moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

迷える「男子」へ

2006-02-28 23:33:28 | 雑貨
日ご紹介した『アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本』が好評です。

以下は男子に、とりわけ北欧やデザイン、雑貨などに興味がある彼女や女友達をもつ男子にぜひ読んでいただきたいと思っています。というのも、この時期ホワイトデーのお返しに頭を悩ませていたりしませんか?どうせならちょっと気のきいた「お返し」をしたいよなぁ、と。そんな男子におすすめなのがこの一冊です。

ここでとりあげられているアンティ・ヌルメスニエミのホーローのポットといえば、北欧のデザインや雑貨に興味のあるひとならだれでも知っている人気アイテムのひとつですが、この本にはそんなポットにまつわるだれも知らなかったような《発見》がちりばめられています。ですから、たとえ彼女(あるいは女友達)がこの「ポット」についてよく知っていたとしても、きっと十分たのしんでいただけるはずなのです。それに、エナメルのような質感をはじめ、ポットをそのまま本にしてしまったかのような装丁もまた、彼女(あるいは女友達)に喜んでもらえることまちがいなしです。

『アンテイ・ヌルメスニエミについての小さな本』(?1,365)
moiにて好評発売中。

ところで、ついついここまで読んでしまったという「女子」のアナタ!そんなアナタにも、この本はとてもおすすめです。でも、もしこの本を彼(あるいは、男友達)からプレゼントされたら、どうかこの本の存在は知らなかったことにしておいてあげてください。だってそうでしょう?それが「優しさ」ってものです。

まめづくし

2006-02-27 23:38:33 | コラム、というか
くっと散歩がてら三軒茶屋へ。たしかこのあいだ行ったのは・・・、思い出せないくらいむかし。劇的に変化したような気がするけれど、それはたぶん「キャロットタワー」などというものができたせいなのであって、周囲の街並はほとんど変わっていないような印象がする。

それはともかく、なぜ唐突に「三茶」なのかというと、これまた唐突に「豆がたべたい」とウチの奥さんが言ったからである。以前テレビだか雑誌だかで知った「mame-hico(マメヒコ)」というカフェに、いちど行ってみたかったのだという。「キャロットタワー」の裏手にそのお店はあった。高い天井と「金時豆」の色をした壁がいい雰囲気である。豆のキッシュやスイーツのほかに、小豆、金時豆、黒豆、うずら豆、虎豆などから好みで2or3種類を選ぶシンプルなプレートもあり、上品な豆の薄甘煮をアテにコーヒーや紅茶を飲むことができてなかなか楽しい趣向だと思った。

その後、家でのむコーヒーの「豆」をきらしていることを思い出し、茶沢通りにある「ビーンズ」というちいさな自家焙煎店で豆を買う。ブラジルサントスをフレンチローストにした「ブラジルフレンチ」と「ヨーロピアンブレンド」を100グラムずつ。ふだん行かない街へでかけるとき、以前は中古レコ-ド屋のありかをチェックしてから出かけたものだけれど、最近ではそれにコーヒー豆屋が加わった。律儀そうなおじさんが焼く豆からは、はたして「三茶」の朝の匂いがするだろうか。

因縁の対決

2006-02-26 19:17:13 | コラム、というか
っして熱心なウォッチャーとはいえないけれど、「フィンランド好き」にとって今回の「トリノオリンピック」のハイライトはまちがいなくココでしょう。アイスホッケー男子決勝。なんといっても、相手は宿敵スウェーデンなのですから。

長いあいだ隣国スウェーデンに統治されていたという歴史的背景もあって、フィンランドのひとびとにとってスウェーデンは永遠のライバルといえる存在。ですからすべてのフィンランド人たちはいま、絶対に「巨人」にだけは負けたくない「阪神ファン」のような心境にあるのです。「決勝戦」ということは、イコール負けても「銀メダル」ということなわけですが、フィンランド人にとってはこの際メダルの色なんかどうでもよい話。ただスウェーデンに勝つことにこそ意味があるのです。

とはいえ敵は強豪スウェーデン。フィンランドとしては、これまでに幾度となく苦杯をなめさせられてきた相手です。そうそうカンタンに勝たせてもらえないでしょう。ちなみに試合後のフィンランドでは、勝てば「祝杯」、負ければ「ヤケ酒」、いずれにせよ酔っぱらいたちが街をうめつくすことまちがいなし。

※今夜はテレビで応援しよう!フィンランド語クラスのLiisa先生おすすめの観戦ポイントは・・・ビール片手にエキサイトする応援団の姿だそうです(笑)。

アスファルトの音楽

2006-02-25 23:38:38 | カフェの音楽
かごろよく聴いているのは、安藤裕子のアルバム「Merry Andrew」。

これはちょっと、ひさびさにグッとくる良質のシティポップスなのではないでしょうか。「シティポップス」というと、たとえば70年代後半から80年代にかけてもてはやされた「AOR」であるとか、日本では山下達郎、大貫妙子らが在籍したシュガーベイブ、最近ではキリンジなんかを思い出したりするわけですが、個人的には、その音楽にふくまれるアスファルトと土との割合が最低でも「7:3」以上でなければ「シティポップス」とは呼べないような気がします。その意味で、「シティポップス」とはつまるところ「アスファルト・ミュージック」なのですね。

で、この安藤裕子というひとなのですが、割合としては「8:2」以上(当社比)という純度の高さを誇っているといってよいでしょう。ほかにも長々と書いてみたいことなどあるのですが、なんか面倒臭くなっちゃったので、まあそういうことで。とにかくよいですよ、これは。

十回に一回のひと

2006-02-24 23:46:58 | コラム、というか
りに、十回に一回の割合でなにかを成功させるひとがいたとしよう。その場合、そのひとはその「なにか」を「できるひと」ということになるだろうか?

十回に一回の割合で遅刻しないOL。どう考えたって、そのOLは「遅刻常習犯」である。では、これはどうか。十回に一回の割合で、ほっぺたが落ちるようなおいしい料理をこしらえるコック。どちらかといえば、「ときどき『まぐれ』でいい仕事をするヤツ」といった程度で、あまり信用はおかれないのではないか。十回に一回の割合で、牛乳を3秒で一気飲みするヤツ。十回に九回は5秒かかったり、ときには口や鼻から牛乳を吹き出しているのである。クラス内でそいつはこう呼ばれるだろう。お調子者のバカ。

話は変わる。あるフィギュアスケートの大会で「四回転ジャンプ」を決めた少女がいた。十回に一回とはいわないまでも、その後の「成功率」はけっして高くはなかった。少女が「四回転する能力を持ち備えている」のは確かだが、「四回転できる」と言ってよいかどうかはあいまいである。けれども世間は、その少女を「四回転ジャンプの○○」と呼び、リンクに登場すればいつも「四回転」を期待するようになったし、マスメディアはその少女をまるでアイドルかなにかのようにもてはやした。そしてそんな狂騒の中では、少女はあたかも「十回に七回くらい四回転できるひと」のようにみえたし、ことによると本人にとってもまたそうであったかもしれない。

大舞台へのプレッシャーと闘いながら、果敢に「四回転ジャンプ」に挑む少女の姿は痛々しいものだった。本番を終えた後のインタビューで、「失敗はしたけれど、夢の舞台で『四回転』にチャレンジできてよかったと思う」と語る少女の表情もまた、晴れやかというにはほど遠く、むしろ「四回転ジャンプ」を決めたあの日のじぶんとのギャップにどこか戸惑っているようにもみえた。

たしかに「四回転」はすごい。すごいけれども、べつに「四回転だけがすごい」わけじゃない。「ワタシは『十回に一回』四回転ジャンプをきめますが、やっぱり今回はパスします」。それでよかったのではないか。「遅刻常習犯」はともかく、「たまに『四回転ジャンプ』をきめるひと」はそうそういたもんじゃない。飛んだ証拠はのこっているのだ。意地にならなくとも、それだけでじゅうぶん価値はある。

《Hesa系》の真打ち登場~Teddy Rok Seven

2006-02-23 13:58:37 | カフェの音楽
ッポ・マキネンのソロ・プロジェクト、Teddy Rok Sevenのアルバム「ユニヴァーサル・フォー」がついに国内発売されました。めでたい!

テッポはNuspirit Helsinki、昨年来日したJukka Eskola Quintetへの参加、そして現在来日中のThe Five Corners Quintetのドラマーとして、まさに《Hesa系》(=ヘルシンキ系←勝手に命名)の中心人物といえるひと。そのテッポが、満を持して昨年リリースしたのが、このデビューアルバム「Universal Four」なのです。

サウンドは、ジャズをベースに、アフロ、ブラジル、ファンク、サイケデリックなどさまざまなスパイスで巧みに味つけられた、いわゆる《ニュージャズ》ということになるのでしょうか。ただし、こうしたサウンドが新鮮かというとそうでもない、むしろいま世界中にはこの手の音楽があふれていると言ったところで、あながちまちがってはいないでしょう。じゃあ、なぜいま「ヘルシンキ」なのか?それはおそらく《手触り》の問題なのです。

ぼくは、かれら《Hesa系》のサウンドを耳にするとアラビアの《Ego》というコーヒーカップを思い出します。一見シンプルにして機能的、ひどく洗練されたデザインにみえるのだけれど、じっさい手にしてみるとどこかもっさりとしたおだやかさが感じられる。もしおなじものを、東京やロンドン、あるいはNYでつくったら、きっとこんなふうにはならなかったことでしょう。全体的に、もっとエッジのきいた印象に変わっていたはずです。Teddy Rok Sevenのサウンドにもまた、ぼくは東京やロンドン、NYはもちろん、ストックホルムですらなく、まさに「ヘルシンキ」という都市からしか生まれえなかったであろうオーガニックなグルーヴ、《手触り》を感じてしまうのです。

Teddy Rok Sevenことテッポ・マキネンこそは、あるいはそんな《Hesa系》の真打ちと呼んでいいかもしれません。

アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本

2006-02-22 17:59:13 | 雑貨
moiでいま取り扱い中の本のご紹介です:

れは、ホーローのコーヒーポットやユーモラスな木製のサウナスツールなどで知られるフィンランドのデザイナー、アンティ・ヌルメスニエミに捧げられた小さな本です。

つくったのは、原宿の雑貨店「CINQ」と世田谷のインテリアショップ「biotope」。いづれも、北欧の家具や雑貨に興味のあるひとなら目を離すことのできない人気ショップです。本をひらけば、ちょっとマニアックなディテールの解説や、夫人でファッションデザイナーでもあるヴオッコへのインタビュー、それに堀井和子さん、岡尾美代子さんのコラムなど、アンティへの愛情とこだわりにあふれた一冊となっています。

つややかなエナメルを思わせる、かれのポットがそのまま一冊の本になったかのような装丁もすてきです。ポット同様、赤、白、水色、黄色、茶色と5色のカラーバリエーションが用意されています(早いもの勝ちです!)。

余談ですが、アンティのコーヒーポットというときまって思い出すのは、アキ・カウリスマキ監督の映画「浮き雲」のワンシーン。主人公の夫婦のつつましい暮らしを象徴するかのように、赤いそれはかれらのアパートのキッチンにちょこんと置かれています。きっとこんなふうに、アンティ・ヌルメスニエミのデザインはフィンランドの人々の暮らしに溶け込み、愛されてきたのでしょう。この小さな本からは、そんなフィンランドの人々の暮らしの息づかいがきこえてきます。

『アンティ・ヌルメスニエミについての小さな本』
●CINQ biotope 著
●1,365円(税込み) moiにて好評発売中。

町と喫茶店

2006-02-21 15:47:21 | Weblog
朝、いつもより早く起きて鍼にゆく。この時期ぼくは、できうる限り吉祥寺から西へは行かないようにしている。なんといっても、スギ花粉の量がぜんぜん違うのだ。じっさい車窓からみえる眺めはのどかだが、よくみると茶色い「薄汚い花」をつけた忌まわしい杉の木がそこかしこに…。当然マスクは手ばなせません。

鍼の後、小平まで足をのばし、コーヒー好きにはちょっと知られた喫茶店「永田珈琲」に寄り道する。「ニュークロップの直火焙煎」にこだわった自家焙煎珈琲店なのだが、そんな気負いはみじんも感じさせない落ち着いた雰囲気の郊外の喫茶店である。

とはいえ、ぼくなどからすると、こういうちゃんとしたコーヒーを飲ませる喫茶店がある町とそうでない町とでは、なんというか「懐の深さ」という点でぜんぜんちがうように思える。いい喫茶店のない町での暮らしは、句読点のない文章とおなじで息苦しいのだ。ふつうあまり考えないかもしれないが、文章で句読点が占める役割はことのほか大きい。

いい喫茶店があるからその町に引っ越す。ナンセンス?でも、そのくらいのことを考えかねないのが「コーヒー好き」ってもんじゃないだろうか?

2月の営業について

2006-02-20 12:34:56 | 業務連絡
いもので2月も下旬にさしかかってしまいましたが、今月の営業についてごあんないさせていただきます。

●休 業 日/
月曜日、火曜日(2/20,21,27,28日)

●営業時間/
平日(水、木、金曜日) 13時より20時30分まで
土日         12時より20時まで

とさせていただきます(3月の営業につきましては、あらためてごあんないさせていただきます)。

平日の営業時間につきましては、実際のお客様の動きにあわせて少し後ろにずらしてみました。お仕事帰りにお立ち寄りいただく方にも、少しだけゆっくりしていただけるのではないかと思います(好評でしたら3月以降も継続します)。土日祝日につきましては、これまでと同様です。

なお、メニューにつきましては、とりあえず今週より「moiプレート」のみ復活とさせていただきます(サンドイッチにつきましては、いましばらくお待ち下さい)。

お客様にはまだまだご不便をおかけいたしますが、よろしくおつきあいの程お願いいたします。


新学期、はじまる。

2006-02-19 23:25:12 | コラム、というか
安もなくはなかったのですが、おかげさまをもちまして最初の一週間を無事すごすことができました。初めて足をはこんでくださったみなさまも、いつも足をはこんでくださるみなさまも、まだまだ至らぬこともあったかとは思いますが本当にありがとうございました!

カウンターに立っていると、「なんだかんだ言っても、やっぱりここが『じぶんの場所』なんだなぁ」なんてあらためて感じたりするものです。そして、ひさしぶりに顔をあわせたなつかしい面々。「あ、この感覚、なんか知ってる!」と思ったら、うん、わかった、夏休みが終わってはじめての登校日の、あの感じでした。

新学期、はじまる。

moiにとっては、そういうことなのかもしれません。期待と不安を胸に(?!)、みなさまのご来店を心よりお待ち申し上げております!


※写真は、「フィンランド語クラス」のSさんからいただいたトリノみやげのチョコレート。さまざまな種目がパッケージにプリントされているのです。ちなみにこれは「スケルトン」。渋いでしょ?