moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

moiの旅講座、開講です

2005-03-31 21:47:22 | コラム、というか
耳のあなたに?! 新着情報をひとつ。

フィンランドを旅するひと、旅したいひとを対象に、このほどmoiではフィンランドの旅をめいっぱい楽しむための「ヒント」を満載した講座を開講することとなりました。名づけて、

moiの旅講座*フィンランド

「北欧ブーム」などといわれ、ちかごろでは雑誌の特集などにも登場する機会のふえた「フィンランド」ですが、「いざ旅に!」と思うとまだまだ情報がすくないのが現実です。ガイドブックに登場するショップや観光スポットもおなじところばかり・・・。そこでこの「moiの旅講座*フィンランド」では、観光情報のみならず、さまざまな角度からフィンランドの旅を満喫するためのヒントを伝授します!

講座は全2回(各1時間30分/隔週)完結。ガイドは、フィンランド留学経験をもち、現在フィンランド語教師、翻訳業など多岐にわたってフィンランドと関係した仕事に携わっている日本人講師がつとめます。内容は、三本だて。

●きほん情報
定番の観光スポットや季節ごとのみどころはもちろん、ガイドブックに載っていない「穴場」までこっそり教えちゃいます。

●お役立ち情報
言語や気候、服装のこと。トラムやメトロの乗り方、スーパーマーケットでの買い物の仕方など、知っていると便利な小ワザ(Tips)の数々を伝授。

●旅のフィンランド語
トイレのドアの「M」と「N」、どっちが「男」でどっちが「女」?!「KASSA」?!「avoinna」?!・・・街でほとんど「英語」の表記を見かけないフィンランドだからこそ、ちょっとしたフィンランド語の知識が役立ちます。もちろん、ちょっとした「あいさつ」など、現地で使えるかんたんなフィンランド語会話もさわりだけ。

ほかにも、カフェオーナーの「目」でみたおすすめカフェやショップなどmoiならではの情報もご紹介する予定。お楽しみに!

この夏、旅行の計画を立てているひとも、いつか行きたいとおもっているひとも、次回はもっとじっくり歩いてみたいとかんがえているひとも、ぜひぜひ「moiの旅講座*フィンランド」でばっちり予習してください!

moiの旅講座*フィンランド(全2回)
日 時 お問い合わせください 
会 場 moi(荻窪)
受講料 5,600円(2回分/税込み)
人 数 10名(定員になり次第〆切)

なお、ご興味のある方には詳細が確定次第いち早くメールにてご案内を差し上げます。「旅講座案内希望」と明記の上、info@moicafe.comまでメールをお送りください。

フィンランドカフェ

2005-03-30 23:26:08 | コラム、というか
ィンランドカフェと呼ばれることのおおい、ちかごろのmoiである。

面白いのは、いまだかつてただの一度だってみずから「フィンランドカフェ」と名乗ったことはないという事実だ。そもそも、「フィンランドカフェ」ということばじたい不思議だ。おそらく、moiがオープンしたのとおなじ2002年からスタートしたフィンランド政府観光局主催のイベント名からきているのだと想像する。

ところで、moiの正式名称は「moi(モイ)」である。雑誌の紹介記事などで、お店の性格をはっきり示さなければならないというときには、やむなく「カフェ moi」と名乗ることもある。原則として、ただの「moi」で押し通している理由はふたつ。ひとつは、「カフェ」という業態にとらわれず、そのときどきで自由にスタイルをえらびたかったから。もうひとつは、そこがどのような場所であるかはお客さまが決めることと思っていたから、である。だから、moiはあるひとにとっては「カフェ」であるかもしれないが、あるひとにとっては「喫茶店」、あるいはたんなる「寄り合い所」、またべつのあるひとにとっては「ギャラリー」であるかもしれない。そうしてそれはたぶん、すべて正しい。「フィンランドカフェ」と呼ばれれば、「なるほど、そうかウチは『フィンランドカフェ』なんだな」とあらためて思うし、ときには「もうちょっと『フィンランドカフェ』らしいこともしなきゃな」などと反省(?)したりもする。

個人的なことをいえば、とりたてて「フィンランド限定」にしているわけではなく、ぼくの関心はいつも北欧全般に、ある。じっさい、フィン・ユールの椅子もすきだし、スウェディッシュポップスやジャズも聴く。フィヨルドだって、この目でいちどはみてみたい。そういうわけなので、スカンジナヴィアンなあなたもぜひ、北欧カフェだとおもって気兼ねせずお越しになってください。べつに怒ったり、喧嘩を売ったりしませんから(笑)。

またしてもCDプレーヤーが

2005-03-29 14:13:41 | コラム、というか
さのニュース報道によると、スマトラ半島沖でふたたび地震が発生したらしい。M8.7という、これまでで最大規模の余震とされている。そんななか、みたびCDプレーヤーが故障した。

日曜日の閉店後、それまでまったく問題なく作動していたCDプレーヤーが、またしても突然うんともすんともいわなくなってしまったのだ。その日はそのままダメ、月曜日はお休みだったので状況はわからないが、きょうは朝からいつも通りふつうに作動しているのだから、まったくもってワケがわからない。

先週の中ごろからなんとなく不穏な気配を感じているのだけれど、いまだに該当するような地震は発生していない。地震雲(らしきもの)の報告などさかんになされているものの、低気圧がひんぱんにやってくるここのところの気象状況ではなんともいえない。けっきょくのところ確証はまったくないのだけれど、30(水)から4/4(月)くらいまでが要注意日とみて、わが家ではきのう買ってきた飲料水と非常食を枕元において寝ている。いまのところ、CDプレーヤー様の「お告げ」はわが家ではそれ相応の説得力をキープしているのだ。

いざというときに役に立つかどうかはともかく、最小限の備えは多少の安心感にはつながっているようにおもう。


おでかけ

2005-03-28 23:58:03 | コラム、というか
6歳になる姪っ子と連れだって、お散歩にでかけた。

あいにくの(「花粉症」に悩まされる身としては「恵みの雨」だけれど)雨模様ということもあって、北の丸公園にある「科学技術館」へとむかった。ここはその名のとおり、《巨大な理科教室》のような場所で、ただ「見る」だけでなく、じっさいにからだを使ってたのしめる数々のアトラクションが用意されている。したがって、来月からようやく小学生になる姪っ子にとってもそれなりにたのしい場所かもしれない、そうかんがえたわけだ。ぼくもまた、こどものころはよく親に連れられ、あるいはともだちとともに訪れては遊びまくった記憶がある(にもかかわらず、「科学」にたいする理解はいっこうに深まりはしなかったけれど)。

春休み、しかも当日は「無料開放日」だったこともあり、雨の月曜日にもかかわらず館内はこどもたちの歓声がひびきわたる相当な賑やかさだった。とりわけこどもたちに人気があったのは、5階の常設展示『FOREST:遊び・創造・発見の森』。ここは、アーティストのタナカノリユキ氏と心理学者でカリフォルニア工科大学教授の下條信輔氏とのコラボレーションにより誕生した空間で、「遊び」を通してこどもたちの好奇心を刺戟するようなアイデアが各所にちりばめられている。姪っ子は、おおきく傾いた壁と天井のおかげで「平衡感覚」を失ってしまう「座標の部屋」というアトラクションがお気に召した様子で、なんども出入りしては歓声をあげていた。

さんざんあそんであそび疲れたと思いきや、姪っ子はまだまだあそび足りないといった様子でキョロキョロと館内を見回していたが、いいかげんこちらの体力がもたないのでなんとか言いくるめて帰途についたのだった。

それにしても、今週は中高生相手に「先生まがい」のことをしたり、TVカメラの前でしゃべったり、「こども連れでおでかけ」したりと、ふだんやりつけないことを一気にこなしてすこし疲れたけれど、なかなか得難い経験をさせてもらった愉快な一週間だった。

禁断のTV出演

2005-03-27 23:29:23 | コラム、というか
いに(?!)というべきか、禁断の「テレビ取材」をひきうけてしまった。

これまでもテレビ取材の依頼はなかったわけではないが、すべて理由をつけてお断りしてきた。べつに、もったいぶっているわけではなく、ただ、テレビで紹介される「moi」の姿がイメージできなかったからにほかならない。moiのよいところは、じっさいに足を運んでいただかないことにはちゃんと伝わらないような気がしている。ところが映像というのは「わかった気にさせてしまう」メディアである。「編集」というフィルターが介在していることをわすれて、ひとはつい映像として目にしたものを事実として受け入れてしまいがちだ。でもそれはちがう。moiとはたぶん、その空気であり、そこにながれる時間である。映像がそれをとらえるのは容易なことではない。かといって、短いコメントでその「空気」なり「時間」なりを的確に伝えるだけの「ことば」をぼくは持ちあわせていない。とても残念なことだけれど。

今回、依頼をひきうけるにあたっても、当然「不安」がなかったわけではない。いや、じっさい、この話が川口さんからの紹介でなかったなら、おそらくはひきうけていなかったにちがいない。川口さんとは、前回のブログでもとりあげた「東京カフェマニア」を主宰する川口葉子さんのこと、である。この超有名サイトが、一個人の力によって運営されているという事実をはたしてどれだけのひとが知っているだろう。その作業量ときたら、おそらく「趣味」の範囲をはるかに超えているはずである。他人にはいえない悩みや苦労も少なくないだろう。川口さんの、カフェという「場」にたいする並々ならぬ愛着あってこそ、このサイトもまたいきているのである。そんな川口さんの「この番組はコーヒーとそれを大事に思う人々の姿を描こうというもので、真面目な取り組みに共感し、協力させていただくことにしました」という言葉に、微力ながら協力できることがあればという気にさせられたのだった。

この日、閉店後にその番組の収録はおこなわれた。結論からいえば、今回この取材をひきうけてよかった、とおもった。ディレクターの斎藤さんは、自宅ではご自分でコーヒーを淹れるような「こだわり」のある方(三才になるお子さんは、なんとすでにブラックでコーヒーをのむらしい)で、「コーヒー」にたいしてひとかたならぬ「思い入れ」をお持ちの方とお見受けした。収録は、まず川口さんへのインタビュー、そしてそれを受けてぼくがインタビューに答えるという順序で進行したのだが、そのときmoiのちいさな空間には、たしかに、「一杯のコーヒーのある場所とそこにながれる時間」を愛するひとたちから生まれるある親密な空気が充満しているのをかんじた。そしてまた、もしかしたらその空気がカメラをつうじて観るひとに伝わるかもしれない、ともおもったし、すくなくとも、その番組はしっかり手応えのあるものに仕上がるだろうことを確信した。

この先も、moiがブラウン管に登場することはあまりないかもしれない。けれども、こんな真摯な「つくり手」からの誘いなら甘んじてのってみるのも悪くないな、いまはそんなふうにかんじている。

※番組は、日本におけるコーヒーショップとその周辺を歴史的に検証するドキュメンタリーで、オンエアは「ヒストリーチャンネル」です。番組では、泣く子も黙る(?!)銀座「カフェ・ド・ランブル」の重鎮・関口一郎氏、南千住「カフェ・バッハ」の田口護氏らもインタビューで登場されるそうですよ。ちなみに、幸か不幸か(笑)ケーブル未加入のわが家ではオンエアをみることはできません。

All About

2005-03-26 23:03:33 | コラム、というか
る程度インターネットを使いこなしているひとなら、きっといちどは目にしているであろうサイト、「All About」。「その道のプロが、あなたをガイド」をコンセプトに、ファッションから財テクまで幅広いカテゴリーをカヴァーしたテーマ別リンク集である。

その「All About」にちかごろ登場したのが、「All About [カフェごはん]」。ガイドをつとめるのはサイト「東京カフェマニア」を主宰するサマンサさんこと、川口葉子さん

いわゆる「カフェごはん」のレシピや「お取り寄せ」情報、ちまたのカフェでよくみかける雑貨やキッチンツールを購入できるショップ情報などなど、ありがちな「カフェ案内」とは一線を劃した「プロ」の視点から「カフェ」の多様なたのしみ方が提案されています。

そしてなんといっても圧巻なのは、エリア別に網羅された「カフェ」のリンク集。「東京」のみならず、「関東」「関西」「日本全国」というカテゴリーから、さらに細かくエリア別に「カフェ」を検索することができます。おそらく、ここまでトータルに押さえられた「カフェガイド」は、いままでどこにも存在していなかったのではないでしょうか?よく、旅行や所用であたらしい街、見知らぬ街にでかける際には、あらかじめその街のカフェの場所を調べておいたりします。ぼくの場合はふつう、Googleなどの検索エンジンをたよりに「荻窪 カフェ」といった具合に検索していました。けれどもこのリンク集を活用すれば、かなり効率よく好みのカフェを見つけだすことができそうです。ちなみにmoiも、「東京のカフェ」→「杉並・世田谷・中野区のカフェ」でリンクを貼っていただいています。

とても便利なこの「All About [カフェごはん]」、さっそくブックマークされることをおすすめします。

太鼓判!葉山でアキ!

2005-03-25 23:37:05 | コラム、というか
キ・カウリスマキによる《都会のちいさなおとぎ話》といえば、そう、「浮き雲」ですよね。その映画「浮き雲」の「とにかくスペシャル」な上映会のおしらせが、おなじみキノ・イグルー[Kino Iglu]からとどきました。

日にちは、4/16(土)・17(日)の二日間、昼、夕方、夜と各日3回の開催です。会場になるのは、葉山のとてもすてきなかわいいギャラリー「haco(ハコ)」。ぜいたくなことに、このイベント、なんと一回の定員はたったの8名(!) 、しかも昼、夕方、夜とそれぞれ異なる「テイスト」をかんがえているというから、それもたのしみです。

じつは、この上映会を企画した「キノ・イグルー」がアキ・カウリスマキの作品をとりあげるのは今回が初めてのこと。まえにもふれましたが、かれら「Kino Iglu」の名づけ親はアキ・カウリスマキそのひとということもあり、まさに満を持しての登場といえそうです。「キノ・イグルー」のおふたりにとっても特別な夕べになるのでは?

ところで、このブログを読んでくださっているひとならきっと、いちどはこの「浮き雲」という作品をごらんになっていることとおもいます。かく言うぼくも、けっして派手ではないけれど、じわっとしあわせな余韻がひろがるこの映画を、ビデオやDVDでいちどならず観ています。でもこういう作品こそ、ほんとうはだれかといっしょに観て、余韻をわかちあいたい、そんなふうにもかんがえるのです。そしてこの上映会はまさに、そうした欲求をかなえてくれるものになるでしょう。

春の宵、映画の余韻にひたりつつ、海風に吹かれて家路につく、そんな最高の「お膳立て」まで用意された今回のイベント、ぜったい参加して損はないですよ。

お問い合わせ、お申し込みは「キノ・イグルー」(kinoiglu@hotmail.com)へ、急いでどうぞ。


お詫びと訂正/日程に誤りがありましたので訂正しました(3/31)。正しくはつぎの通りです。
誤)4/15(土)・16(日)
正)4/16(土)・17(日)

ichさん、ご指摘ありがとうございました。

池ノ上~下北沢

2005-03-24 11:50:28 | コラム、というか
さしぶりに晩メシでも、という友人からの誘いで、ゆうべは池ノ上にあるワインバー「the apprtment」に行ってきた。その名のとおり、外観はごくフツーのアパートの趣き、というよりはアパートそのまんまで扉をあけるのにほんのすこし勇気が必要だが、一歩はいってしまえばこじんまりとしてカジュアルなワインバーである。料理はイタリアンベースの創作料理で、ワインとの相性をかんがえてか、素材や味つけにはちょっとだけクセがあってなかなかおいしかった。ぼくはほとんど飲めないので、イタリア産の軽めの白ワインをグラスで一杯だけ。

その後はぶらぶらとあるいて下北沢へ移動、「トロワシャンブル」で酔いざましのコーヒーブレイク。ジャワ・ロブスタのストレートがあるのがめずらしく、苦味の強いコーヒーできりっとさせたかったのもあってそれにする。煤けたカベ、薄暗い店内、そしてコーヒーの香り。せわしなかった一日のしめくくりは、すこしだけ大きめの音量でかかるニーナ・シモン、まさにパーフェクト。

店主、大いに語る?!

2005-03-23 23:55:44 | コラム、というか
並区の児童青少年センターというところからの依頼で、「カフェオーナーの仕事を知ろう」をテーマに参加を希望した中高生たちにお話しをする機会がありました。

あいにくの土砂降り雨の中、参加してくれたのは15~18才までの女の子。じっさいにmoiに足をはこんでもらい、「カフェができるまで」「日々のしごと」といったことがらを中心に、およそ2時間あまりお話しをしました。相手が中高生ということもあり、あらかじめ中身をきめることはせずに、彼女たちの興味や関心にあわせて話をすすめてゆくことに。すこし話をしたところで、想像以上にみんなじぶんの将来や仕事に対する意識が高いことに気づきました。じぶんが中高生だったころとくらべると、みんなずっとしっかりしているし「おとな」かも・・・。

当初の予定より参加者がすくなかったので、後半は急きょ、カウンターにはいりアドバイスをうけながらコーヒーを淹れる「実習タイム」を敢行。じぶんでドリップしたコーヒーを、「おいしい、おいしい」と目を輝かせながら口にはこぶ彼女たちのすがたは、なんともいえずほほえましい光景でした。

「目標にむかってまっすぐ進め!」なんてかっこいいセリフは口が裂けても言えやしませんが、そのときどきの「心持ち」にしたがって日々たのしく仕事している(ラクに仕事しているという意味じゃありませんよ。念のため。)ということがほんのちょっとでも伝わったなら、たぶんそれで十分なんじゃないかと思います。

セルゲイ・ハチャトゥリャン

2005-03-22 23:50:13 | コラム、というか
然テレビで目にした若いヴァイオリニストの演奏に、すっかり心奪われてしまった。

ヴァイオリニストの名前はセルゲイ・ハチャトゥリャン。アルメニア出身で、今年20歳になる。テレビでみかけたときには、バイオグラフィーはおろか彼の名前すらも知らなかった。それでも、彼がたぐいまれな音楽性の持ち主であることは一瞬にして理解できる。音色のうつくしさ(彼は18世紀につくられた名器「ガダニーニ」を弾いている)もさることながら、神経のゆきとどいた微妙な強弱や粘り気のある独特の歌い回しなど、その演奏はとても個性的であると同時に、その年齢にはみあわない悠然とした足取りには、すでに熟成された「風格」のようなものすら漂っているのだった。「天才」だ、と直感した。

というわけで、さっそく彼、セルゲイ・ハチャトゥリャンのCDを手にいれた。2003年にフランスの「naive」というレーベルからリリースされたもので、シベリウスと母国の同姓の作曲家ハチャトゥリャンの「ヴァイオリン協奏曲」とがカップリングされている()。ライナーによると、なんと彼は2000年、15歳のときにすでに、フィンランドでおこなわれた「シベリウス国際音楽コンクール」で史上最年少での優勝を果たしているとのこと。じっさい、ここできかれるシベリウスはほんとうに心を打つ。

ハチャトゥリャンにとって「フィンランド」という国は、じぶんのキャリアにとって重要な意味をもつ「栄冠」を手にした場所という以上に、もっと特別な場所であるらしい。「フィンランドという国の《空気》にとても強く感じるものがあった」と言う彼は、また、シベリウスの作品を演奏するにあたって「フィンランドの景観がもたらす深遠な感覚にどっぷりとつかった」とものべている(意訳で失礼!)。彼の弾くシベリウスに「匂い」があるのは、こうした一歩踏みこんだ解釈あってこそにちがいない。

と、まぁなんだかベタぼめなわけだが、このCDはじっさいもっととくさんのひとたちに聴かれてしかるべきだと確信しているので、ここでこうして紹介している。

余談だが、いま手元にある輸入盤は「デジパック仕様」、しかもクラシックらしからぬきれいなデザインでおすすめ。