moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

たまたま目にはいる

2005-08-31 23:00:04 | コラム、というか
メリカ南部を襲った猛烈なハリケーン、「カトリーナ」。テレビでは、壊滅的な被害を受けた街の様子をニュースキャスターがリポートしていた。背後にみえるのはなにかのショールームだろうか。大きなガラス窓は完全に割れ、なかはあらゆるものが散乱しているようなありさまだ。

おっ?そのとき、目にはいったのはこんなもの。

イームズの「ラウンジ・チェアー」。映画監督ビリー・ワイルダーのためにデザインされた椅子だ。

うわぁ~、もったいない。

先日もちょっと触れた、1965年のある雑誌。あっ!料理のレシピを紹介するページで目にはいったのは、こんなもの。



目ざといひとはもうおわかり、ですよね?画像左手に写っている白いホーロー鍋。

エステリ・トムラが絵付けしたFINEL社のキャセロール。アンティ・ヌルメスニエミのポットなどもつくっていた、フィンランドのホーロー製品メーカーのものだ。「VEGETA」という名前のこのシリーズ、ちょうど60年代なかばから70年にかけて製造されていたものなので、まさに「現役バリバリで活躍していたころの写真」といったところ。

それにしても、この時代の日本の雑誌に姿をみることができるということは、つまり当時日本でも販売されていたということだろうか?どこか日本の台所の片隅で、いまも毎朝コトコトと「豆腐のみそしる」でもこしらえているのだとしたら、それこそたまたま目にしたい眺めではある。

Let's Go Vote!~選挙へ行こう!!

2005-08-30 23:59:31 | 業務連絡
ョン・カビラさんがナビゲーターをつとめるJ-WAVEのラジオ番組「Good Morning Tokyo」で現在展開中のキャンペーン《Let's Go Vote! ~選挙へ行こう!!》に、ここmoiも参加させていただいています。



連日テレビや新聞でも大きくとりあつかわれているとおり、きたる9/11(日)に「衆議院選挙」がおこなわれます。

とても乱暴な言い方をすれば、「政治」というのはぼくら国民が毎日を気持ちよく暮らせるよう、その下地をつくる仕事だと思うのです。とすると、その「仕事」がはたしてうまくいっているのかどうか、その答えを知っているのはぼくら「国民」にほかなりません。その「仕事」が首尾よく進んでいれば、きっとぼくら「国民」はいまの社会に満足しているハズだからです。もし満足していないのなら、「国民」はそのことを政治家に伝え、軌道修正してもらう必要もあるでしょう。「選挙」とは、ぼくら「国民」が「投票」をつうじて政治家の「仕事ぶり」を採点するためにあるのです。だから、いま自分が気持ちよく毎日を暮らせているかどうか、「選挙」に行くことで「政治を仕事とするひとびと」に伝えることが大切です。

たとえばぼくの場合、いちばん気にかかるのは「税金の使われ方」です。

北欧はよく、税金の高い国といわれます。じっさいフィンランドでは、買い物の際たいていのものに22%もの付加価値税がかかります。その一方で、教育費や医療費がタダであったり、出産にかかる費用も大部分がタダ、また「年金」も最低限の暮らしが保証される程度の金額は支給されます。つまりフィンランドでは、「税金」は目にみえるかたちでいずれ自分たちの暮らしに返ってくるものなのです。それに対して、日本の消費税はたったの5%にすぎません。けれども、いったいその税金がどのように使われているのか、ぼくらの生活にどのように返ってくるのか、そのゆくえはあいまいです。ふたつの国は人口もちがいますし、どちらが勝っているかと安易に決めつけることはできませんが、自分たちの「暮らし」という視点からみたとき、どちらが損でどちらが得なのかと、ついつい考えてしまいます。「税率」だけでなく、いったいその税金をどのような考えに立って、どのように使おうとしているのか、そうした点を「国民」に対してクリアに示してくれる政党なり候補者なりをぼくは選びたい、そう考えています。

話は戻りますが、今回このキャンペーン期間中、moiではJ-WAVE「Good Morning Tokyo」特製の缶バッジ(画像)をご来店いただいたみなさまに配布中です。店をはじめて以来すっかり選挙から足が遠のきがちだったぼくも、今回はかならず行きます。みなさんもぜひ、今回は「選挙」に行ってみませんか?

※なお、この缶バッジは数量に限りがあります。品切れの際にはどうかお許しを。

1965年のカンビール

2005-08-29 23:12:16 | コラム、というか
1965年に出版されたある雑誌をパラパラめくっていたら、こんな広告をみつけた。それは「カンビール」の広告だった。

誌面には、「プルトップ キリン缶ビール 新発売!」という大きな黒い文字がおどっている。さらに、こんなキャッチコピーも添えられているのだった。

「カン切りのいらないカンビール!」

ビックリマークつき、である。さらに説明文が、それがいかに革命的な事件であるかを主張する。

「つまみを指で押し上げて引っ張るだけで簡単にあけられます。」

つづいて、

「いっぺんに 大きなアナがあくので吹き出しません。」「ゴクゴクゴクッとひと息にーキリン缶ビールのあたらしい魅力です。」

そういえばたしかに、子供のころ「トマトジュース」の缶はそんなふうにカン切りであけて飲んでいたなァ。中身を出すための大きめの穴とちいさな空気穴、ふたつの穴をあけていた。けれども缶ビールまでもがそんな具合だったとは、まったく知らなかった。いったい、当時はみんなどのようにして缶ビールを飲んでいたのだろう。グラスに注いで、では「缶ビール」の意味がないだろう。かといって、カン切りであけた「穴」から飲んだのではいかにもまずそうだ。やはり、かんづめのようにカン切りでフタを全部あけて飲んでいたのだろうが、気をつけないと口を切る心配がある。なかには血まみれになったヤツもいたにちがいない。

けれどもそれにもまして「革命的」だったのは、「吹き出さない」という点にあることはこの広告を読めばあきらかである。缶ビールを飲もうとして、はからずも優勝した野球チームのビールかけ状態になってしまうひとびとが後をたたなかったのだろう。「おいおい、優勝祝賀会じゃないんだから」、飲むひとはそう考える。ビール会社のひとは「なんとかならんものだろうか」、そう考えた。こうしてこの画期的な「プルトップ缶ビール」が世の中に登場したのだとしたら、NHKはすみやかに「プロジェクトX」でとりあげてもらいたいものである。

まあ、いきさつはともかく、いまぼくらが無防備に缶ビールのフタをあけているその背後にはからずもビールかけ状態になってしまった無数の名もないひとびとの存在があったということは、せめて心に刻みつけておいてもバチは当たらないのではないだろうか。1965年の雑誌はぼくにそう語りかける。

ムーミンと秋田の山菜と

2005-08-28 23:35:43 | event
帳の余白にちょこっとメモっておいてほしい、たのしい「おしらせ」をふたつ。

ひとつめは、おなじみ「Kino Iglu(キノ・イグルー)」の上映会情報です。

「こどもえいがかん 01」と題して、9/10(土)に「IID 世田谷ものづくり学校」にてパペット・アニメーション版「ムーミン」の上映会があります。1970年代にポーランドで製作されたこの作品については、日本では2年前に劇場公開され、現在はDVD化されているため「観たことがある」、あるいはもしかしたら「毎日観ている」などというひともいらっしゃることでしょう。けれども、この上映会のようにおおきなスクリーンで、客席のこどもたちの素直なリアクションを耳にしながらあらためて観なおしてみるというのも、なかなかたのしい体験といえそうです。
毎回おたのしみのスウィーツは、嶋崎ナナさんといがらしろみさんのユニット《Biscuitier》がこの日のイベントのためにつくる特製のビスケット。イベントの詳細&予約はKino Igluのサイトをごらんください(フライヤーはmoiにも置いてあります)。

ふたつめは、すてきな貼り絵でおなじみのみやまつともみさんからのおしらせです。

青山の「BOOK246」内にあるTravel Galleryにて、8/31(水)までみやまつさんの原画展「秋田へ。山菜をさがしに」が開催中です。これは、現在発売中の雑誌「PAPER SKY no.14」特集:秋田のたからもの 自然と歩く旅のためにみやまつさんが制作した貼り絵の原画を展示するもので、なんと最終日の31日には15時~20時くらいまでみやまつさん本人による貼り絵の実演&販売もあるとのことなので、ぜひ興味のあるかたは足を運ばれてみてはいかがでしょう。どうしても時間がなくて・・・というひとは、ぜひ本屋さんで「PAPER SKY」を手に取ってみてください。「秋田の山菜図鑑」というページですが、とにかくいいですよ。おすすめです。

なお、みやまつさんのポストカード、北欧雑貨をモチーフにしたものを中心にmoiでも再入荷しました。よろしければぜひ!

iTMSで遊んでみた

2005-08-27 23:47:53 | コラム、というか
ソコン(mac)のハードがある日突然クラッシュしてしまい、おかげでなしくずし的にOS.10ユーザーの仲間入りを果たしたという話は、以前こちらでも書いたとおり。せっかく「OS.10ユーザー」になったのだからと、今月オープンしたばかりの「iTunes Music Store(iTMS)」で遊んでみた。

iTMSはアップルコンピュータが運営するミュージック・ダウンロード・ストアで、期待されていた日本国内でのサービスがようやくスタートし話題になっている。

ダウンロードできる曲はぜんぶで100万曲以上と鳴り物入りでのスタートだったのだが、いざフタをあけてみるとなぜか探している曲(アーティスト)にかぎってみつからない。打率にしたら2割くらいだろうか。かなり欲求不満気味。一曲150円という価格については、まあ妥当なところ?いままで一曲だけのためにアルバムを買ったりしたこともあったことを思えば、かえって「安い」といえるかもしれない。

ところでぼくは、このiTMsを利用してこんなふうに遊んでいる。
お気に入りの曲のタイトルを入力してストア内を検索すると、いろいろなアーティストによる「カヴァー・バージョン」をかんたんにみつけだすことができるのだ。ぜんぜん知らなかったり、あるいは意外なアーティストがカヴァーしていたりして、なかなかおもしろい。こういう場合、その一曲のためだけにアルバムを一枚買うというのはけっこう勇気がいるところだが、一曲単位で気楽に購入できるのはとても便利だ。これから先、もっともっとラインナップが充実してくることがあれば、このiTMSを利用する機会も人ももっとふえるにちがいない。

残る問題は、ぼくがいまだにiPodを持っていないという事実だろうか・・・。

台風一過

2005-08-26 11:32:49 | コラム、というか
風は深夜に千葉市に上陸し、そのまま東の海上へと抜けていったようです。早朝には雨もあがり、いまはすっかり台風一過の青空がひろがっています。もちろん「moi」も通常通り11時より営業中。しかし・・・、暑い。

moiでは去年の秋、台風で「プチ床下浸水」に見舞われているので今回もかなり戦々恐々としていたのですが、おかげさまで東京地方は暴風域にはいりながらも、運よく猛烈な雨雲の塊の直撃からは逃れることができたため無事でした。ホッ。

ところで今回風雨の襲来を予測するのに、以前お客さまから教えていただいた、この「防災情報提供センター・リアルタイムレーダー」がとても役立ちました。とくに台風の場合、デカい雲の塊がくるくる渦巻きながら移動しているので、バリバリ文系のぼくでもその動き方を見ればこれから一時間後、二時間後にどのあたりが豪雨に見舞われるかがある程度予測可能なんですよね。今回も日付が変わる前にチェックした時点で、これなら大丈夫そうだな、というのが予測できたおかげでゆっくり眠りにつくことができました。インターネットよ、ありがとう。

とはいえ、これで台風のシーズンが終わったわけではありません。用心には用心を。気がかりなのはわかるけれど、よいこのみなさんは台風のまっただなかに畑の様子を見にいったり、屋根に上がったりするのだけはやめましょう、ね。

判断に困ります。。。

2005-08-25 18:56:50 | Weblog
うも近ごろの台風は、来るのか来ないのか、来ないのか来るのか判断に困る「客商売泣かせ」の台風ですね。

外の様子を横目ににらみながら、まもなく19時。雨はやや強いものの早じまいするほどでもなく、それでも客足は完全に止まってしまっている。この「金縛り状態」のまま、とりあえずは通常の閉店時間まで粘ることになるのかな?

むしろこのぶんだと、あしたの開店時間を遅らせるはめになりそう・・・。とりあえず正午開店、状況次第ではもうすこし押すかもしれませんのでよろしくお願いします。もちろん、朝起きたら雲ひとつない青空~という場合は通常通り開けますけれど、さてどうなるでしょう。

「兄弟」の話

2005-08-24 23:01:08 | コラム、というか
moiの「兄弟」にかんするニュースををひとつ。

ここmoiを設計していただいた建築家、関本竜太さん(RIOTADESIGN.主宰)の作品が、現在発売中の『新建築住宅特集』2005年9月号で紹介されています。

さて、最近ではすっかり「売れっ子」の関本さん、手がけた作品の数もどんどんふえています。じっさいWEBサイトの「ポートフォリオ」をみても、わずか3年しかたっていないにもかかわらず「moi」の写真などすっかり下~の方へと「埋没」してしまっておりクライアント的にはあまりおもしろくなかったりもするワケですが(笑)、それでも(?!)今回『新建築』誌に初掲載されたことはとてもよろこばしく、「おめでとう」と心から祝福したい気持ちでいっぱいです。

以前、『新建築』に作品をとりあげられるということはすべての若手建築家にとっての「目標」という話をきいたことがあります。ここでとりあげられてはじめて一人の建築家として認められた、それはそんな意味合いをもつのだそうです。次の「目標」にむけての大きな励みとなりそうですね。

ところで今回とりあげられたのは、「Hakko」という名前の山中湖畔にたつウィークエンドハウス。写真をみるかぎり、成熟したクライアントさんの趣味を物語るかのようなシンプルで澱みのないデザインという印象をうけます。「都会での生活」や「仕事」を一切持ち込まない、フィンランド人にとっての「ケサモッキ(サマーハウス)」にちかい空間なのでしょうか。そして室内にいても限りなく外にいるかのような、光や風を感じることのできそうな「開放感」もいいですね。

クライアントの目からみて言えるのは、関本さんというのはクライアントのことばにとてもよく耳をかたむける建築家だということです。速球を投げれば速球が、変化球を投げれば見事なまでの変化球がかえってきます。クライアントは、そんな楽しい(ときにしんどい...笑)キャッチボールをつづけながら、やがてその「思い」がひとつの「空間」に結実してゆくことに気づくのです。あくまでもひとりの建築家の「作品」でありながら、そこにクライアントの「顔」がはっきりと刻み込まれていると感じるのは、おそらくそうした彼の設計プロセスあってのことでしょう。

ぜひ本屋さんでみかけたら手に取って、写真のむこうにみえるそんな「やりとり」の数々を想像してみてください。「建築家のしごと」が、すこしだけわかったような気分になれるかもしれません。

『キッチン・ストーリー』

2005-08-23 23:29:16 | シネマ
なさん、『キッチン・ストーリー』という映画ごらんになりましたか?たしか一年くらいまえに劇場公開された作品ですが、ようやく遅ればせながらDVDで観ることができました。

「台所における独居老人の行動を研究するため、スウェーデンからノルウェーの寒村へと派遣された調査員と老人との心の交流」というヘンテコなシチュエーションもさることながら、とにもかくにもジャッキー・チェンの映画と対極をなすような(?)《静の世界》こそがこの作品の特徴といえるかもしれません。主人公は老人と中年の調査員の男ふたり。しかも、ほとんどのシーンが「こじんまりとした台所」のなかで展開されるというミニマムな作りで、まるで溶けてゆく氷をじっと見ているかのような気分になってきます。

それでも、しずかに、ひたすら感情を押し殺したかのようにやりとりされるふたりの会話の中にも、スウェーデン人ゆえの、またノルウェー人ゆえの性癖や考え方のちがいが表現されていて、目をこらして、耳をすましてみるといろいろな興味深い《発見》があります。もし、以前この映画をみてピンとこなかったというひとがいたら、ぜひW・ブラインホルスト『われら北欧人』という本を読まれてからあらためてご覧になられることをおすすめします。

いいオトナが、

2005-08-22 23:16:51 | コラム、というか
橋区の実家から「荻窪」へと引っ越してきたとき、さいしょに感じたのはこういうことだった。

なんだ、このユルさはぁぁぁ

これをべつの表現に置き換えると、こうなる。

いいオトナが、平日の昼間っからアイスクリームをなめながらぶらぶらしていても「通報」されない街

それまで暮らしていた街は、都心から地下鉄で15分ほどのところに位置する大きな「団地」だった。住民のほとんどはサラリーマン家庭のうえ、当時はまだ老人も少なかったので平日の昼間にはその街から「男」の姿が消えた。そのため、平日の昼間にぶらぶらしている「いいオトナ」は、なんとなく居心地の悪い空気を感じてしまうようなところがあったし、あたらしい団地は清潔で必要十分な設備は整っていたけれど、残念ながらそんな「いいオトナ」を収容する「受け皿」までは用意されていなかった。

ところが、である。中央線沿線のこの街ときたら、平日の昼間っから正体不明の「いいオトナ」がたくさん、平然と街中を徘徊しているではないか!しかも、そんな「いいオトナ」たちをみかけても、だれもべつだん気に留めている様子もない。いいのか、そんなことで!いや、全然いいんじゃないっすかね~。というわけで、ぼくもどんどん加速度的にこの底なし沼的ユルさの中へとずぶずぶと引きずりこまれてゆくのだった。まずは商店街の、いまはなくなってしまった「ぼぼり」というアイスクリーム屋でペロペロとアイスをなめ、それから古本屋や中古レコード屋を何軒かハシゴする。それからふたたび、なにかあたらしい店でもできていないものかと散策をはじめるといった具合に。唯一の「欠点」は、そんな散歩の折に一服つけるような気のきいた喫茶店がないことだったのだが、いまはだいじょうぶ。moiがある。

ご多分にもれず、平日のmoiにはそんな「いいオトナ」たちがあつまってくる。店内に、他愛のない会話とユル~い空気が充満する。京都や大阪、神戸の古い喫茶店しかり、「オトナの街」にはそんな「いいオトナのための受け皿」がさりげなくあってほしいものである。そういえば、ヘルシンキでもよく「いいオトナ」がアイスクリームをペロペロなめている光景とでくわす。喫茶店も多い。いいオトナがユルユルと過ごせる街という意味では、案外「ヘルシンキ」も「荻窪」も似ているのかもしれない?!