曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

115系満喫の旅(TSUBAMEツアー) その19

2013年10月14日 | 電車のお話
【その19】
 
拝島から、今度は青梅線を進んでいく。この行程で踏破する「五日市線」、「八高南線」、「青梅線」の3線のなかで、最も思い出のある線だ。私は黙ってじっと車窓を眺める。
ずっと住んでいた福生駅を通り過ぎる。駅の周囲も駅そのものも、あまり変わらない。もっともさすがに当時と違って、駅が未舗装ではないが…。
 
八高線と同じで、青梅線も現在は定期の直通がない。立川や東京からの下り電車はほとん
どが青梅止まりとなり、それ以外も青梅より手前の駅が終着となる。御岳や、この路線の終点である奥多摩へは、直通で行けないのだ。
しかし八高線と違い、電化非電化で路線が分かれているわけではないので、こういう臨時便なら直通で向かえる。私たちを乗せた列車は青梅駅に30秒間停まると、奥多摩へと向かいだした。
青梅線はここから景色が一変する。大げさに言うと山岳列車の様相となり、山と川に挟まれて平地はなくなる。
しかし、青梅から一つ目の宮ノ平は駅前にマンションができていて驚かされた。ここまでも通勤圏になっていたのか。それでもその次の日向和田からは以前と同じような駅前風景が続く。何しろ片側にしか道路がなく、当然改札もそちら側のみ。道路を渡ればすぐ多摩川で、商業施設どころか宅地の造成もままならないところなのだ。開発のしようもないだろう。
 
御岳で10分停車。古里で11分30秒停車。やはり単線だと待ち合わせが多くなる。曇ってはいるが初夏のおだやかな気候なので登山者がたくさんいて、停まっている列車をじろじろと見ている。
 
多摩川をはさんで両側に通る道も、古里の手前で合流する。ここからは本当の一本道で、以前はガケ崩れも多くその先は天候が荒れると陸の孤島となった。その頃は青梅線も、ちょくちょく不通になっていた。
鳩ノ巣をすぎるとトンネルが続く。合間にちらりと見えるのは白丸ダムで、流れがないかのような緑の湖面が目を惹く。
奥多摩一つ手前の白丸は、おそらく東京都で最もみすぼらしい駅だろう。ガケの上にあり、せまい石段を降りないと道に辿り着かない。
 
そこからは一駅分ほとんどトンネル。そして13時37分、奥多摩に到着した。
 

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