日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅 2018 - いさみ寿し

2018-05-05 21:11:06 | 居酒屋
今回も襟裳岬まで走り通すことはできず、途中で宿をとる必要が出てきました。問題は、浦河とえりものいずれに泊まるかです。選択肢の数でいうなら支庁もある浦河でしょう。実際のところ、予約サイトで照会できる宿はいずれも静内か浦河でした。これに対し、今日中に距離を稼いでおくつもりなら、えりもに軍配が上がります。そして選んだのは後者でした。ただし、岬の近くの宿ではなく、10km以上手前にある市街の宿をとりました。往年の名曲の唄い出しにも登場する「北の街」の雰囲気に浸りたかったのに加え、市街に呑み屋の一軒でもあれば、そこで一献傾けるにやぶさかではなかったからです。
その一方で、そもそも呑み屋があるかどうかは未知数でした。そこで、宿を押さえる際に訪ねたところ、寿司屋と食堂が一軒ずつあるというのが返答でした。一杯やるなら前者でしょう。寿司屋で呑む習慣は持ちませんが、最果ての町で一杯やれることに価値があります。念のため市街を車で往復し、他の選択肢がないことを確認の上、寿司屋の暖簾をくぐりました。訪ねるのは「いさみ寿し」です。

店主らの住居を兼ねたであろう建物には年季が入っており、店内もそれ相応と予想されました。しかし、飛び込んできたのは目にも眩しい白木のカウンターでした。まず女将が迎えてくれ、跡取りらしき青年が一瞬現れ下がった後、鼻筋の通った男前の店主が登場するという展開です。
年季の入った店構えと真新しいカウンターは明らかに不釣り合いです。居抜きで入ったか、最近改装したかのどちらかなのでしょう。しかし答えはどちらでもありませんでした。開業当時に設えた桂のカウンターが、寄る年波に勝てなくなってきたため、削って直したというのが店主の弁です。つまり店主は二代目で、先ほどの青年が三代目ということになりそうですが、これも見当違いでした。青年は連休で帰省している長男坊で、跡取りになる次男坊は修行で小樽に出ているそうです。
居酒屋で親子三代続く店なら、大きく外すことはないものです。それと同様、三代続くにはそれ相応の理由があります。寿司について高みを目指せばきりがないとはいえ、少なくとも自分にとっては上々の店でした。

奮発して注文した刺身の上は、まず甘海老、タコ、ツブ、ウニの順で盛られていき、ここまでが地物との説明が。その両脇に赤身と大トロが盛られ、仕込み中のタラバガニを少し分けてもらうというおまけもつきました。同じネタで作った海鮮丼がいくらするかを考えれば、これで二千円ならお値打ち品でしょう。
刺身は奮発する一方、寿司については最後に軽くつまむ程度で十分と思っていました。そうすると千円の並ですが、その上に梅、竹、松、特上と四段階も並べられると、どれを選んでよいのかが分からなくなってきます。それを見透かしたかのように、店主からは竹以上とそれ以下では大きく違うとの指南がありました。竹以上は地物中心になり、大トロ、ボタンエビなど高価なネタも入るそうです。その勧めに従い竹を選ぶと、刷毛で醤油を塗ったにぎりが一貫ずつ提供されました。高級店では板前が刷毛で醤油を塗ってくれると噂に聞いたことはありますが、現に体験したのは恥ずかしながら初めてです。二千円少々で大トロが入るところはなかなかないというのが店主の弁ですが、この仕事ぶりも含めて考えれば、たしかに破格なのかもしれません。

先日輪島を訪ねたとき、想像をはるかに超える遠さから、ここは離島も同然だと思いました。走っても走ってもたどり着かない隔絶された場所なのは、この町についても同じです。そのような町で一献傾けると、店の良し悪しにかかわらず印象に残るという経験則があります。一期一会を噛みしめるからでしょう。
寿司以外に焼物、揚物、一品料理も揃っており、居酒屋使いもできそうではありますが、主役はあくまで寿司であり、自分が求めるものと必ずしも一致していたわけではありません。しかし、地物のネタと一枚上手の仕事ぶりを、居酒屋並みの予算で楽しめたのは貴重な経験です。後年まで記憶に刻まれそうな一軒でした。

いさみ寿し
幌泉郡えりも町字本町86-3
01466-2-3141
1130AM-1330PM/1630PM-2200PM
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北海道花見の旅 2018 - 星空

2018-05-05 20:59:11 | 北海道
引き続き内陸を経由し、西様似から国道235号線に合流してしばらく走ると、様似の市街に入りました。静内の市街を迂回し、浦河でも市街の外れをかすめただけだったため、今日初めて見る町らしい町でした。その前後からわずかに霧が出始め、やがて海岸線を同じ高さでなぞる線形に変わりました。点々と続く明かりの彼方がえりもなのは分かっています。しかし、走っても走ってもなかなか着きません。ようやく走りきってたどり着いたとき、出発からの走行距離は1870kmを超えていました。つまり、今日だけで250km以上走ったことになります。
北海道の旅を何度か繰り返して、一日の走行距離が平均150kmほどになるのが分かってきました。250kmも走ればかなりの大移動であり、朝から晩までひたすら走ったつもりでもこの程度が関の山です。この経験則を当てはめるなら、道央から襟裳岬へ行こうとしても、着いた頃には暗くなっている可能性が高いということになります。何回訪ねても到達できなかったのは当然であり、途中で宿をとるしかなかったということでしょう。えりもに泊まる機会を得て、明日はようやく宿願を果たすことができます。
気温は5度、空には星が瞬いています。この星空がそのまま続いてくれれば、明日は晴天ということになります。上陸以来一貫して不安定な天候を考えると何ともいえないものの、少しでもよい方向に振れてくれることを願う次第です。
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北海道花見の旅 2018 - 優駿さくらロード

2018-05-05 19:53:02 | 北海道
本日は海沿いの国道を極力通らず、交通量の少ない内陸寄りの道道と広域農道を経由してきましたが、これが結果として功を奏しました。沿道にまさかの夜桜が出現したのです。

浦河の市街と帯広方面を短絡する道道が、236号線に合流する交差点にさしかかったとき、暗闇に浮かび上がっている桜並木が見えました。即座に気付いたのは、これが以前訪ねた優駿さくらロードだということです。
ここを訪ねたのは九年前、北海道で初めて花見をした年のことです。ただし、初めてとはいっても初回の渡道ではありませんでした。どういうことかと申しますと、まず道央で花見をし、その翌週に道東へ行ったのです。当時はまだ空路に頼っていた頃で、千歳からレンタカーに乗って襟裳岬を周回し、釧路へ向かっていったのでした。その途中で通ったのがここです。
静内の二十間道路が前の週に花盛りという状況でした。その翌週ということは、当然見頃を過ぎています。人っ子一人いない並木道で、夕日を浴びた桜がはらはら散っていました。しかし、その後も何度か訪ねた二十間道路と違い、こちらを再訪する機会は訪れませんでした。今回も浦河のはるか手前で暗くなってしまったため、並木道がどこにあるかも確かめず、そのままえりもへ向かおうとしていたのでした。国道を通っていればこの夜桜に出会えなかったわけです。

JRAの牧場へ向かって、北から南へ桜並木が続き、枝振りも高さも立派なソメイヨシノが林立しており、二十間道路を彷彿させる雰囲気です。ただし、こちらでは東側が背の高い木立で遮られ、西側が開けた牧草地となっています。あちらに比べて車道の幅こそ変わらないものの、歩道がないため全体の幅はやや狭く、長さもざっと1kmあるかどうかといったところでしょうか。ソメイヨシノかエゾヤマザクラの違いはあるものの、全体の雰囲気は小岩井の桜並木に似ているともいえます。いずれにしても、内地によくある桜並木とは一線を画する、北海道らしい眺めです。
歩道がない上に、前照灯を焚いた見物客の車が常時行き交うため、やや落ち着かない面があるのは事実です。しかし、自分の足で歩くには頃合いの長さがよく、二十間道路に比べて適度な人出なのも好ましいものがあります。しかも雨は止み、朝から吹き続けた冷たい風も収まって、夜桜見物にはお誂え向きの天候になりました。たまたま通りがかって気付いた点を含め、僥倖といってよい出来事です。

今のところ、持ち時間を最後まで使い切り、明後日まで道内に滞在するつもりです。しかし、明晩は雨の予報となっており、明後日は日が暮れ次第直ちに苫小牧へ向かう必要があります。つまり、夜桜を見物できるとすれば今夜が事実上今季最後の機会でした。思わぬ形でもう一度夜桜を見物できたことに感謝します。
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北海道花見の旅 2018 - 今夜の宿

2018-05-05 18:11:37 | 北海道
その後再び雨が降ってきました。夕方だけとはいえ晴れると予想されていたのが、日高へ走ってきた理由の一つでもありましたが、結果としては完全に裏目と出てしまったことになります。空も次第に暗くなり、こうなるともう花見としては成り立ちません。今夜の宿を押さえたところで移動再開です。結論から申しますと、これからえりもへ向かいます。
そもそも今日の主題としていたのは、二十間道路ではなく襟裳岬でした。往年の名曲に「何もない」と唄われた襟裳の春を、一度この目で見てみたいというのが宿願だったのです。しかし、室戸岬と同様に、地図の上ではまっすぐ行けそうに見えながら、いざ走ってみるととにかく遠いのが襟裳岬です。静内、あるいは浦河まで走ったところで日が暮れてしまい、結局たどり着かなかったという経験を何度もしてきました。今回も静内で時間切れという筋書き通りの結果に終わったわけですが、ここで退却してしまっては同じことの繰り返しです。今日はえりもで一夜を明かし、明るくなってから訪ねようと思い立った次第です。
明日の天候には多くを期待できないものの、最果ての小さな町に泊まれるという貴重な機会が決め手となりました。何分小さい町だけに、呑み屋があるのかどうかさえ未知数ではありますが、赤提灯があれば暖簾をくぐってみるのも一興でしょう。
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北海道花見の旅 2018 - 二十間道路

2018-05-05 16:21:58 | 北海道
厚賀から再び内陸の道道に入って静内の市街を回避。二十間道路を訪ねました。南北方向に延びた桜並木は、ざっと5km以上にはなるでしょうか。静内の市街から来た場合、並木の始まる場所に公園が、その先に今し方走ってきた道道との交差点が、さらに走ると露店が並んだ最も賑わう場所があり、一昨年訪ねたときはそこまで走って引き返したと記憶しています。そこからさらに走った凌雲閣なる由緒ある建物のある場所までが一般車の走れる区間ですが、露店のある場所からさらに同じだけの距離を走ったような気がします。つまり、前回は半分ほどしか走らなかったということであり、あれでも半分ほどに過ぎなかったという事実に驚きました。
長さでいえば、世界一長いと標榜する岩木山の桜並木の方が上ではあります。しかし、枝振りと高さにかけてはこちらが断然上であり、立派な桜が隙間なく並んでいるのは壮観です。桜だけが並ぶのではなく、さらに高い松の木が背後に整然と並んでいるところも、それだけでは絵になりにくいエゾヤマザクラの佇まいを引き立てています。

それはよいのですが、とにかく人が多いのがここの特徴でもあります。南の方から走っていくと、車道の右側が広がっていて、そこに見物客の車が隙間なく止まっており、左側の歩道を大勢の見物客が行き交うため、全体を写真に撮っても絵になりません。その結果、桜を見上げる形で撮るしかありませんが、これではどこの桜かが一瞬では分かりません。結局のところ、延々歩くか車で通り抜けるかして、いかに長い並木道かを体感するのがここならではの楽しみ方であり、撮影には今一つ向かないというのが何度か訪ねた上での結論です。
ただし、以上の考えは早計かもしれません。今回気付いたのは、主役の二十間道路と並行する形で未舗装の道が延びており、そこにも整然とした松林が続いていることです。しかもこちらは人っ子一人通りません。桜は点在するに過ぎないものの、しみじみ鑑賞したくなる眺めという点では、こちらが断然勝っています。名所には得てして穴場があるものですが、ここではこの未舗装路がまさにそれということになりそうです。
結局雨は上がったものの、昨日のように青空が広がるまでには至らず、時折薄日が射す程度の煮え切らない天候になってしまいました。曇り空の陰影も昨日の方が上でした。この天候で深入りする理由はないため、今回は手短に歩くだけで切り上げますが、次の機会が巡ってきたときには、この一帯を再度歩いてみるつもりです。
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北海道花見の旅 2018 - 海苔弁鮭フライ

2018-05-05 14:57:00 | B級グルメ
日高門別で太平洋側に出ました。国道をそのまま東へ走っていき、厚賀の市街に入ったところでセイコーマートが現れたため、こちらで遅めのお昼をいただいていきます。ホットシェフの弁当が満を持しての登場です。本日は海苔弁鮭フライを選びました。その名の通り白身のフライを鮭に代え、海苔の下にはおかかの代わりにきんぴらとひじき煮を敷き、目玉焼を添えたのがその正体です。
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北海道花見の旅 2018 - 立夏

2018-05-05 14:11:11 | 北海道
早来から平取まで交通量のほとんどない道道をひた走り、そこから広域農道に入りました。牧草地を見渡す眺めのよい場所が現れたため、車を止めて休憩中です。馬たちが草を食み、背の高い木々に混じって桜が咲き、その向こうには陰影のある空が広がっています。
由仁を出て少し走ると雨は止み、その後は一度も降っていません。上空からは薄日が射すそれなりの天候です。一方気温はいまだに10度を超えず、南の方から冷たい風が吹いてきます。暦の上では立夏でも、まだ夏らしさの欠片もない本日の北海道です。
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北海道花見の旅 2018 - 霰

2018-05-05 12:36:31 | 北海道
その後234号線に合流して由仁の市街に入りました。北海道では早めの給油が基本です。燃料計が半分を切ったところでホクレンの給油所が現れたため、こちらで道内二度目の給油を済ませます。
現在の気温は9度、朝からほとんど上がりません。加えて雨の降る時間が長くなってきました。時折霰が叩きつける場面も。晴れたり曇ったり雨霰が降ったりする不安定な天候は、三年前の秋に訪ねたときの終盤を彷彿とさせます。倶知安のキャンプ場で雨に降られ、寒さに震えながら晩酌したのも今となってはよき思い出です。花見日和とはとてもいえない空模様ではありますが、これもいずれはよき思い出になりそうな気がしています。
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北海道花見の旅 2018 - 711系

2018-05-05 11:46:21 | 北海道
さらに走ると現れるのが、711系の保存車両です。昨秋初めて訪ねたときは、照明に浮かび上がった姿だったため、明るいうちに訪ねるのは初めてです。
駐車場から向かっていくと、畑の隅に二両の電車が佇んでいました。電車を横から撮った場合、平板で面白味のない絵柄になるのが常のところ、陰影のある空がそれを全く違う眺めに変えています。ただ保存されているのではなく、北海道らしい景色の中というのが心憎いばかりです。
日中は車内にも立ち入れるようになっていました。一両の客席は撤去され、代わりに机と椅子が並んでいて、集会所か何かの用途に使われているようです。しかしもう一両の車内はそのまま残され、この車両の来歴を記した案内板が掲げられています。南大夕張の車両と同様、有志が出資し合って車両を移設し、自ら手入れもしているようです。極力現役当時に近い姿とするために、あえて屋外展示にしているとの説明も。厳しい風雪の中、屋外の車両を維持するための労力は推して知るべしでしょう。有志の方々の熱意には敬服させられます。
ただし、有志が集まっても敷地がなければどうしようもありません。すぐそばにある飲食店と直売所の協力によりこの場所に落ち着いたのでしょう。セイコーマートに寄った後では、ランチブッフェをいただくわけにも行きませんが、せめてもの感謝のしるしに直売所で道産米を買い求めました。
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北海道花見の旅 2018 - 高徳寺

2018-05-05 10:42:56 | 北海道
セイコーマートを出て道道をしばらく行くと、前を走っていた佐川の配送車が右折のため止まりました。すると、交差点を曲がった先には桜の木々に彩られたお寺が。急遽こちらも右折して、立ち寄ったのは高徳寺です。
遠目には田舎道のそばにある何の変哲もない寺のようではありますが、北海道八十八霊場の第八十一番札所ということは、由緒正しき寺なのでしょう。本堂の脇には巨大な観音像が立っており、その隣にほぼ同じ高さのエゾヤマザクラが咲いています。他にも参道を中心に何本かの桜があって、その中にはソメイヨシノも含まれています。本日目指す方角からして、ソメイヨシノは昨日限りで見納めかとも思いましたが、さらに一日延びたことになります。
ちなみに、こちらが着いたのを見計らったかのように空が晴れ、その後再び曇りました。わずかな時間だったとはいえ、束の間の青空は昨日と同様見事でした。やはり天気予報を鵜呑みにする必要はなさそうです。この先も要所で晴れてくれると期待しましょう。
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北海道花見の旅 2018 - セコマラリー

2018-05-05 09:52:23 | B級グルメ
萱野のライダーハウスをこよなく愛用してきたのは、かつての駅舎に泊まれることと、管理人を始めとする皆様方のお人柄によるところが大ですが、それに加えて交通の便が非常によいという点を挙げることができます。苫小牧、札幌、旭川、富良野の各方面から来る道が集まる地点にあって、道央を中心に活動する場合、よほどのことがない限り一度は通過するというわけです。本日はまず苫小牧方面へ移動しますが、沿道にセイコーマートが現れたため、こちらで朝食をいただいていきます。
上陸初日はホットシェフ非設置店が連続し、目当てのフライドチキンをいただけないという誤算に見舞われましたが、こちらはホットシェフだけでなくイートインまで備えた店舗です。ただし、丼物はなかったため、四日連続となるフライドチキンと、道中二度目の登場となるクリーミーカルボナーラ、それに海老しゅうまいの組み合わせを選択。しかし皮肉というか何というか、こちらが席に着いた後で丼物が立て続けに出てきました。朝からカツ丼などというお客は少ないことから、おおむね10時を目安に作っていくのが一般的なのでしょう。丼物はお昼に向けて温存する形になりました。
ちなみに、上陸以来気になっていたのが、セコマラリーなる幟です。300円以上のレシートを5店舗分集めると、天然水か缶コーヒーをいただくことができ、10店舗分で懸賞にも応募できるというのがその内容でした。道内を転戦していくこちらにとっては渡りに船の企画です。集めたレシートを見ると、立ち寄った7軒のうち、条件を満たしているのは3軒あります。5店舗分なら集められるかもしれません。
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北海道花見の旅 2018 - 二年ぶり

2018-05-05 09:28:38 | 北海道
撤収を済ませ、目的地と経路を固め、あとは挨拶して出発というところ、不在だった管理人夫妻が戻っていました。管理人には去年一度もお目にかからなかったため、これが二年ぶりの再会ということになります。こちらに気付くや否や発せられたのは「早いね」の第一声でした。こちらがいつ頃訪ねているかを何となく覚えているということでしょう。ありがたいことです。
二日にわたり泊めてもらっただけでも十分のところ、今日はお宅に上げていただき温かい飲物までごちそうになりました。何枚も飾られた感謝状の額が、地元の名士であることを物語っています。この懐の広さがあったからこそ、朽ちかけていた駅舎が再生され、そこに泊まれるという芸当が実現したのでしょう。この人あってこその駅なのだと改めて実感した次第です。
もっとも、管理人一人で全てのことができるわけではありません。不在の間は大女将、そして隣に住む弟さんの世話になりました。駅舎の手入れは町内会の皆様方が総出であたっていると聞いています。北海道の旅人宿は、多くの人々の善意によって支えられているという事実を、改めて実感させられた次第です。
よほどのことがない限り、九月以降に再び渡道することになるかと思います。そのときはもちろんここにも立ち寄るつもりですが、毎回千円ぽっきりの管理費だけというのも申し訳ありません。次回はささやかな手土産を用意して北海道へ渡るのも一案でしょう。
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北海道花見の旅 2018 - 四日目

2018-05-05 07:52:25 | 北海道
おはようございます。昨夜は結局駅舎の中で晩酌しました。一旦外には出たものの、とにかく風が冷たすぎたのです。先客が休んでいれば、どれだけ寒かろうとも外でやるしかなかったことを考えると、貸切だったのは大きかったことになります。
着いたときには月も星も見えない曇り空だったはずが、一旦外に出たとき上空にまたたく星が見えました。しかしそれだけでは終わりませんでした。ふと窓の外に目をやったとき、視線の先に下弦の月が浮かんでいたのです。最初はおぼろげだった月が、昇るにつれて鮮明になり、これなら駅舎に重なりそうだと気付いて外に出ると、果たして駅舎の上の絶妙な位置に月が浮かんでいました。昇ってくる方角が少しでも変われば、この劇的な光景には出会えなかったでしょう。以前ここで眺めた十五夜と並ぶ、印象的な月夜でした。
それから一夜が明けて目覚めると、外は一転雨模様でした。最新の情報によると、昨日の段階よりも下振れし、空知では夕方まで断続的に降るとの予報に変わっていました。しかし、落胆したのも束の間、雨は上がって薄日が射してくるという経過です。一昨年の花見と同様、散々な予報の割に実態はそこそこという傾向が続いています。いたずらに悲観する必要はなさそうです。
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