牛込日乘

日々の雜記と備忘録

花粉症歴三十五年

2011-03-02 08:50:39 | Weblog

 今年のスギやヒノキの花粉飛散量は例年の五倍とか十倍とかいう情報もあるようだが、早めに耳鼻科で薬を処方してもらったこともあって何とか今のところひどくならずに凌いでいる。実のところ私はスギなどよりイネやカモガヤなどによるものの方がはるかに重症で、東京にいるとあまり気にせずに済むが、周りが田んぼばかりの実家にいると、くしゃみは止まらないわ目は腫れるわで大変なことになってしまう。私が地元で就職しようとは思わなかったのは、春から夏にかけてさまざまな花粉症に連続して襲われるからというのが(冗談でなく)理由の一つである。大学生になって東京で夏を過ごしたとき、あまりにも体が楽だったので驚いたことを覚えている。

 私が花粉症と診断されたのは一九七六年の小学校二年生の時で、一度引っ越したことをきっかけに、それまであった牛乳や卵などの食物アレルギーがある程度治まった代わりに違うアレルギー症状が出てきたのがはじめだった。当時は今のような誰でもかかるようなものではなく、なかなか理解してもらえなかった。特に夏場のイネの花が満開になる時期(八月初めからお盆くらいまで)が最悪で、いくら長野とはいえ、暑い盛りに窓も開けられずに部屋に籠もりきりになっているのは、かなり辛いものがあった。十歳くらいの頃だったか、眼球がピンポン球のように腫れ上がってしまったり呼吸が苦しくなったりして、急患で病院に担ぎ込まれたこともある。

 まあ、自分の体調について喋々するのはあまり上品なことではない。しかし、今や挨拶代わりに「花粉症ですか?」「ええ、お互い大変ですね」というような会話が当たり前のような世の中になって、症状が軽くなったわけでは決してないが、自分だけが辛いのではないという変な安心感を覚えたりはするのである。