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ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

お蕎麦屋さんの椅子の制作 その3

2015年05月23日 | 木工
近所の雑貨屋で子供の使うような虫取り網を買いました。






これで蝶を獲ろうというのではありません。

工房に入ってくる危険な虫を捕まえて外に出すためです。




これはスズメバチ。

山にお帰り頂きました。

くわばらくわばら。







通勤路の道端にトゲトゲの植物が生えているのを見つけました。








葉っぱはこんな感じで、たぶん今年になってにょきにょき伸びたものです。




調べてみると、「ハリギリ」という木です。
別名「アクダラ」とか「センノキ」。


おお、それはまさしく、今作っているお蕎麦屋さんの家具の材の木ではないか!



ちょっとしたシンクロニシティーを感じました。


材として知っているセンノキは直径が70cmくらいあるような大木になる木です。
あたりまえだけど、木の命もこんな幼木から始まるのですね。



ちなみに山菜として有名なタラノキに似ているけど食べられないのでアクダラという別名らしい。
タラノキも同じくトゲトゲです。
葉が桐に似ててトゲがあるからハリギリ。
樹齢を重ねて大きくなるとこの樹皮のトゲはなくなります。








木の命のはなしで思い出しましたが、5月の初旬に赤城山の南面に生える栗の古木の撮影に行ってきました。
7月の催事のDM用写真を撮るためです。





「赤城栗太郎」といわれる木で、樹齢数百年という看板が立っています。


この木は洞(うろ)もでき、枯れかけているように見えました。


立木を見ると木工屋の悪い癖で、つい用材として値踏みをしてしまします。
この木は残念ながら、価値はゼロです。


私のような木工屋はたぶん誰でも木を消費することに対して多少のうしろめたさを感じているのではないでしょうか。
自然破壊に加担しているのではないかという危惧です。

でも木材で物を作るということは古代からの人間の基本的な活動です。


このような寿命をまっとうしようとしている木を見ると思います。
木もいつか枯れてしまうのだから、せっかくならば素材として使えるうちに人が使わせてもらってもいいんじゃないかなと。

人間のわがままでしょうか。









さて、椅子です。センノキの椅子。




ほぼ一週間かけて、40脚分の椅子の部材の形に加工は終わりました。

これからホゾやホゾ穴などの仕口を加工します。

その数を考えるとややうんざり。








部材を並べて木目合わせをします。
なるべく木目を揃えてきれいな物を作りたいのです。





揃えた部材には番号を振っておきます。





墨(すみ)をします。
加工のためのしるしです。

すべての部品に墨をするわけではなく、機械をセットすれば同じに加工できる物は一つにだけ墨をします。






この窓の開いたT定規のようなものでほぞ穴の墨をします。この墨はすべての部品に必要です。
この道具は前回同じ椅子を作った時にこさえたものがあったので、また使えました。




前途多難ですが、ブログを書く余裕はまだあります。