ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

二段ベッドの制作 その2

2013年01月26日 | 木工
やっと普通に自転車に乗れるくらいに除雪が進み、雪も融けてきました。

と、思ったら、今夜はちょっと吹雪いてる。積もらないといいけど。






誰かが河原で遊んだ跡。




春をさがそう!と思って仕事の合間にカメラを持って歩いた。




ソメイヨシノ。
まだまだ蕾はかたい。



紅梅の老木。
こちらもまだまだ。



モクレン。
芽は大きいけど、、、
後ろの杉が色づいているのは春らしいかな。




さて二段ベッド。





これが図面。ごちゃごちゃといろんな寸法を書きこんでます。





これは詳細の実寸図。仕口のおさまり、金具の付き方、その他、
実寸の図を描いて検討しないとどこかで破綻することがあるので、疑問が出たら描く。

大きなものなので、あとから付け足しや穴あけなどの加工がしにくいです。
なるべく部材のうちにできる加工は済ませます。





これは四角い穴を開ける機械。
回転運動で四角い穴を掘る仕組みを考えた人、偉い。
主に建具屋さんがよく使う機械です。





これはオスのほぞを加工しているところ。
丸鋸が回っていておっかない。





部材の刻みはだいたい終わった。
加工が済んだ部品を並べると、なんだか誇らしい気分。
組み立てる前の部品ってなんだかそれなりに美しい。





枠が足に付く仕口の写真です。
幅広のホゾなので、強度を高めるため、特殊なかたちになっています。





ベッドの長さが2m以上あるので、普段のクランプでは締められません。
水道管を利用したクランプなので、ジョイント金具を使って連結して、
長くして組み立てに使います。





組み立てが始まりました。
作業台が2.5mあるので、作っているものの長さがわかります。

ホゾは少しきつく作ってありますが、きつすぎても組めません。
一つ組めると加工がうまくできたことがわかるのでひと安心です。
もちろん緩ければ強度が出ないのでダメですし。
ぎりぎり締めて付くくらいがよろしい。

圧着したまま一晩おきます。仕事は今日はおしまい。






まだ雪の残る工房の庭におぼろ月がかかる。
昨日の写真ですけど。






二段ベッドの制作 その1

2013年01月20日 | 木工
雪が降って、三日目に自転車通勤を再開。
通勤経路の半分はまだ雪道です。




圧雪はまだましで、ざらざらの雪が積もったままの状態の路面が大変に自転車には乗りにくい。
というか、タイヤを取られてしまい、進まないので、押して歩くしかない。
前カゴには物は入れず、前ブレーキ厳禁、車体の傾け不可、路面凝視。
すれ違うスクーターの郵便屋さんと妙な共感を感じて微笑み合ってしまう。




工房の庭も雪かきが手つかずで、まだこのありさま。
坂のとこだけはやった。
子供が手伝いに来てくれて助かった。

また雪の予報が出ている。
困った。
月末には納品があるので、車が入るようにしないといけないんだけど。




風もないのにへんてこなつららができた。

毎晩氷点下10度くらいにはなっているかも。



二段ベッドを作っています。

ベッドはいわば枠で、主役はマットレスです。
制作する上でのベッドの特徴は、まず大きいこと。
組んでしまっては搬入も不可能なので、お部屋で組み立てるのが普通です。

今回のベッドのマットレスは195cm×80cmなので、
ホゾの長さも入れると長手の部材は約205cm、木取り材だと210cmほどは必要になります。
普通の材は210cm(7尺)ほどで、これでは足りません。
その上の規格材は3m(10尺)になり、値段もぐんと上がります。



主な材を積み上げたところです。樹種はクルミ。クルミが好き。
写真に写っている長い材は2.2mあります。
これで二段ベッド二台分です。

扱う材が長いと、機械を通すのも面倒です。
機械の前後にその材の長さのスペースが必要になります。
一応そのようなことを考えて機械をレイアウトしてあるのですが、
つい物を置いてしまうので、片づけてから加工に入ります。






足になる材は太い物が必要です。
今回は約3.7m、幅50cm、厚さ7cmほどの板を使いました。重いです。
重いけれど一人で動かします。
大事にとっておいた、虎の子の材です。
節や割れ、目の通りなど、表裏をよく検分して墨を掛けます。
この一枚の板で16本の足が取れるといいんですが、、、






思惑通り、17本取れました!
一本おまけだ。
長さ85cm、62mm角。
よかった。








こちらは先に出来上がった、同じお客様のご注文の家具一式。
現場で組み付けないと、どんなもんかわかりませんね。







2013年01月14日 | 日記
雪が降りましたね。



夜半から降り出した雪が、朝には10cmほど積もっていました。
本当は前橋に行く用があったのだけれど、あきらめて仕事をすることにしました。
車は四駆にスタッドレスタイヤをはいているものの、なるべくリスクは冒したくない。




自転車もあきらめ、登山靴、合羽、リュック、弁当もちで徒歩で工房に。
合羽もリュックサックも30年も使っている。
だいぶぼろくなってしまったけれど。










途中、雪景色を撮りながら30分ほど歩く。





30cmほど積もって夕方6時ごろにやみました。

雪がこんなに積もるのはひさしぶり。



仕事はひたすら箱物家具の板作り。

写真は、、、ないな。



仕事始め

2013年01月08日 | 木工
寒い日が続きます。

川が凍っています。



全面凍結というわけではありません。
流れが浅瀬に乗り上げているようなところが凍っています。











氷の結晶とは何故こんなにさまざまな形になるのでしょうか。
面白くてたくさん写真を撮ってしまいました。



さて、6日から仕事をしています。


三木の道の駅の金物展示販売所でノミを買ってきました。




一番右が今回求めたものです。
薄いノミが欲しくて、店員さんと相談して購入しました。
首が薄くできていて、変わったノミです。

右から二番目は18年くらい前に長坂の金物店で買ったもの。
使い易く、しょっちゅう研ぐのでずいぶん短くなりました。
左端は仕事を始めたときに東京で買ったもの。あまり使ってないのでほとんど新品。
左から二番目は沼田の古道具屋で買ったもの。
柄も刃もかなり減っています。でもいいノミです。

シンプルに見えるノミでも、使う前にはいろいろすることがあります。
裏押し、 柄の調整、カツラの仕込み、研ぎ。知らない人にはなんのこっちゃ?


ついでに古い刃物談義。




この鉋は仕事を教えていただいた方からいただいたもの。
かなり古い鉋です。
写真の通り、こんなに刃がちびています。
刃がちびてしまったので、頭を叩けず、台も切って刃の頭がを叩けるようにしました。
裏金の方が長いくらいで、裏金を押さえるために、刃と裏金の間に木端をかませるようにしています。
それでも使っているのは、この鉋がやたら切れ味がいいから。
もっとも面取りくらいにしか使えません。




左は最も新しく使い始めた鉋。
やはり三木のもの。
右は自分で買った一番古い鉋。
約22年使ったもの。

この鉋は木工修業に入るとき、自分の道具をある程度は揃えて来いと言われて買ったものです。
学生時代の最後、学友たちが卒業旅行に行ったりしているときも、アルバイトをしてお金を貯めて買いました。
大事にしていた楽器も売って道具代のたしにしました。
まあ、酔狂な世界に入るのだという、それなりの覚悟があったわけです。

「水平屋」という刃物屋がいいという話を聞いて、たどり着いたのがなぜか豊島区区役所の前にある水平屋。
この店は今はないそうです。その後も何度も手道具を買い足すために通いました。
浅草の水平屋とは関係はないそうです。
当時はインターネットなどなかったので、電話帳か何かで調べて行った覚えがあります。
対応してくれたのは太ったおばちゃんですが、全くの素人だった24才の私をまともに相手にする気がない。
普通のお店とは違う、あまりの接客態度の悪さに、半べそになりながらも、
ここで帰るわけにもいかないと気を取り直して食らいつき、道具を買いに来たことを説明。
ようやく相手にしてくれ、鉋やノミを買うことができました。
当時ですら、そんな手道具を買う人は珍しくなっていたようです。
店自体、前の方に電動工具が置いてあり、手道具は奥の方にひっそりと置かれていました。

このような店のそのような接客はその後、ほかでもよく出会いました。
道具屋、資材屋、問屋など。
要するにプロが行く店は普通の店の愛想のよい接客はあまりしないです。
店員はニコリと愛想笑いなどはしない。
でもちゃんと用は足ります。私もそんなのに慣れました。



さて、やっと仕事のはなし。




材が届きました。秋田県角館から。クルミの乾燥材です。
2立米ほど。これだけの量でも運送屋さんが届けてくれます。
私のところにはフォークリフトがないので、手降ろしです。
ドライバーさん、ごめんなさい。




この材はすぐさま使う材です。これから5月くらいまでの、3~4件ほどの仕事用です。
一枚一枚、めくりながら、用途別に板を検分します。
まずは長さが必要なもの、よく目につく場所に使うものを選びます。
節や割れ、真っ直ぐなもの、幅の広さ、木の色、木目などを見ながら選り分けます。
長いものをまず取り、残りを短いものに取っていきます。

いつでも最良の材を使えるわけではありません。
でも、手に入ったもので最良のものが作れるようにはしているつもりです。
かつ、無駄が出ないように考えます。
木は天然の素材なので、その点は苦労します。
良い材が手に入りにくくなってきているのを感じます。






今年一番の仕事は炬燵やぐら。予定にはなかったのですがやむを得ない事情により。













テーブル作り あれこれ

2013年01月02日 | 木工
最近CDプレーヤーをロハで入手。
工房でCDが聴けるようになりました。
幸いに人家がそばにないので、大きな音で音楽鑑賞が出来ます。
昔買ってあまり聞かなかったCDをあえて聴いてみる。
意外な発見があり、また、やはり聴かなくなるはずだな、というのもあり。
機械が動くと聞こえないけど。


今回のテーブルは長さ150cm、幅90cm、天然耳付きとのご注文でした。
秋に木取って工房内においてあった板をあらためて検分。




この二枚の板は一本の丸太の続きの板です。
材はクルミです。
丸太で買ってしばらく工房の庭で乾かしてあったものです。
中央が窪んだ、ややワイルドな感じの板でした。
写真は木表(丸太の外側)を上にして並べてみたところ。
これだと両側の耳は末広がりになりますが、全体の形としてはいびつな感じになってしまいます。




さんざん悩んだ挙句、ブックマッチにすることに。
これだと線対称になって形がきれいです。
耳は片側はオーバーハングになります。




丁寧に鉋をかけ、最後にサンディング。
照明に工夫をして、傷やサンダーのかけ忘れを目視してチェックします。
かけたつもりは禁物。




オイルを施す。
これはいい木だ。
形、色が素晴らしく、シラタがとても薄く、耳が完璧に残っている。
ほくほくしてしまう。
かわいい。




テーブル、椅子4脚、ストゥール4脚のセット。
押し詰まっての納品で失礼しました。



本年もよろしくお願いします。