曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

さすらいのミュージシャン、行志堂

2010年02月27日 | 呑む・飲む・読む
 
時代が進んだなぁ、と感じることの一つに、友人たちのライヴがあります。
 
わたしは音楽好きなので、ミュージシャンの友人のライヴを、よく聴きにいきます。
その友人たち、いずれも高い演奏力を持っているのです。
 
 
以前は、そうではなかった気がします。
 
アマチュアのミュージシャンを聴きに行ったとき、驚くような演奏能力の人は少なかった覚えがあります。もっともわたしも若く、耳が今よりも肥えてなかったということもあるでしょうが……。
それでもやっぱり、全体的な演奏力は上がっていると思います。
今は演奏場所も多いし、楽器やコピーする音源も安く、簡単に手に入ります。
 
 
みんながうまくなると、聴く方としてはうまさ以上のものを求めることになります。
 
人それぞれあるでしょうが、わたしの場合は音楽の中に郷愁や哀愁を求めます。懐かしさやうら寂しさを感じさせてくれる音楽を、求めるのです。
 
わたし自身が、元々そんな感情が好きなところにもってきて、そういったものを感じる年齢になったのでしょう。
それに、ライヴを観るのは小さなライヴハウスということがほとんどですし、酒も入ります。そんな環境の中、胸の内にじわっと沁み込むのは、ノスタルジックな演奏なのです。
 
 
 
わたしの友人のミュージシャンに、行志堂という人がいます。
 
この人の演奏、ノスタルジックな感情を、体の中にポッと灯してくれます。
 
 
人にノスタルジックな気持ちを抱かせるというのは、どうすればできるのでしょう。
 
ギター一本で、低いしわがれ声で、しんみり切々と、それっぽい歌詞の曲を歌う。
技術的には、そんなところだと思います。大昔の黒人ブルースマンのような感じで。
しかしそういったノスタルジックのアイテムを揃えたら、人々に伝わるかというと、そういうわけにもいきません。
 
なにかそのミュージシャンの持っているプラスアルファが必要なのです。
 
 
行志堂さんの演奏は、しわがれ声でもないし、しんみり歌い続けるわけでもない。
さらっと歌うときもあるし、ノスタルジックとはかけ離れた陽気な内容の曲もあります。即興で作ったような、冗談めいた曲もあります。
 
しかしなぜか、懐かしい。
行志堂さんの持っているプラスアルファの部分が、わたしに合う、ということなのでしょうか。
 
まぁこの辺、理由がはっきりつかめないところが、ミュージックの魅力でもあるかと思うのですが……。
 
 
わたしは時間が取れると、うまい酒をしんみり呑むために、都内のいろいろな場所で活動している彼を探し出すのです。そして演奏を堪能するのです。
 
http://www.youtube.com/watch?v=7-emOeMLhac
 
「手のひらの中」 行志堂
 

FMたちかわ さん (3)出演

2010年02月16日 | 電車のお話
 
パーソナリティさんから声が掛かり、中に入ります。
 
放送中の一室、あれはなんて言えばいいのでしょう。スタジオ? う~ん、ちょっと違うような。オンエア・ルーム? いや、そんなヘンテコな名前じゃないですよね。
なにしろ初めてのことなので、こういったことも分からないのです。
 
 
まぁとにかくその室内に入り、あらためてパーソナリティの三谷さん、進行とミキシングを担当している西川さんとあいさつを交わします。
 
 
三谷さんの前にわたしが座り、横に機材があってその向こうが西川さん。わりと三者の距離が近いです。三人麻雀と同じくらいの距離、と言ったらいいでしょうか。
 
 
「本番入ります」、と西川さんの合図でヘッドフォンをします。そして、「キュー」。…いえいえ、「キュー」なんて言いませんでしたよ。
 
わたしは友人と話すときはポンポンと軽口を飛ばすのですが、この日は落ち着いた口調でと決めていました。生放送なので、言葉が滑らないように、です。
 
三谷さんがうまく導いてくれるので、考えてきたことを順調に話していけます。本の紹介もしっかりしていただき、うれしい限りです。
 
 
10分ほどで曲へ。ヘッドフォンをはずし、三谷さんと西川さんとしばし雑談。
 
しかし雑談しながらも西川さんはしっかりと時間をチェック。まさに時間のプロです。
すばらしいですね。わたしなんぞ学生時代、テレビで映画を録画してるとき、CMをとばそうとストップボタンを押してるのを忘れて、何度録画し損なったことか。
 
 
曲が終わって、ヘッドフォンをして再びマイクへ。
 
後半は鉄道旅行の話や中央線の話。あっという間に出演時間がすぎてしまいました。
 
 
記念に一枚写真を撮っていただき、その部屋をあとにします。
 
西川さんが来たのでお礼を言いました。機械に強いうえにかっこいい。しかもパーソナリティまでこなします。あとでツイッターを拝見したら、バンドマンでもあるとのこと。
 
 
 
ラジオ出演、何から何まで貴重な体験でした。FMたちかわ さん、ありがとうございました!
 
 


FMたちかわ さん (2)控えの時間

2010年02月15日 | 電車のお話
 
エレベーターで9階に上がり、私は FMたちかわ に入りました。
 
 
事務の方や構成の方などと挨拶を交わして、控えのテーブルで出番まで待ちます。
外が寒かったので、出していただいたお茶が温かく、実に美味しく感じます。
 
 
部屋をぐるっと見回します。
 
壁には、今まで出演した人のサイン色紙が貼ってあったり、イベントなどのポスターが貼ってあったり……。
 
オンエア中の番組が流れていて、置いてある小さなモニターには中の様子が映し出されています。
 
 
ラジオ局に来たのは初めてだったのですが、それら控え室の諸々は、頭の中で描いていた部屋そのものでした。
元々のイメージもあったのですが、昨年やっていたNHK朝の連ドラ、「つばさ」のコミュニティ放送局の場面が頭の中に残っていたのだと思います。
 
 
モニターで観るパーソナリティの三谷さん、よどみなく落ち着いていて、さすがプロだなぁと唸らされました。3時間の生放送、交通情報もニュースも一人でやっているのです。
 
曲の間の僅かな時間にこちらに挨拶に来たり、スタッフと打ち合わせをしたりと、本当に秒刻みの大変な仕事です。咳払いもできないし、言葉に詰まることもできない。
風邪をひいたらどうするのでしょう……。
 
流れを止めないように、邪魔をしないようにと、自分に言い聞かせます。
 
 
そして時間が来て、呼ばれて中に入って行きます。
 
 

FMたちかわ さん (1)立川の喫茶店

2010年02月13日 | 電車のお話
 
2月11日の建国記念の日はラジオ出演でした。
 
 
 
午後、FMたちかわ へ向かいます。
 
冷たい雨の降る中、JR中央線へ。家をちょっと早めに出たのは、前日から続く雨で中央線が遅れることを心配してのことです。
しかし中央線、悪天候もなんのそので、定刻運転をしておりました。
 
 
立川に着き、北口をまっすぐ進みます。
 
FROM中武の大きな信号は本日も渋滞です。昔からのことです。立川という大きな駅の大きな信号ということで、手の打ちようがないのですね。
 
FROM中武は、以前は中武デパートという名前でした。
たしか2階の奥だったと思うのですが、クローバーという小さな喫茶店があり、そこのモカエクレアが好物でした。
 
その頃駅前にあった高島屋にもお持ち帰りで売っていたのですが、買って家で食べるより喫茶店で食べた方が美味しく感じました。
 
持って帰る方はドライアイスでなめらかさが失われるという実質的な理由もあったのですが、それよりも、出先で食べるという一種特別な雰囲気が、より美味しく感じさせてくれたのだと思います。
 
 
信号を渡って菊屋ビルに着きます。ここの9階にFMたちかわ があるのです。
 
 
菊屋ビルは子供のときから大学にかけて何度も来た記憶があり、懐かしいです。以前ここには交通公社が入ってましたし、パスポートの申請場所にもなっていました。
鉄道の指定席を取ったりパスポート申請したり……。そして用件が済むと、中2階のルノアールで甘い物を食べたものでした。
 
2階のフロアの窓側の、ソファの並ぶ喫茶店。ガラスだけで簡単に仕切られている広い店内の風景は子供心にオシャレに映り、ケーキやパフェがよりおいしく感じられました。
そのルノアール、来てみると看板が裏返しになっておりました。時が流れて閉店してしまったのですね。
 
 
 
立川にはもう一つ、記憶に残る喫茶店がありました。
 
南口がまだ開発されていなくて、ごちゃごちゃしたバラック様の駅前だった頃、その中に木造の喫茶店がありました。そこにはたくさんの種類のパフェがありました。
 
パフェはいくぶん大きく、食べるのに苦労しました。大きさよりも、器の中にアイスが凝縮されていることがきつかったです。
パフェは好きだったのですが、そこでは一回も完食した記憶がないのです。
 
 
 
ルノアールの逆さ看板でいろいろな喫茶店を思い出しながら、エレベーターに乗って9階のボタンを押したのでした。
 
 


雪景色の中央線(3)

2010年02月06日 | 電車のお話
 
中央線は中野を出ると、ブルーのラインが入ったコンクリートの低い壁を見ます。
そこに、東西線がもぐり込んでゆくのです。
 
中野からは、車窓に急な坂道をたくさん見ます。
きっと早朝は、雪と氷で大変だったことでしょう。
 
 
新宿駅。
隣にあずさが停まっています。これから、都内とは比べものにならないくらい雪深いところに向かってゆくのです。
 
新宿を出ると住宅はほとんどなく、車窓はビルや高速道路など、雪を感じさせない眺めとなります。
新宿から乗ってきた人がけっこういて、車内はさっきより混んでいます。すいていればお堀の見える進行方向左側に移りたかったのですが、そうできず、つまらない風景の側に留まっています。
 
四ツ谷、御茶ノ水と、雪景色の趣は感じられません。
 
御茶ノ水を出て総武線と離れ、雪の積もる万世橋駅跡を通ります。
昔の中央線の起点駅は、雪をかぶって朽ち果てた姿を隠していました。
 
 
そして山手線、京浜東北線が寄り添ってきて、神田駅に滑り込みます。
人が降りて、車内はガラガラです。
 
 
神田を出発した電車は、スピードを上げません。
 
そして最後、東京駅の手前で停まってしまいます。前の電車がまだ東京駅に停まっているとのこと。
停まって分かったのですが、かなり斜めになっています。東京駅手前で上っているのですね。
 
しばらく停まっていた電車は、静かに動き出します。
建物を取り壊したガランとした敷地、改築中のビル、Maruzen、永代通り……。それらをゆっくり通りすぎながら、中央線は東京駅に無事、着きました。
 
 
いつもとちょっと違う、白っぽい景色でした。
空気が雪の上を通るからか、寒い一日でしたが、中央線の車窓は楽しいものでした。