母@SYD

ま、これでいいや。いまのとこ。

読後感想「少子/酒井順子」

2005-05-30 22:20:03 | 本・映画・テレビ・ニュース
友人のMatildaの日記に心を揺り動かされ、最近「読みたい」願望がムクムクと。
子育てに追われていると、ゆっくり本を読む時間は少ない。
昼間、息子が起きている間、ソファで本でも読もうものなら、
読んでいる本の上に、息子お気に入りの車の絵本をバンっとおかれ、
文句を言いながら、一枚一枚ページをめくっては、
何か指差して「ぶーぶぅー」とひとしきりおしゃべり。
私に読んで欲しいのではなく、私のアテンションが欲しいだけ。
ページをめくるのは、私ではなく、自分。
わかったから、どっか違うところで読んでくれ。

昼間は他にやることがけっこうあるので、
結局は、夜、コドモが寝た後しか、読書の時間はない。
だから、毎日すべての家事が終わって、ベッドに入ってから、
ちびちびと少しずつ読んでいたのだが、やっと読み終わった。

コドモを生まないという選択をしている著者酒井順子が、
「生みたくない理由」「どうしたら生もうと思えるか」
という切り口でいろいろと書き連ねているのだけれど、
その感想は・・・。
なんだか外国の話みたいー、というのが、第一声。
特に生みたくない理由について、全くぴんとこなくって、
最初、なんだかよくわからなかった。

この、近寄れない感じはなんなんだろう、とよーく考えてみたら、
私は既に日本を離れて何年かたっているから、
日本という国が、どれだけ妊婦に厳しい国なのか、
出産が日本女性に与えるダメージってのが、どれだけなのか、忘れていたからだ。
痛いのがいやなら、無痛分娩でいいじゃん。
帝王切開って選択肢もあるぞ、なんて思ったり。
でも、日本には、その選択肢すらない病院も多いらしい。

それに、「妊婦=けがらわしいもの」な感覚、本当に忘れていたが、
そういえば実際にあったよな。アナウンサーなんかがおなかが大きくなってくると、
「そんなおなかでテレビに出るなんて」なんて文句を言われてしまう国。
確かに、妊婦への風当たりは強い。

そして、私は、そこまで子供を生むってことに対して、じっくり考えていなかった。
結局は、あれだ。思慮深い人ほど、躊躇するということなんだ。
実際に子育てしてみても、思うことだけれど、
出産・子育てというのは、一人の命を一から創り上げていく作業。
なんにもないところから創り始めるのだから、
考えすぎず、直感で行かなきゃいけないのかも。
(まあ、考えて行動しなきゃいけない部分も大いにあるけれど)
そして、大体において、(勝手な私の推測だが)
コドモを2人・3人と生める人というのは、楽天的な人が多い気がする。
決して悪い意味ではなく、ポジティブという意味で。

私の出産に立ち会ったダンナが言った忘れられない一言。
「あれは、無理がある・・・」
そうなんだ。それにつきる。
動物の妊娠・出産に比べて、人間のそれはというと、
だいたい期間が長すぎるし、胎児がでかすぎる。
生まれてからも、成長が遅すぎる。
でも、人間がこの世に生を受けてから、
ずーっとこんな感じなのだから、それはやはり意味があって、
変わることのない、これしかありえない形なんだろうな。

でも、妊娠期間が3ヶ月くらいですんで、
胎児も、片手で持てるくらいに小さくて、成長がもっと早かったら、
もっともっと妊娠・出産へのハードルは低くなるはず。
・・・などど酒井風に妄想を膨らませてみたのだが、
不思議なことに、コドモってあの大きさだからかわいいんだと思う。
小さすぎると、なんだかかわいそうな気持ちが強くなるし。
物事には、やはり「ちょうどいい」って度合いがあるんだろう。

結局のところ、みんな自分のために、自分の人生を生きているから、
世の中や国のために、コドモを増やそうなんて、
絶対に思わないのだろう。
お互い、個々の選択を尊重しあって生きていけば、いいんじゃないだろうか。

それにしても、読んだ本の感想書くのって、難しいなぁ。
長くなっちゃうし…。