日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

キャンプ再考

2014-08-27 22:50:04 | 旅日記
キャンプの楽しみとして、夜風に吹かれながらの晩酌、よりよい装備を求めての試行錯誤といったものを挙げてきましたが、それらに加えてもう一つ気付いたことがあります。よい道具を手入れしながら長く使うという楽しみです。
というのも、週末の北陸キャンプを前に、修理に出していたテントが戻ってきたのです。感心させられたのは、10年以上も前の、当時の価格にして二万足らずの製品が、当たり前のように修理できてしまうことでした。公式サイトでも万全の保守体制を謳っているmont-bellですが、看板に偽りはありません。キャンプ用品は国内メーカー製が一番と改めて思います。

このようなことに感心するのは、現代の工業製品の多くが使い捨ての安物と化しているからでもあります。中でもひどいのが電子機器です。たとえば、今のノートPCは一年少々でキーボードの故障に見舞われ、修理をしようにも万単位の予算を請求される始末。代わりに導入したスマートフォン向けのキーボードにいたっては、わずか三ヶ月足らずで接触不良によりご臨終となってしまいました。保証期間内ということで新品と交換できはしたものの、今度はその後継機にまで似たような症状が出始めており、こちらも遅かれ早かれご臨終となりそうです。修理不能を理由に早々と代替品を送り返してきた製造元の対応からしても、修理して使い続けるなどということは端から想定していないのでしょう。
まあこれは、数年経てば旧式化して使い物にならないという電子機器の宿命の表れでもあるのでしょうが、それにしても一年持つか持たないかという耐久性のなさには閉口させられます。これほど極端ではないにしても、安く造って使い捨てるという発想は現代社会の隅々にまで浸透しており、建築物も鉄道車両もあからさまに安っぽくなってしまいました。一定期間の使用だけを想定し、後は野となれ山となれとでもいわんばかりの安物が、あまりに多いような気がしてなりません。

その一方で、本当によいものを長く大事に使うには、多くの場合金が要ります。車などはその好例ではないでしょうか。10年前後はさしたる手入れもせずに乗れる一方、それを過ぎると維持費の壁が立ちはだかり、車検を通すか乗り換えるかの選択に迫られるという現実は、自身にも否応なく押し寄せているところです。この点、よいものを長く使うという楽しみを、わずかな予算で体験できるという点において、キャンプは現代社会における数少ない選択肢の一つといえるかもしれません。
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