曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

115系満喫の旅(TSUBAMEツアー) その24

2013年11月18日 | 電車のお話
【その24】
 
立川を出ると、いよいよ旅も終わりだなぁという気分になる。
国立で8分45秒の停車。その間にプレゼントの抽選が行われる。あちらこちらの車両で、当たった人の声が上がっていた。何度か参加させていただいているツアーだが、私は一度も当たったことがない。
 
武蔵野線内に入り、新小平、新秋津とすぎる。9時間ほど乗りっぱなしだった列車旅も、ついに終点。東所沢着、16時53分00秒。
 
改札を出て、安藤さんと青梅駅長さんからあいさつがあり、解散となった。
しかしなかなか人混みが散らない。旅が終わってしまい、名残惜しい雰囲気に包まれる。雨も降り始め、名残惜しさがより募る。
 
お土産を抱える人がほとんどいないのが、このツアーの特徴の一つだ。なにしろ行程のほとんどは列車内だからだ。
 
私は人混みを離れて改札をとおり、府中本町行きに乗りこんだ。そして次の新秋津で降りた。ここから西武池袋線の秋津に乗り換えるのだ。
すでにいい時間で呑み屋には灯が入り、立ち飲み屋で軽く一杯も悪くないかと思ったが、雨に押されるように素通りして西武線に乗りこんだのだった。
 
(115系満喫の旅 おわり)
 

115系満喫の旅(TSUBAMEツアー) その23

2013年11月16日 | 電車のお話
【その23】
 
青梅線は青梅から奥多摩の間に数ヶ所断崖がある。見下ろすとゾッとするほどの高さのものだ。その一つが川井駅の近くのもので、私はドアのところに行き、じっと下を眺めた。
 
この辺りでトイレが使えなくなる。最初に6号車で、次いで3号車。ときおりトイレットペーパーの補充を行っていたカシオペア運転士のYさんに故障の原因を聞くと、流す水がなくなってしまったということ。115系でもこの編成はトイレに特別な修繕をしていて、そのために一旦トラブルが起きるとすべてのトイレが使えなくなるということ。改善ではなく改悪がされていると、Yさんはいつものにこやかな表情で教えてくれた。ホントにいつも思うが、詳しい人というのはいるものだ。私はツアーに行くたびに主催の渡辺さんや、このYさんから知識をもらっている。
 
宮ノ平では元々1分30秒停車でトイレ休憩となっていたのだが、車内のトイレの故障で全員が降りることなり、大きく遅れる。
 
青梅駅をすぎるとき、同情している青梅駅長さんに感想を伺おうと思ったが、野暮なのでやめた。職場を通り過ぎたからといって、別段なんということもないだろう。
ここからは平凡な住宅地。雲ってもいて、なんということない車窓だが、思い出深い沿線なので、じっと眺めていた。
 
15時56分30秒、立川駅に到着。ここでは26分30秒停車する。せっかくだからホームの「奥多摩そば」で食べようということになり、すいている立ちそば屋に皆で入っていく。客のほとんどがTSUBAMEツアーの客。みんなで、どれにしようなどと言いながら、賑やかに注文していく。お店のおばちゃんは思わぬ盛況に喜んでいた。もうちょっとすれば場外馬券場からの客で多少混みあうだろうが、この時間の一儲けは気分がいいだろう。
この店のウリのおでんそばを食べる。他の人も次々頼み、おでんの具がなくなって一種類だけになってしまった。
醤油の濃いスープで、麺がちょっと固めの感じがした。もしかしたら客が殺到したからだろうか。
一人カレーを食べていたが、少数派というのは妙に美味しそうに感じるものだ。
どんどん客が入って来るので邪魔にならないよう急いで食べ、店を出る。渡辺さんと、ツアー客で一杯になっている店内を見て笑いあった。
 
 

115系満喫の旅(TSUBAMEツアー) その22

2013年11月03日 | 電車のお話
【その22】
 
奥多摩駅には、釣りのほかに鉄道ファンとしても訪れたことがあった。ホームの先も採石場に線路が延び、無蓋の貨物が停まっていたり通り過ぎたり。バックはぐるりと山で、これが東京都かと思うような駅なのだ。
さびれたローカル駅の終点といった趣も、今は駅舎がバンガロー風になって薄れてしまった。
 
30分近い停車時間があると、のんびりとできる。私は駅前を歩いて懐かしんだあと、改札横のトイレで用を足した。隣のスペースに並ぶタクシーに、以前とどう違うかなど聞けばルポルタージュタッチなのだが、そこまではしなかった。
出発まであと5分となったところで2階に上がり、食堂の売店で生ビールを購入。蒸し暑い日だったので、泡立つそれがとても美味そうだ。ついでに、なんとなく気を惹かれてわさびアイスも追加する。勝手にソフトクリームを想像しての購入だったが、白い容器に入ったもので、冷凍庫に入っているダンボールの中からひとつ取り出し、手渡しされた。こちらの思い込みなので仕方がないが、味気なく感じた。
 
冷たいもの2つを慎重に持ちながら、改札を通ってホームへの階段を上がる。そして指定の車両に乗り込む。この奥多摩駅はホームと電車の間が広いので、注意して乗る。
座って、アイスのふたを取って食べていると、列車が動き出した。武蔵五日市や高麗川ではまだ先があるのでさびしさは感じなかったが、奥多摩をあとにするときは、いよいよ帰っていくのかとさびしさを感じる。
 
小さな白丸駅を通過し、緑色の湖面の白丸ダムを見ると鳩ノ巣駅をすぎる。次の古里では15分間の時間調整で停車。ホームの客たちがこちらを見ている。
不思議なことに、青梅線内ではほとんど撮影者がいない。八高線内よりバックが映えると思うのだが、ホームでも駅間でもまったく見かけなかった。