ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

キャビネットの制作 2

2012年08月27日 | 木工



入道雲の上に絹層雲。夏と秋のはざまの不思議な景色。







思いつきで描いたデザインを実現するために、刃物を一つ買い足しました。
ルーターという電動工具の刃物です。
購入先はオフ コーポレイション。
こんな大きなルータービットは初めてです。ちょっと怖い。





機械に付けて加工しました。
機械についているベース盤だと、刃物が大きすぎて使えないので、自作のベニヤのベース盤に替える必要があります。
加工も一度には切削できないので、10回くらいに段階を踏んで加工しました。





天板が加工できたので、組み立て。





こんな収まりです。




本体ができて、引き出し、扉ができたのではめてみました。
これではのっぺらぼうですね。





今回の扉の蝶番は木で作ります。これは蝶番の図面。

木の蝶番は時々作ります。
白状すれば、最初に作ったきっかけは、どのような蝶番を使うかよく考えないで扉のある家具を作ってしまい、
市販の蝶番がどうしても合わず、自分で作らざるを得なくなったことです。
そしてまたあるとき、あるお客様が金属の蝶番を使った私の家具を見て、
「その蝶番が合ってない」と指摘されたこと。
その時はちょっとムッとしたのですが、あとあとなるほどと思い、一つの作風となりました。
もちろん、いつも必ず木の蝶番を使うわけではありません。
強度的には金属のものには劣るし、ごつくなるので見た目がうるさくなります。





これが部品。小さくて加工しにくいです。




蝶番を付けて扉を収めました。ちゃんと寸法を出してちゃんと加工すれば、それほど難しい仕事ではありません。




仕事から帰る頃、河原では小学生の林間学校のキャンプファイヤーをやっていました。
震災のため、こちらに林間学校が移ってきたという話です。

炎天下出張作業

2012年08月21日 | 木工
子供が川で遊んでいるのを、ついていって写真を撮りました。
後ろの岩から飛び降りて遊んでいました。






出張作業や納品や打ち合わせや消防団の競技会やらで、五日間も工房で仕事をしませんでした。
出張作業とは村内のダムサイドに7年前に作ったレリーフの補修、塗り直しです。




このダムは揚水式発電所の下ダムです。上ダムは長野県側にあります。
今日も熊谷あたりでは35度くらいになるので、水を落として発電しているのでしょう。
この辺りは綺麗な谷だったので、正直残念でした。標高は800mくらい。
発電所の中も見学できます。
この奥に日航機の落ちた御巣鷹の尾根があります。




ダムに行く途中にある素掘りのトンネルです。
すっかり草木に覆われています。
昔まだトロッコで木を出していたころのものと聞いています。




これがレリーフ。4m×5mほど。デザインは土屋万里子さん。
栗、桐、欅、桑、ケンポナシ、ホウなどの材を使っています。
木工仲間6人ほどで制作しました。
7年たってだいぶ黒ずんできたので、磨いて塗りなおしました。
四日間の作業でしたが、私は用があって、出たのは二日ほどです。

よく晴れて暑かった!日に焼けた。



午後は久しぶりに工房で仕事をしました。何をやりかけてたんだか、しばらく考えてしまった。




これは家具の裏板になる材です。薄い板にするために、板を割きます。
厚さが3cmほどの板を三枚に割いて、7mmほどの板にしました。




これは側の板と足が合体した部材です。
形から、私は「凧足構造」と呼んでいます。
箱物家具でありながら、足を生やして立体的な造形を成立させるために自分で考えたもので、
なかなかの独創だと思っています。
どう独創的なのかは木の動きの話になってややこしくなりますので、また機会をみてお話したいと思います。





夕方、外が真っ赤になったので工房から出てみたら、茜雲が。



立ち枯れのアカシアを入れたらおどろおどろしい写真になりました。
この木も切らないと危ないです。



キャビネットの制作 1

2012年08月13日 | 木工
世間はお盆休みですね。



関東一水が綺麗という我が村には、今頃だけは多くのキャンプや川遊びも人が訪れます。
お盆休みなど車が多いときにはあえて出かけず仕事をしてます。
環境だけは毎日夏休み。
川に沿った通勤路にキャンプ客の焼肉の匂いが漂います。

ツクツクホウシが鳴いて、赤トンボが飛んで、だんだん秋の気配がするようになりました。







こんなキャビネットを作ります。注文は一台ですが、2台作って在庫にしましょう。





図面とは別に、実寸の図も描きます。型を起こすため。現物をあてて確認もできます。





この板の山でおおよそキャビネット2台分です。材はクルミ。





使う板はだいたい幅が40cm程ですが、そんな広い板はあまりありませんので、板を剥いで作ります。
材を選んで切って貼って板を作るまでがけっこうな手間です。




上記のものと並行して、その先の仕事の材も確保しておきます。





必要な材はテーブルの甲版と洗面台。この外に干している材の中に使えるものがありそうなので、この山を崩します。
草がぼうぼうですね。草を刈ると虫が減るので、あまり刈りたくない。(いいわけ)





よさそうな板がありました。長さ2.1m、幅は60~70cm、厚さは7cm。
重い。仕事しながら筋トレ。
自転車は板の大きさが分かるように置いてみました。





使うところを切って、また並べてみました。
左の二枚がテーブル、右が洗面台になります。
よかったいいのが取れて。出して検分するまでは心配です。





空を見上げたら入道雲。夕立がきて涼しくなるといいんだけれど。