日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2016 - 天塩弥生駅

2016-09-24 20:27:28 | 北海道
人家の明かりも稀な道道を西へ走り、今夜の宿となる天塩弥生駅に着きました。一風呂浴びてから夕食をいただき、只今食堂のテーブルを拝借して投稿しています。
度々世話になっている萱野駅、計呂地駅と違い、かつての駅舎そのものではなく、この宿を開くにあたって再建されたものです。そのためよくよく見れば後から造ったものだと分かるものの、遠目に見れば駅舎と思ってもおかしくはありません。二重になった玄関には、現役当時と同様に再現された駅名の看板が掲げられ、中には待合室のように仕立てられた食堂があります。出札口にあたる窓口の奥には厨房があり、その奥に洗面所と風呂が、廊下を挟んだ反対側に寝室があるという造りです。かつての駅舎とほぼ同じ、宿としては必ずしも広くはない敷地に、必要な設備を効率的に配置し、なおかつ駅舎の雰囲気をできるだけ演出しようと工夫した結果、このような造りとなったのでしょう。硬券の寝台券を模した領収証からも、館主の鉄道に対する愛着が窺われます。

三時前に電話を入れた時点では、夕食が間に合わないと聞き、一泊朝食のみでお願いしたところ、直後に夕食も用意できるという知らせが入ったため、迷わず二食付きでお願いしました。その夕食は、ハンバーグと鶏天を主役に炊き合わせ、グラタン、茶碗蒸しなどを加えた豪華版で、瓶ビールはもちろんサッポロクラシックでした。
晩酌を終えた時点でまだ八時、しかし館主の自宅の他にもう一軒民家があるだけの、行き交う車も全くない人里離れた場所だけに、秋の夜長をやり過ごす手段といえば、食堂で流れるTVがせいぜいです。ほどほどのところで切り上げ、明日に備えて早めに休みます。おやすみなさいzzz
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晩秋の大地を行く 2016 - 今夜の宿

2016-09-24 17:33:25 | 北海道
秋の日は釣瓶落とし、北へ行けば行くほどなおさらです。西日は山の向こうに隠れました。これ以上北上するつもりはなく、道内二日目は名寄まで100km弱走ったところで終了となります。稚内まではあと200km弱、この調子では明後日着ければ上出来といったところでしょうか。とりあえず、序盤は急がず進みます。
こうなることは比較的早い段階から予想できたため、本日は滞在時間が長くなるのも見越して宿をとりました。それも旧深名線の駅の跡地にできた旅人宿です。かつて鉄道員だった主人が現地に移住し、今春開業したと聞いています。自他ともに認める人嫌いではありますが、旅人同士の一期一会に関してはその限りではありません。どんな出会いになるかが楽しみです。
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晩秋の大地を行く 2016 - キマロキ編成

2016-09-24 17:22:14 | 北海道
名寄市街に入ったところで、本日最大の見所、キマロキ編成の登場です。線路脇の雪を集めるマックレー車、それを遠くへ吹き飛ばすロータリー車を前後の機関車二両で挟んだ排雪列車が、編成もろとも残るのは全国広しといえどもここしかありません。数ある保存車両の中でも、編成美にかけては三笠のキハ80系6連と双璧をなすのがこのキマロキ編成です。
編成美もさることながら、置かれている場所がこれまたよいのです。かつての名寄本線の線路が、名寄駅を後に緩やかな弧を描きつつ坂を上る地点に編成が据え付けられ、周囲は広々した芝地となっています。広角レンズで切り取れば、丘の上を走る列車が空に抜けるかのような絵柄になり、正面から長いレンズで切り取れば、あたかも列車が迫ってくるような迫力ある絵柄になるという仕掛けです。屋外展示ながら非常によい状態を保っているのも喜ばしいものがあります。
市街へ入る前に西日が雲に隠れてしまい、今回は残念ながら絵にならないかと思ったところ、これがあながち悪くありませんでした。まず機関車の前照灯がついていました。さらには低い空の雲が切れており、日が傾くにつれ雲間から赤い夕日が射し込んで、編成の側面が照らされたのです。今回再訪したからこそ出会えた、印象的な光景でした。
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晩秋の大地を行く 2016 - 瑞穂駅

2016-09-24 15:40:46 | 北海道
40号線を淡々と北上し、士別市街も通過して、名寄まであと少しのところになりました。続いて訪ねるのは瑞穂駅です。
北旭川、比布と違って駅舎というほどのものはありません。吹けば飛ぶような安普請の待合室と、俗に朝礼台と呼ばれる板で造ったホームがあるだけの小さな駅です。それにもかかわらず再訪したのは、赤く塗られた待合室と、その前に造られた花壇の取り合わせが印象的だったからに他なりません。その花壇は今年も赤、黄、ピンクの三色で彩られていました。
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晩秋の大地を行く 2016 - 比布駅

2016-09-24 13:36:25 | 北海道
当麻で39号線と別れて広域農道に入り、40号線に合流したところに比布の町があります。今回三年ぶりに再訪したのは、駅舎が建て替えられたと聞いてのことです。
背が高く間口が広くて窓が小さい、いかにも北海道らしい佇まいとは裏腹に、何故かピンクに塗られていた駅舎です。その駅舎の跡地に、現代的な建材で組み立てられた、一見すると安普請にも思える駅舎が建っていました。しかし、先代の駅舎と同様間口が広くて背が高く、スレート屋根から突き出た煙突が北海道らしさを演出しています。玄関には先代から受け継いだらしき扁額が架かり、駅舎の前には樅の木を中心にしたロータリーが。これから長い月日が経てば、この木が駅舎をも軽々越える大木に成長するのでしょう。かつてなら事務室になったであろう区画には、大きな格子窓を使った小洒落た喫茶が開店し、駅が今なお人々の集まる場所となっています。北海道における鉄道の衰退ぶりがいよいよ明白となり、駅も車両も荒れ放題となっていく中、後継にふさわしい駅舎ができたのは幸いです。
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晩秋の大地を行く 2016 - 新旭川駅

2016-09-24 12:22:24 | 北海道
まずは39号線、比布からは40号線経由で北上します。名寄以南は三年前にも走ったため、そこまでは寄り道を極力控えて先を目指しますが、定点観測しておきたかったのが新旭川駅です。背の高い屋根からさらに突き出た煙突が印象的。駅前には松の木を中心にしたロータリーがあり、そのロータリーが赤、白、黄色の花々で彩られています。
ちなみに待合室には現在不通となっている石北、根室両本線の状況に関する張り紙が。石北本線は来月上旬に復旧する一方、根室本線については全面復旧が早くとも11月末との見通しになっています。それ以上遅れれば雪が降り出すわけで、そうなるとますます工期は読めなくなってくるでしょう。今回の被害がいかに深刻だったかがよく分かります。
存続問題が表面化している富良野から新得までの区間についても、一部とはいえ復旧時期の見通しが示されています。東鹿越などという半端な場所で打ち切り、あとは復旧せずに廃止するということはないでしょう。事実上全面復旧させる方針が表明されたのは喜ばしいことです。
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晩秋の大地を行く 2016 - 待望の青空

2016-09-24 11:41:44 | 北海道
東か北かという悩ましい問題に結論が出ました。このまま一気に北上します。
決め手の一つとなったのは釧路の呑み屋事情です。今から道東へ向かった場合、釧路へ着くのは日曜か月曜になるでしょう。日曜は当然ながら店の選択肢が限られ、「万年青」だけが頼みの綱という状況です。逆に月曜は選択肢が広がる反面「万年青」が休みになってしまい、どちらもよろしくありません。その結果、道北を先に回って釧路を後半に温存しておくという結論が導かれます。
もう一つの決め手は天候でした。十勝、釧路方面が明日まで曇と予想されているのに対し、稚内方面は今日明日ともに晴の予報です。さらに、来週水曜あたりに天候が一旦崩れるとの予報が出ているところ、道東ではその影響が比較的少ないと予想されています。天気のよい場所を回っていくという観点からしても、針路を北へ向けるのが吉というわけです。
結論が出た折りも折、朝から曇っていた空が晴れ、待望の青空が広がりました。この空の下を思い切り走れるかと思うと楽しみです。
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晩秋の大地を行く 2016 - 蜂屋

2016-09-24 11:29:57 | B級グルメ
旭川へ来る機会が年に何度あるかと考えたとき、欲張りたくなるのは人情というものです。久々にラーメンのはしごを敢行し「蜂屋」を訪ねます。
毎日でもいただけそうな優しい味わいだった「青葉」のラーメンに対し、焦がしラードの風味を効かせたこちらのラーメンは一癖あります。開店順に訪ねただけではありますが、いわば淡い味、濃い味の順になったのは、結果として理にかなっていたことになります。

蜂屋 五条創業店
旭川市五条通7丁目右6
0166-22-3343
1030AM-1950PM
大晦日及び元日休業
しょうゆチャーシューメン950円
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晩秋の大地を行く 2016 - 青葉

2016-09-24 10:25:17 | B級グルメ
喜多方、京都ほどの早さではないものの、旭川でも10時になるといわゆる「朝ラー」の選択肢が出てきます。宿の駐車場を拝借し、歩いてやってきたのは「青葉」です。
斜向かいに「味特」が、一本道を行った先に「独酌三四郎」があるという絶妙な立地を誇る今回の宿ですが、「青葉」にも一本道で行けるのを初めて知りました。それも不動産屋なら徒歩1分と書きそうな至近です。宿から東へ向かって歩くと、二条ビル名店街なる色褪せた看板が見えてきます。名称からも分かる通り、旭川特有の、ビルの1階を通り抜ける商店街で、空き店舗が目立つ薄汚れた商店街は、衰退する地方都市の苦悩を象徴しているかのようです。しかし、ここでよいのだろうかと半信半疑になりつつ表通りに出てみると、黄色い日除け、橙色の暖簾と鉢植えで彩られた店先が見えました。うらぶれた商店街で唯一気を吐く人気店は、柏崎の「そばよし」を彷彿させます。カウンター中心のささやかな店内も、清潔かつ機能的な厨房も「そばよし」と同様です。年配の先代店主と大女将、話し好きな店主と女将で仕切る家庭的な雰囲気は、大店で若い衆がきびきび動く「蜂屋」とは対照的なよさがあります。旭川にしては珍しい透き通ったスープとコシのある細麺、大判の巻きチャーシューの組み合わせも完成されており、味、雰囲気で二度楽しめる名店でした。

青葉
旭川市二条通8丁目左8 二条ビル名店街
0166-23-2820
平日 930AM-1950PM(LO)
日祝日 930AM-1850PM(LO)
水曜定休
正油らぅめん750円
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晩秋の大地を行く 2016 - 旭川サンホテル

2016-09-24 09:34:55 | 北海道
東か北かの結論はいまだに出ませんが、チェックアウトの時刻が迫ったためひとまず宿を出ます。昨晩世話になったのは旭川サンホテルでした。
旭川市内の宿が混んでいたところ、この宿に辛うじて空きが出ていたという状況は、以前世話になったときと共通しています。そして今回はツインルームが割り当てられ、初めて泊まったときもそうでした。宿が空いているとき、シングルの料金でツインルームを融通してもらえることはしばしばあります。しかし昨夜は市内の宿が混んでおり、そのような融通などできそうにはありませんでした。この状況から推測できるのは、当日あるいは直前に、売れ残ったツインルームをシングルの料金で売り出しているのではないかということです。真偽のほどは不明ながら、今回も運よく滑り込めたことについては感謝しています。
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晩秋の大地を行く 2016 - 三日目

2016-09-24 08:25:06 | 北海道
おはようございます。昨夜は看板の少し前に「独酌三四郎」を出て、11時には宿に戻りました。その時点では一息入れてからラーメンで締めくくるつもりだったはずが、酔いと疲れで眠り込んでしまい、気付いたときには午前三時だったという、一旦宿に戻った時にはありがちな結末でした。その時点でまだ開いている店の心当たりはあったものの、午前三時に再び起きてラーメンをいただくだけの気力は起きませんでした。再び寝入って目覚めたのは八時過ぎです。日付が変わる前に休んだ割にはよく眠りました。昨日も一昨日も昨晩も、出発早々自覚する以上の疲れが出ています。酒の消費が進まなくなったことのしてもそうなのですが、肝機能が落ちたのか、それとも単なる年のせいか、今までより疲れやすくなっているようですorz

上陸早々旭川まで北上したことにより、この先の行程を大きく左右する選択に迫られました。東へ行くか、北へ行くかという問題です。根室本線沿いに東へ向かっていき、そこからオホーツク方面へ北上するというのが上陸時点の構想でしたが、旭川まで来た以上、そのまま北へ行きたいという考えが俄然強くなってきます。主に花見で何度か旅している道東と違い、宗谷方面はblog草創期に訪ねて以来であり、汽車旅を除けば実に八年もの無沙汰です。宗谷本線の北部といえば、道内各線の中でも存続がとりわけ危ぶまれている区間でもあります。留萌本線と違い、今すぐどうというわけではないものの、二、三年後にどうなっているかは予断を許しません。好天が期待できる今回は、再訪するには絶好の機会です。
しかし、今から稚内へ向かうということになると、旅程は全面的に変わってきます。根本的に違うのは、道東、オホーツク、道北の順で半時計回りを予定していたのが逆回りになることです。過去の実績からしても、宗谷岬から納沙布岬まで走り通すのは難しく、どこかで端折って釧路、十勝方面へ回る必要が出てくるでしょう。逆に東へ進む場合は、稚内までたどり着かずに、オホーツク沿岸から旭川へ戻るという経路が予想されます。
昨夜の時点では、このまま一気に北上する方向へ傾いていたのに対し、今朝目覚めると当初の構想通り東へ行くという考えも再び頭をもたげていて、今のところどちらとも決断しかねています。旅程の全体を左右する結果となるだけに、熟考してから出発するつもりです。
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