日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2014番外編

2014-08-09 18:48:16 | 野球
開会式が悪天候で延期となり、さらには明日の中止も早々と決まって、半世紀ぶりの珍事と話題になった今季の全国大会ですが、週明けには台風一過の青空の下、いよいよ試合が始まろうとしています。世間的には待ちに待った夏の風物詩の到来といったところでしょうか。しかし、専ら地方大会を追いかけている人間からすれば、選手権はもう過去のことといった感があり、全国大会は極論するならおまけのようなものでしかありません。暦も秋に替わって、気分は既に次の季節へと向かっています。
そのことを実感させられるのが、一部の地区で早くも始まっている秋季大会です。最も早い岐阜では既に予選が始まっており、明後日には愛知、三重、大分の各県でも試合が始まります。富山と石川でも組み合わせが決まりました。全国大会が世間の耳目を集める中、秋季大会は人知れず戦われているわけです。

一般には全くといっていいほど知名度のない秋季大会ですが、選手権との比較で特筆すべきは組み合わせの妙です。県内をいくつかの地区に分けて予選を行い、一地区につき数校の代表が県大会を戦うという流れは、選手権の南北北海道大会などと同じです。しかし、単純明快なトーナメントで貫徹する選手権と違い、地区予選の戦い方は県ごとに大きく異なります。
たとえば愛知では、4校から5校のリーグで一次予選を戦い、最上位のチームがトーナメントの県大会に進出します。岐阜の場合、リーグ戦の地区予選とトーナメントの県大会を組み合わせるのは同じですが、1リーグのチーム数が愛知よりも多く、同一リーグ内でも総当たりにはならないという変則型です。これに対して全く異なる仕組みをとるのが三重で、こちらは予選も県大会もトーナメントとなります。しかし、負けたら即終了の選手権と違って敗者復活の仕組みがあり、1次予選で負けたチームは2次予選に流れ、再びトーナメントを戦います。その地区の代表枠が二つなら、1次予選と2次予選の勝者が県大会へ進出し、代表枠が三つある場合はさらに敗者復活の3次予選が戦われるという仕組みです。さらに複雑なのが大分で、リーグのみで戦う地区、リーグ戦とプレーオフを組み合わせる地区、トーナメントと敗者復活戦を組み合わせる地区に分かれて全く統一性がありません。そうかと思えば富山と石川は選手権と同様のトーナメントで戦われます。選手権の代表校は予選を免除されるなど、各県に共通する制度はあるものの、秋季大会の戦い方は県、地区によって千差万別なのです。
このような多種多様の戦い方に加えて、地区の区分も選手権に比べて格段に細分化されます。例えば愛知は東三河、西三河、知多、名古屋、尾張の5地区に分かれ、岐阜は岐阜、西濃、中濃飛騨、東濃の4地区となります。三重の場合はさらに細かく、桑員、四日市、鈴亀、中勢、松阪・牟婁、南勢、伊賀の7地区です。「桑員」「鈴亀」など、県外人にはまず聞いたことのない細かな区分は、選手権にはない秋季大会ならではの特徴といえます。
このように、高校野球の真髄である地域性を楽しむ向きには、秋季大会もあながち悪くはありません。観客を収容できる球場ではなく、各校のグラウンドか地元の公園で戦われるというささやかさもこちらの好むところです。

上記の通りリーグ戦が主流となり、休養日こそあるものの基本は連戦。甲子園で湧き上がる世間をよそに、各地の球児たちは甲子園もお盆も無縁とばかりに、炎天下で連日白球を追いかけています。これも若さのなせる業でしょう。
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