ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

座椅子の制作

2015年05月07日 | 木工
GWも通常営業でした。



お蕎麦屋さんの椅子を大慌てで作っている、という記事をアップしたばかりなのですが、違うものをまた作っています。

お蕎麦屋さんの仕事のために買ってあった材は木場の材木屋に留め置いてあったのですが、GWになってしまい配達してもらえない。
つまり作業が進められない。

仕方がないので材が届くまでの間、違う仕事をすることにしました。




座椅子です。


私の定番の椅子を元にお客様からご提案されたものです。

この座椅子は定番の椅子を座面の下でばっさり切って、畳摺りを付けるような形です。
座面は床から10cmほどの高さです。



右側の肘掛けは跳ね上げ式に、とのこと。
これはちょっと苦労しそう。



自分ではなかなか思いつかないことをお客様に教わります。
そんなんばっかりです。

定番の椅子からロッキングチェアが生まれ、
そしてまた座椅子、とご提案を頂きながらいろいろなバリエーションが増えていきます。







跳ね上げ式の肘掛けなんて作ったことはありません。

ちゃんとした原寸の図を描いて検討します。

出来そうな気がしてきました。


肘掛けが水平に止まる機構も外に出さず肘掛けの中に組み込むつもりです。











木取ってもなんかちんちくりんな部材です。

2脚のご注文のところ、3脚作って見本に置いておきます。







部材の加工が終わって並べてみました。





これが跳ね上げ式の肘掛けの仕組みです。

軸はボルトですがそれだけではもたないと思い、肘掛け側にも木の軸を作り、背もたれにその軸が入る穴を掘ります。
肘掛けが水平で止まり、跳ね上げた時に上で止まる仕組みは木の軸に付けたカムです。
まあご覧いただければ一目瞭然ですね。








組み立てていても変な感じ。
足が無いからか。





組み立てが終わり、オイルを塗って、座面のペーパーコードを張ります。

畳摺りは座面を張るのに邪魔なので、コードを張り終えてから付けます。


ペーパーコードは満身の力を込めて張るのですが、この椅子は勝手が違ってやりにくい。
椅子の足を膝や手でおさえて張っていたのですが、その足が無いので文字通り掴みどころがないので力が入らないのです。







一脚張り終えました。そして畳摺りを付けました。





苦労した肘掛けはこのように跳ね上げます。







そして一脚できた頃、お蕎麦屋さん用の材が届きました。
遠くまで運んでくれてありがとうございます。

これから一月半、お蕎麦屋さんの家具一筋です。








日が暮れる。

いつの間にか緑が濃くなっています。

工房の裏のクルミの木には花が咲いています。