊めてもらうというのは、善意に甘えすぎのような気がしました。その結果、札幌に泊まるということで結論が出た次第です。

そのようなわけで、泊まれなかったと嘆くより、二晩世話になったことに感謝したいというのが第一です。明日は朝食バイキングという楽しみもあります。上記の通り、日曜のすすきのには多くを期待できないため、今夜は早めに切り上げて、朝食をたらふくいただくのも一案でしょう。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 帰りの仕度

2018-05-06 19:19:34 | 北海道
静内からは若干経路を変えたものの、内陸の道道主体の経路は堅持。237号線と234号線をごく短区間走ったのを除き、国道を一切使わず千歳まで走りきりました。ここから36号線に合流して札幌へ向かおうという寸法です。
道内滞在もいよいよ残り一日です。しかし、明日予報通りに晴れたとすれば、何かと慌ただしくなるでしょう。そうなる前に帰りの仕度を済ませておきます。沿道にイオンが現れたため、こちらで職場向けのマルセイバターサンドを押さえました。

駐車場にはソメイヨシノが咲いており、雨に打たれてもなお満開を保っています。昨日から今日にかけて、桜といえば十中八九かそれ以上がエゾヤマザクラで、ソメイヨシノの並木は一昨日の東明公園以来ということになります。道央に戻ってきたと実感する光景です。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 千島桜

2018-05-06 16:38:16 | 北海道
引き続き同じ経路で静内の二十間道路に戻ってきました。昨日は桜並木の北端にある凌雲閣の周辺を主体にしましたが、今日は南端にある桜舞馬公園を訪ねました。というのも、昨日見忘れていたものがあることを思い出したのです。
遊歩道が円形に巡らされ、その外周にかつての名馬を顕彰する碑と桜が並ぶというのがここの眺めです。ほぼエゾヤマザクラの桜並木に対して、ここではソメイヨシノ、高嶺桜などそれ以外の桜も加わり、いわば弘前公園のピクニック広場のような一角となっています。その中でこちらが目当てにしていたのは千島桜です。釧路まで足を延ばしていたときは、この桜がエゾヤマザクラ、八重桜と並ぶ主役の一つでした。しかし、道東以外でお目にかかれる場所は少なく、今回の道中でもこの公園が唯一の心当たりです。それだけに、天候にかかわらず訪ねておこうと思い立ったのでした。
その千島桜は小雨に濡れて佇んでいました。地面に顔を出すやいなや枝分かれする背の低い佇まいは、一目でそれと分かるものです。一方、ソメイヨシノに似た色合いと記憶していた花びらは、やや赤みを帯びているようにも見えます。散り際に赤っぽくなる桜は多いものですが、千島桜についても同じなのでしょうか。真相のほどはともかく、最後に立ち寄れたのは幸いです。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 本降り

2018-05-06 15:07:02 | 北海道
前言を撤回し、昨日と全く同じ経路を戻ってきました。というのも、えりもを出て少し走った頃からいよいよ雨が降り出して、車窓については全く期待できなくなってしまったからです。どのみち車窓を度外視するなら、先行車を気にせず走れる内陸の道の方がよかろうと考えました。
全く同じ経路ということは、優駿さくらロードを再訪できるということでもあります。この雨では見物客が来るはずもなく、着いた時点で駐車場に先客はいませんでした。行き交う人の姿もない並木道で、雨に打たれる桜というのも情緒があってよいものです。傘を差しても濡れるほどの本降りだけに、しみじみ観賞するつもりまではないものの、牧草地を背にした姿を一枚だけ記録しました。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 鉛色

2018-05-06 14:12:50 | 北海道
えりもに戻ってきたことからもお分かりの通り、この後は太平洋側を通って道央へ引き返します。嘘か真か、明日は雨上がりの晴天が予想されており、的中すれば空知で花見をして有終の美を飾りたいからです。十勝に寄っていきたいのはやまやまながら、この場合帯広へ着く頃には日が暮れてしまい、その日のうちに戻るのが難しくなりかねません。帯広に泊まったとしても、少なくとも明日の午前中は移動に費やされることになります。よって今回十勝は見送り、最短経路で戻ることにした次第です。
あいにく今日の空は鉛色に曇ってしまい、車窓については多くを期待できそうにありません。しかし、全く同じ経路で戻るのも芸のない話です。往路は内陸の道を経由したため、復路は海沿いの国道で戻ることになりそうです。常識的な時間に着けばもう一度萱野のライダーハウスの世話になるつもりですが、あまりに遅くなるようなら札幌に泊まることも検討します。
コメント

北海道花見の旅 2018 - イートイン

2018-05-06 13:43:32 | B級グルメ
内陸を短絡する国道経由でえりもの市街に戻りました。ここでようやく遅い朝食兼昼食をいただくことができます。上陸初日は沿道の店舗がことごとくホットシェフ非設置店で面食らいましたが、えりもの二軒はいずれもイートインまで設置した店舗で、それぞれ東行きと西行きの車線に面しています。西行きの車線から左折で入れる手前の店舗に飛び込みました。本日選んだのは親子丼500円也。単価が低いからなのか、どこにでもあるカツ丼、豚丼よりも取り扱い店舗が少なく、見付けたときは優先的に選びたい一品です。300円以上のレシートがこれで五枚となったため、ついでにセコマラリーの景品もいただきました。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 庶野さくら公園

2018-05-06 12:26:47 | 北海道
岬を周回する県道を走りきり、国道と合流した直後にあるのが庶野さくら公園です。この場所にもささやかな思い出があります。やはり九年前、暴風が吹き荒れる襟裳岬を出て車を走らせ、ここへ着いたときには嘘のように風が止み、さらには霧も晴れていました。街灯もない公園には人っ子一人おらず、月明かりの中で桜が淋しげに佇んでいたというのが、そのときここで眺めた光景です。
そのような事情もあり、公園の全体像もよく分からなかったのが実情ではありますが、それでも暗い中から想像した姿と大きくかけ離れてはいませんでした。国道の上にある高台に芝生の広場が開けていて、桜の木々が林立するというのがおおよその眺めです。林立する桜といえば、今回訪ねた中では札幌のモエレ沼公園ですが、背後に迫る山との重なり具合は、むしろ釧路の別保公園に通ずるものがあります。

木々が総じて若く、枝振りと高さは静内、浦河の桜並木に及びません。明治時代から桜が植えられ、道内屈指の名所だったにもかかわらず、人手に渡って桜が根こそぎ切られてしまい、昭和末期に今の桜が植えられたと案内板にはあります。
しかし、そのときにも生き延びた一本桜が、広場から少し離れたところに立っていました。一本にもかかわらず夫婦桜と呼ばれるのは、二本の桜が支え合っているからだというのが案内板の説明です。一本が二本に分かれたといえば飛騨の臥龍桜ですが、二本が合体するなどということもあるのでしょうか。
推定樹齢は三百年、つまり北海道の開拓が始まるよりもはるか前です。その頃からあるということは、アイヌ人が植えた桜なのでしょうか。それとも野生の桜なのでしょうか。ソメイヨシノに比べて枝振りは今一つのエゾヤマザクラですが、こちらは内地の名木にも引けを取らない堂々たる佇まいです。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 百人浜

2018-05-06 11:35:07 | 北海道
思うに、襟裳岬と室戸岬はいくつかの点において共通しています。島の南東に突き出ていることが一つ。走っても走ってもたどり着かないことが一つです。そして今回気付いたのが、岬を境に車窓が一変することでした。
えりもの市街から岬までの車窓の変化は先ほど述べた通りです。これに対して、岬を過ぎると地形の起伏が緩くなり、正面に豊似岳が鎮座する中、左右に広がる松林と湿原の中を行く車窓に変わります。その全貌が分かる地点に現れたのが、百人浜の展望台です。しかし、雲はますます厚くなり、晴れればさぞやと想像するしかないのが惜しまれます。
コメント

北海道花見の旅 2018 - かめや旅館

2018-05-06 11:08:30 | 北海道
とるものもとりあえず出てきましたが、昨晩世話になったのはかめや旅館でした。浦河とえりもの二者択一という状況で後者にしたこと、岬の近くではなく市街の宿にしたことについては既に述べましたが、えりもの場合予約サイトで手配できる宿がありませんでした。大分空いてきたとはいえ大型連休中だけに、現地へ行ったはよいものの宿がないという事態も想定されます。そこで事前に調べたところ、えりもの市街には少なくとも二軒の宿があるようでした。どちらも似たような商人宿で、料金、設備のいずれについても大差はなさそうでしたが、唯一違ったのが部屋の数です。その結果、あえて小さいこの宿を選ぶという結果でした。
市街に入った直後にある、飾り気のない箱型の建物は、近年改築されたものなのでしょう。どこもかしこも真新しい館内は、清水の定宿である和風ビジネス旅館福住を彷彿させます。中でも特筆すべきは、鏡のように磨かれたニス塗りの床です。これだけの艶を保ち続けるために、毎日どれだけ時間をかけて手入れをしているのでしょうか。この床から推し量れる通り、客室の手入れと整理整頓も行き届いていました。真新しい畳が香る八畳間で、快適に休めたことに感謝します。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 襟裳岬

2018-05-06 09:37:33 | 北海道
何度も挫折した挙げ句、ようやく宿願を果たしました。襟裳岬に到達し、小一時間ほど岬の周囲を歩いた後、車内に戻ってきたところです。
着いた直後は薄日が射していたものの、その後雲が次第に厚くなり、気付けば平凡な曇り空となってしまいました。もう少し早く宿を出るか、途中で寄り道しなければ、晴天下で岬を一望できたのかもしれません。しかし、灯台だけは晴天下で写し止めることができました。
前回ここを訪ねたのは九年前、浦河の優駿さくらロードを訪ねた後のことです。浦河を出た時点でも日が傾いており、明るいうちに着けるかどうかは何とも微妙でした。それでも残照があるうちにえりもの市街を通過し、これなら夕焼けだけは見られるかもしれないと思いました。ところが岬が近付くと霧が立ち込め、着いたときには何も見えなくなっていました。東の方から冷たい強風が吹き付け、車外に出るのも辛いという状況の中、どうにか灯台の明かりだけをカメラに収めたというのがそのときの顛末です。
襟裳岬の代名詞である沖合へ長く続いた岩礁は、誰が撮っても同じになる絵葉書通りの眺めともいえます。どちらを眺めたいかといえば、自分にとってささやかな思い出があるこの灯台でした。その灯台を、早春を思わせる淡い日射しの下で眺められただけでも、ここまで走ってきた甲斐はあったというのが実感です。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 不毛の丘

2018-05-06 08:13:33 | 北海道
えりもの市街はささやかで、国道を少し走れば尽きてしまいます。その国道から襟裳岬を周回する道道に入ると、昆布を天日干しにする日高らしい漁村の光景を眺めつつ、海岸段丘を上下しながら行く車窓に変わりました。やがて現れたのは、草木も生えない不毛の丘です。さらに走って全貌が広がった瞬間、頃合いの駐車帯が現れたため、そこに車を止めたところです。
南から東の方へ向きを変え、坂を上って再び南へ向かう手前という位置です。道が続く先には不毛の丘が広がっており、沿道に建ち並ぶ電柱との比較により、空と丘がどれだけ広いかを実感できます。来し方を振り向けば太平洋が広がり、少し歩けば東側の海も見えて、北を向くと右手に豊似岳が鎮座し、左手の小高い山の頂には測候所があります。荒涼たる段丘が岬へ向かって続くといえば、思い出すのは霧多布ですが、それよりもさらに視界が広がった、ここならではの眺めです。
現在の気温は6度、西から冷たい風が吹いてきます。車外へ出るやいなや居ても立ってもいられなくなり、長袖二枚の上に厚手の雨合羽を羽織りました。自分にとっては真冬と同じ耐寒装備です。車内に差し込む日射しが暖かく感じられます。暦の上では初夏とはいえ、これは紛れもなく早春の季節感です。往年の名曲に唄われた襟裳の春を、ようやく体感できたような気がします。
コメント

北海道花見の旅 2018 - 五日目

2018-05-06 07:28:26 | 北海道
おはようございます。昨夜は10時過ぎに宿へ戻り、風呂に浸かって早々と休みました。その後明るくなってきたのに気付き、時計を見ると五時過ぎでした。再び寝入って目覚めたのは六時前です。その時点では曇りのようにも見えた空から、先ほど朝日が射してきました。空全体が薄雲に覆われており、快晴とまではいえないものの、午前が曇で午後から雨という予報を思えば上出来です。思いがけない晴天を活かすべく、何はさておき襟裳岬へ急行します。
コメント