moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

旅のカフェ日記 (2)

2005-06-13 00:21:10 | 旅日記
よく晴れている。天気予報によると、きょうはだいぶ気温が低いらしい。「ストックホルムはデカい(もちろん「ヘルシンキ」とくらべての話だけれど)」知人たちは口をそろえて、そう言う。忠告に従って、今回はできうる限り地下鉄で移動しようときめている。歩けそうなところでも地下鉄で。旅ははじまったばかりなのだ。中央駅の窓口で、まずは乗り放題のツーリストチケットを手に入れる。旅行者向けには、美術館や博物館などでも利用できる「ストックホルム・カード」というのがあるが、移動だけのために使うのなら断然割安な「ツーリストチケット」がおすすめである。

さっそく地下鉄にのって、建築家グンナー・アスプルンドの手になる「森の火葬場」へ(この話はまたべつのところで)。ふたたび地下鉄にのり、昼過ぎ、ソーデルマルムあたり。とにかくちいさくて気のきいた店が好きなので、今回の旅は「ソーデルマルム」だけでいいや、と極端にいえばそんな感じなのだ。ただ、行きたいギャラリーやショップのいくつかは月曜日で閉まっている。そこできょうは、メインストリートの名前と位置関係をアタマに叩きこむこと、くわえておもしろそうなショップが集中していそうな通りを発見することに重点を置いて、ひたすら歩く。やっぱり、けっきょく歩くのだ。でもこうして歩いているうち、街もだんだん親しげな表情になって、やがておもしろい店のありかをこっそり教えてくれたりするものなのだ。

こうして出会ったのが、壁の赤と白のツートンがかわいいZOUK cafeである(写真)。


近所のおじさんやショップの店員たちがふらりとやってきては、慣れた様子でオーダーしてゆく。そんな気取らない空気が心地いい。そしてここでおいしかったのが、なんといっても「キャロットケーキ」(写真)。ごらんのとおり、相当に荒っぽいつくりである。ニンジンが、これでもかとばかりザクザクとはいっている。素朴だけど、「そこでしか味わえないおいしさ」と出会えるのが北欧の醍醐味かもしれない。


北欧で「キャロットケーキ」はポピュラーなのだろうか、旅の途中あちらこちらのカフェでみかけたが、この店のやんちゃなキャロットケーキの味がぼくには忘れられないのである。

そしてまたも地下鉄を乗り継ぎ、エステルマルムへ。


ソーデルマルムのカジュアルな空気とはガラリと変わり、こちらはちょっと銀座ふう。相方のたっての希望で、「スヴェンスク テン」の本店へゆく。ふと気づくと、店内に流れるのははっぴいえんど「風をあつめて」。ストックホルムで「はっぴいえんど」。なんとも不思議な取りあわせだが、おかげでストックホルム滞在中、ずっとあたまの中ではこの曲がぐるぐると・・・。でも、この曲の「テンポ」にいまの「東京」は似合わない。むしろこの街の「テンポ」のほうがよほど似合っているかも、とそんなことをかんがえながら。

夕食は旧市街「ガムラスタン」で。味はというと、いわゆる「観光地」にふさわしいレベル。スープの殺人的なしょっぱさが理解できない。食後は腹ごなしをかねて、散歩しながらホテルへともどる。きりっと引きしまった空気が、この日の《最高のデザート》だった。