ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

とんかつ屋の椅子の制作 その1

2015年08月27日 | 木工
トタンのナマコ板を買って、製材した材木に屋根をかけました。




意外にも丸一日かかってしまった。




屋根が風で飛ばされないよう、しっかり縛っておきます。

屋根に勾配を付けて(傾斜をつけて)雨がすぐに流れるようにするのが大事なコツです。
上に水が溜まると、たいがい雨漏りして材が濡れてしまいます。








とんかつ屋さんで使う椅子を作っています。

依頼からずいぶんとお待たせしてしまいました。





図面です。
欅を使い、漆を塗ります。


ふんだんに木を使った内装のお店なので、それに合わせた椅子にします。
普通のお宅ではとても使わないようなずっしりと重い椅子になります。






木取って厚さや大きさをそろえた部材です。



今回の椅子は背もたれのてっぺんに「擬宝珠(ぎぼし)」が付きます。
これは私がご提案したデザインです。







機械でおおよその形を切り出し、あとは手作業での成形となります。










作業台の万力にしっかりとくわえ、鑿を玄能で叩きながら荒どりしていきます。







荒どりはここまで。

ちょっと円空になったような気分です。







万力を自在に使って楽な作業姿勢を取りながら仕上げていきます。






なるべく丸くなるように手で撫でて確認しながら小刀で彫っていきます。






まあこんな感じ。
この後ほんの軽く磨くだけで、この刃物のあとは残します。






5脚分仕上げました。











これは背もたれになる部材です。
背中にフィットするように内アールに加工します。

帯鋸でアールを切っていきます。
厚い部材なのでゆっくりと挽きます。






切れました。
余計な厚さの板を使ってしまいました。






内アールを仕上げるのに、アールに合わせたあて木を作り、ペーパーを巻いて擦ります。






やはり作業台にしっかり固定してごしごしと。

刃物の跡が消えて滑らかな表面ができるまで地道に磨きます。






この部材も5脚分。




今回の椅子は漆を塗るので特に丁寧に仕上げます。


漆は残酷な仕上げで、木の表面の仕上がりが悪いととても目立つのです。













材木の桟干し

2015年08月20日 | 木工
丸太を製材した板をやっと積みました。





全部ではないですが、積む前の製材した板です。

クルミとクリばかり。丸太にして30本ほどありました。


丸太のままでは木は乾きません。
製材して桟を入れて積み上げて数年かけて乾かしてからやっと使える材になります。




工房の庭にはすでに何年も干してある材が積み上げてあります。
作るものに応じてそれらを使いますので、ところどころ歯抜けになっています。

その空いたところに新しく来た材を積んでいきます。

せっかくフォークリフトも買ったことですし、
すべての材の山を端からどけて整理して積んでいければ理想的なのですが、
なにしろ私の工房の庭は土の地面なのです。草もぼうぼうです。
フォークリフトは固い地面では力を発揮しますが、ぬかるんだところではすぐにスタックしてしまします。
自自由自在に材木を動かすようなことはできません。
そおっと運んで横から差し入れるように積んでいくしかありません。








こんな草の生えたところを入っていきます。






板をすくって、





場所の空いているところまで運びます。





持ち上げるのはフォークリフトに任せます。

爪から降ろしながら積んでいきます。





写真の材は3mの長さ、幅は50cm、厚みは45mm。
水分を含んだ生の板はずっしりと重いです。
桟を入れながら積んでいきます。





重い板を無理に持ち上げるのは疲れます。

バールをこじ入れて隙間を作り、クサビを入れて多めに持ち上げ、桟を入れます。





積んだ材が高くなってきました。

材の山に登ってフォークリフトの爪から材を移します。





高くなるとちょっと怖いです。
製材したばかりの板はぬるぬるしているので滑らないように気をつけます。






2mくらいは積んだでしょうか。





よい板をまとめておきました。

長さが2,5m、幅が50cmほどの板です。





製材した年月を書いておきます。
書いておかないと失念します。

あとは屋根をかけなくてはなりません。





製材してから二十日ほどたち、やっと材を干し終えました。

仕事の納期もあり、雨が降って中断もあり、なかなか思ったようにすぐにはできませんでした。
蜂に刺され、日に焼けた。
丸一日作業した次の日は朝がつらかった。


製材したばかりの板はしっとりと濡れていて、ほんのりと甘いよい匂いがします。
無理して頑張って買い、製材に立ち会った材はかわいいもんです。

ざっと100枚くらいかと思っていましたが、ちゃんと数えてみたら320枚以上ありました。
適当なわたし。

何かを作ることになって、今回積んだ材の顔をまた見るのは何年か先になります。
うまく乾いてくれることを願うばかりです。




おまけ。

フォークリフトの活躍ぶり。





小屋を解体する。

おととしの大雪で壊れた小屋をやっと解体しました。






木の枝を切る。

爪にパレットをつけて足場にし、邪魔な枝を鋸で切り落としました。


フォークリフト購入

2015年08月10日 | 木工
しばらく椅子ばかり作っていました。








どちらも超定番の椅子で、工程も何度もブログに載せてますので、今回も特に触れませんでした。





製材した板はその間放置したまま。




毎日100枚以上はあろうかというくそ重い生の板を眺めながら、
これを積み上げなければならないプレッシャーを感じて仕事に通っていました。



そろそろやらねば!

でも重いから大変。暑いし。





しかし、昨年までの私と、今年も私は違います。





そう、思い切ってフォークリフトを買いました!

もういい歳だし、体を労わるために必要かと。


丸太を買った材木屋さんに探してもらい、ついにやってきました。






こんな重いものもクレーン車で運べるのですね。





まるで、我が工房にガンダムが助けに来てくれたような気分ですよ。






名札の通り、名前は「こまっちゃん」になりました。





相当古い機体ではあるようです。
エンジンには「DATSUN」の文字が、、、

しかもキャブレターとは!
いまどき車の電子制御デバイスなど一切なさそうです。
ガソリン車です。




さて、こうなれば材積みをしないわけにはいきません。

死にそうな猛暑も去ったようですし。


頑張ります。

七味唐辛子入れの制作

2015年08月01日 | 木工
工房の壁の隙間ににスズメバチが巣を作ってしまいました。





小さい穴から入り込んでいます。
建物の中にいてもぶんぶんと羽音が聞こえてきます。


無用な殺生はしたくないのですが、どうも駆除した方がよさそうです、、、







ペーパーコードの座面張りに使うL字の釘が国内で買えない状態が続いているので、
ネットで探して海外から買うことにしました。





家具のリペア用の部品を扱うドイツの店のようです。



1000gのパッケージで送料など込みで8000円ほどで買えました。
国内では30gで800円ほどなので、三分の一ほどの値段で買えてしまったことになります。
もっと早く買っときゃよかった。





物はちょっと落ちるかもしれませんけど。
さびてたりしますがご愛嬌。





箱の中にハリボウのグミがオマケに入ってました。
ドイツ人がちょっと好きになりました。








飲食店で使う七味唐辛子入れを作りました。




角材の上から直径19mmの穴を開け、七味の出る穴は6mmの穴を開けてあります。
それをまず写真のようにヒョットコの口ように切ります。
これを挽ききらず、わずかに残しておきます。
次の加工を安定させるためです。





帯鋸の定盤を傾斜させ、末広がりになるように外周を切ります。
帯鋸には3mm幅の刃を付けます。
この細い刃を使うことによってかなり小さいアールの曲線も挽くことができます。





こんな感じに切れます。





すべて切り終えました。

今回、この仕事のために新しい刃を用意しました。
刃が切れたので作業は早く、きれいに仕上がりました。







漆を塗ります。

しかし漆を塗るのは外だけにします。

前に作った時、中にも漆をかけたのですが、匂いが唐辛子に移ってしまうというご指摘を受けました。

漆は塗ったとしばらく匂いがします。
お茶やコーヒーなどを入れると匂って不味くなるので、私はそういう器は作らないことにしています。

今回は、中の塗装はもっとも匂いがないと思われる水性のウレタンを塗りました。
そのウレタンは漆を仕上げてから改めて塗ります。

仕上げに炒った米粒を入れて匂い取りにして出荷します。






でき上がり。

コルクの栓は買ったものですが、口の栓は私が作りました。

栓は使っているうちになくなりそうなので、いくつか余分に作って差し上げます。



こちらのお店で使われます。
家具もいくつかお納めしています。
お店の写真に私の作った椅子が写っていますね。
うれしい。


かつ吉