日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北の汽車旅最終章 - 鳥松

2016-02-13 23:29:42 | 居酒屋
「しらかば」に続いては本家本元の「炉ばた」をと考えたところが、ほぼ満席の盛況につき今回は敬遠。腹ごなしをするうちにザンギの「鳥善」も看板となってしまいました。ならば「万年青」で締めくくるかというところ、釧路で呑むのも一年ぶりとなれば、もう一軒を欲張りたくなるのが人情というものです。「鳥善」に振られようともここがあるとばかりに「鳥松」の暖簾をくぐりました。
老練な店主と跡取りが二人してザンギを揚げる「鳥善」に対し、職人気質の店主と、姉妹と思しきよく似た風貌のおばちゃん、それに女将らしき仏頂面のおばちゃんの三人が立ち回るコの字カウンターがこの店の特徴です。しかし、地元客が引きも切らずに訪れる賑わいはどちらも変わりません。店内の設えは平凡、高尚な酒と肴はないものの、この店に来たならこれだといえる名品があり、散々呑んだ後でも別腹で入ってしまうところは、博多の屋台、あるいは長崎の一口餃子のようなものとでもいえばよいでしょうか。やはりザンギもいただかなければ釧路の夜は終わりません。

鳥松
釧路市栄町3-1
0154-22-9761
1700PM-030AM
日曜定休
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北の汽車旅最終章 - しらかば

2016-02-13 19:50:25 | 居酒屋
昨年飛騨を旅したとき、直前に教祖の番組で高山が二週にわたって特集され、酒場めぐりにあたって非常に助かったという経験をしました。そして今回、出発の直前に取り上げられたのが釧路でした。紹介されたのは「しらかば」と「万年青」の二軒、揃いも揃って自分が行こうとしていた店です。ただ、昨晩の「独酌三四郎」と違い、番組の影響で混み合うという懸念はしていませんでした。というのも教祖の番組の影響はいたって穏当だからです。これは、信者がそもそも酒好きかつ居酒屋好きで、店の雰囲気になじみやすいという事情によるところが大きいのでしょう。そしてこの見立ては誤っていませんでした。

連泊の場合は別段、一泊限りということになると訪ねる順序は決まってきます。一晩中開いている「万年青」を温存し、「しらかば」を最初に訪ねるという流れです。そのようなつもりで「しらかば」へ向かって歩くと、女将が何かの用で表に出てきたところでした。しかし中へ戻ろうとしたところで女将の動きが止まりました。こちらが向かっているのに気付いたようにも見えます。まさかと思いつつもさらに歩くと「おかえり」との言葉が。片手で足りる程度の回数訪ねただけのよそ者を、暗い中で遠くから見分けたとは恐れ入ります。思わぬ歓迎に「ただいま」と応えて暖簾をくぐりました。
先客は小上がりに一組のみ、カウンターは貸切という願ってもない状況です。どこでもお好み次第のところ、着席したのはカウンターの中央を貫く白樺の右隣、玄関から斜めに延びたカウンターがまっすぐに変わった直後の場所です。訪ねた回数はたかが知れていることもあり、どこが特等席なのかはいまだわかりかねているのが現状ながら、今回の席はそれに近いかもしれません。特等席といえば、まず思いつくのは店内の全貌を対角線上に見渡せる位置で、そのような基準に照らせば斜めになった玄関側の区画がよさそうにも思えます。その位置なら目の前にガラスケースがあって、どのようなネタがあるかも一目瞭然です。しかし、真正面に炉端、右にはおでん舟があって、カウンターを放射状に見渡せるこの位置は、それ以上の特等席といってもよいのではないでしょうか。

何度か通うことによって勝手が分かってくるのはこの店においても同様です。この店の特徴の一つといえば、お通しの充実ぶりではないでしょうか。教祖の著作を読む限り、「独酌三四郎」の酢大豆のごとく、牡蠣豆腐が不動のお通しであるかのような書きぶりです。しかし実際訪ねて分かるのは、その牡蠣豆腐が数あるお通しの一つに過ぎないことです。今回は一杯目を注文するなり牡蠣豆腐、赤かぶ、松前漬け、それに真鱈子とこんにゃくの炒め物の四品が出てきました。おすすめの煮魚もあるとはいうものの、まずはこの四品だけで十分です。
このお通しに続けておでんを、次いで鹿肉の「やきとり」をいただくという流れも定着してきました。教祖の著作にもある通り、ここのおでんのよいところは付け合わせにおぼろ昆布がつくことです。おでんとともにいただいても、昆布を出汁に浸していただいてもよく、どちらも肴としてはまことに好適。これに比肩するおでんの付け合わせは、松本「しづか」の葱味噌だけではないでしょうか。
おでんと同時に頼んだやきとりは、塩胡椒、味噌、タレの三本一組で供され、好みの味をおかわりしてもよいと教祖の著作にはあります。どの味もそれぞれによさがあり甲乙付け難いところ、あえて選ぶとするなら塩胡椒でしょうか。焼鳥は塩よりタレを宗とする人間ではありますが、特有の臭みがあって、噛めば噛むほど味が出る鹿肉には、牛タンなどと同様に塩焼きが合っているような気がします。

現時点での課題を挙げるとすれば、やきとりまでの流れが確立されつつある反面、そこであらかた腹が満ちてしまい、そこから先に進めないということでしょうか。今回もやきとりまで進んだところで三杯目が空き、さらに一本干すよりは、余力を残して切り上げる方向に傾いてきました。しかしそこは阿吽の呼吸というべきか、番頭格のおばちゃんからめふんの小皿が差し出されました。それももう一本追加したくなるほどではなく、残った酒を呑み干すのに見合った分量です。これでこそ心地よく酒がいただけるというものでしょう。おすすめの煮魚には到達できなかったものの、少しばかりの未練を残して切り上げ、最後にしじみ汁をいただいて締めくくりました。

しらかば
釧路市栄町2-3
0154-22-6686
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休

霧笛・福司二合
お通し四品
おでん三品
エゾ鹿やきとり
めふん
しじみ汁
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北の汽車旅最終章 - 釧路の夜

2016-02-13 19:10:01 | 北海道
釧路に着き、投宿して一息入れたところです。気温は帯広と変わらず4度。ほぼ同じ時間帯でいえば、昨日の旭川は1度、一昨日の弘前は氷点下2度だったわけで、どこまで行っても寒くなるどころか暖かくなってきます。路面に一切雪はなく、かき集められた雪が残っているに過ぎません。そこに春雨が降り、さらに雪を溶かすというのが明日の予報です。大雪だった去年とは好対照な天候となりました。

釧路には汽車旅で一泊、花見で二泊か三泊滞在するのが近年の通例となっていました。ところが去年は、北日本の早咲きにより花見で再訪する機会を逃し、秋のキャンプも道北、オホーツク方面を主戦場としたため、釧路には二月の一泊限りで終わってしまいました。そして今回一年ぶりの再訪を果たしたわけなのですが、今後どのようにして釧路を訪ねるかが切実な問題となっています。
というのも、新幹線の開業と引き換えに「北海道全線フリーきっぷ」が廃止されると、新幹線、スーパー北斗とスーパーおおぞらを正規料金で乗り継ぐという、時間的にも金銭的にも負担の大きい選択肢しか残らないからです。たとえ新幹線で直行しても、函館以外は実質一日がかりの移動になる以上、むしろ夜間に移動した方が理にかなっていたわけで、そのような選択肢を皆無にする北海道新幹線は無用の長物と改めて思います。
愚痴はさておき、釧路への交通手段の選択肢が大幅に狭められることは、北海道新幹線がもたらす様々な弊害の中でも、自分にとって最も深刻な問題です。旭川、稚内方面については、札幌から格安で往復できる切符があり、これとフェリーを組み合わせる代替案が浮上しています。しかし帯広、釧路方面については今のところ妙案がなく、このままでは去年に続き一夜限りの釧路となってしまう可能性もあります。それだけに、せめて今夜は心置きなく盃を傾けたいというのが本音です。
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北の汽車旅最終章 - スーパーおおぞら7号

2016-02-13 17:07:17 | 北海道
三時間の持ち時間を余すことなく使い切り、暮れなずむ帯広市街を後にします。釧路に着くのは七時前、風呂は先ほど済ませたため、投宿して一息入れても八時前には一軒目の呑み屋に入れるでしょう。名酒場がひしめく釧路だけに、今夜は長くなりそうです。

★帯広1705/スーパーおおぞら7(4007D)/1843釧路
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北の汽車旅最終章 - たぬきの里

2016-02-13 16:31:42 | 温泉
これまで立ち寄る機会はなかったものの、帯広は温泉銭湯が豊富な街です。駅から歩ける場所にも温泉があるため、列車を待つ合間に一風呂浴びて行くことにしました。訪ねるのは「たぬきの里」です。
場所は駅から一度の左折でたどり着く住宅街の中で、事前情報から思ったよりも大分近く、不動産屋なら徒歩5分と書きそうな距離です。実際にも10分と見ておけば間に合います。マンションの中二階に温泉と住宅の玄関が並んでいて、半地下へ降りたところに浴場があります。直線基調で飾り気のないところは銭湯そのもの。大小二つ並んだ長方形の浴槽に掛け流されるのは、褐色を帯びた滑らかなモール泉です。駅から歩ける温泉としては、全国でも屈指と思う名湯でした。

たぬきの里
帯広市西5条南15丁目
0155-21-2683
1200AM-2400PM
入浴料440円
泉質 アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
泉温 42.7度
pH 8.8
湧出量 毎分500リットル(自噴)
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北の汽車旅最終章 - モスバーガー帯広駅前店

2016-02-13 15:16:16 | MOS
腹を満たした後はMOSで小休止をとります。昔ながらの路地裏店舗がそのまま残る帯広駅前店にやってきました。
通りの向かい側から眺めると、今はなき下関東駅店の佇まいにどことなく似ているということに気付きます。箱型をした三階建ての小さなビルの1階にあるところが全く同じなのです。箱型の建物が微妙に凝った形をしていたり、持ち帰り用の窓口があったり、赤看板と黄色い日除けの取り合わせが秀逸だったりと、外観の個性にかけてはあちらの方が上だったのに対して、店内の居心地はこちらの方がむしろ上です。玄関の脇にある造り付けの円卓と、同じく弧を描いたレジカウンターは唯一無二であり、その円卓で寛ぐひとときは何物にも代え難いものがあります。下関東駅店が惜しくも姿を消した今、残ったこの店舗には末長く健在でいてもらいたいものです。

モスバーガー帯広駅前店
帯広市西3条南10-15
0155-21-2555
700AM-2400PM
第558号
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北の汽車旅最終章 - インデアン

2016-02-13 14:37:46 | B級グルメ
定期普通列車として国内最長運転時間を誇る釧路行ですが、全区間乗り通すわけではありません。帯広で降り、三時間ほど滞在してから釧路へ向かいます。気温は4度と相変わらずの暖かさです。
宿の朝食以来飲まず食わずだったため、まずは少し遅めのお昼をいただきます。帯広でお昼といえばもちろん豚丼、ではなくインデアンです。三時前という半端な時間にもかかわらず、テーブルは常時埋まった盛況で、カウンターにも切れ目なくお客が入ってきます。やはり、地元客は豚丼よりもこちらを選ぶということでしょう。
注文はもちろん基本となるインデアン、辛すぎない方が持ち味を発揮するという経験則に従い中辛にしました。それに加え、今回試してみたのがハンバーグのトッピングです。大きさ、食感にかけてはラッキーピエロのハンバーグカレーに一歩譲るものの、あれと比べさえしなければ価格以上の満足感はあります。ただ、隣の芝は青いということか、カツもうまそうに見えてきました。次の機会は常連客が好んで選ぶ「インデアンカツ」にするのもよさそうです。

★インデアン まちなか店
帯広市西2条南10丁目
0155-20-1818
1100AM-2200PM
元日休業
ハンバーグ大盛り733円
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北の汽車旅最終章 - 土曽糸吉

2016-02-13 11:02:40 | 北海道
予想通り富良野で乗客の大半が入れ替わりました。19分の停車時間の合間に一両増結され、二両になって根室本線を下ります。
この先落合では20分、新得でも12分の停車時間があります。増結作業という必然性があった富良野に対し、狩勝峠をはさんだ両駅での長時間停車が不可解です。しかし、蒸気機関車時代を彷彿させる間合いはあながち悪くありません。
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北の汽車旅最終章 - 普通列車の旅

2016-02-13 09:40:19 | 北海道
滝川で下車し、一息入れてから再び改札をくぐると、頃よく列車が入線してくるところでした。青いシートモケットもそのままのキハ40による普通列車です。今や名ばかりとはいえ本線は本線、入線の時点で10名近い先客がおり、発車前には全てのボックス席が埋まって、所々相席も出るそれなりの乗車率となりました。やはり早めに乗り込んだのは正解だったようです。
終点の釧路に着くのは18時3分、300kmを超える走行距離は我が国の普通列車として最長の部類に属し、所要時間については文句なしの最長です。そのことが災いして、乗車目的の同業者が必然的に出てしまうのがやや興ざめではありますが、覚悟していたほどの数ではありません。しばらくすれば車内も落ち着いてくるでしょう。

★滝川936/2429D/1413帯広
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北の汽車旅最終章 - スーパーカムイ12号

2016-02-13 08:23:41 | 北海道
まずは滝川まで移動します。釧路行の普通列車に乗るなら一本後の特急でも間に合う状況のところ、乗り継ぎが慌ただしくなるのを嫌った次第です。

★旭川825/スーパーカムイ12(3012M)/857滝川
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北の汽車旅最終章 - 三日目

2016-02-13 07:06:03 | 北海道
おはようございます。穏やかな好天は過ぎ去り、窓の外には鉛色の空が広がっています。10時頃から雨が降り出し、止み間を挟んで一日中降るというのが本日の予報です。
本日は去年と逆の経路をたどり、滝川から根室本線を下ります。旭川からの移動距離は約360km, 昨日ほどの長距離ではないにしても、普通列車での移動を含む一日がかりの長旅です。
昨夜「独酌三四郎」で隣り合わせた御常連から聞いたのは、雨の降ったときが一番厄介だという話です。暖かくなって雨が降り、雪が少し解けたと思えばまた寒くなって、それを何度か繰り返しつつ季節が進んで行くという話でした。たしかに、ただでさえ滑りやすい圧雪路に水を撒けば、相当危険な状態になるのは想像できます。ただし、これから向かう道東では、今日いっぱい雨の心配はなさそうです。
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