歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

複雑なことよりも分かりやすいってことがどれだけ素敵なことなのか・・・・

2017-02-15 | 映画

そう、たしかに人の心は日々変化するし、猫の眼のように色を変える。

複雑であることが、難解であることが、崇高な精神だなんて勘違いしていた時期もあるわけで、

それはそれで、その年齢に適合した感性だっかもしれない。

 

幼いころにオヤジがよく僕を映画館に連れていた。

決まって、西部劇だった。

勧善懲悪。予定調和の権化だったけれど面白かった。

悪人は悪人らしく、善人は善人らしい顔つきといでたちだったし

ストーリーも顔つきもどんでん返しなどなかった。

 

久しぶりに西部劇を見たくなって「マグ二フィセント・セブン」を観に行った。

黒澤明の「七人の侍」・「荒野の七人」のリメイク。 

 

筋立てはほぼ同じだったけれど、主人公が金にもならない頼まれごとを引き受けたか?

黒澤明の「七人の侍」での設定より少しだけ掘り下げられていた。

掘り下げるというか、単純に「復讐劇」だというだけだった。

そのほか、登場人物でおもしろかったのは、「イ・ビョンホン」の役設定だった。

中国人がこのころアメリカで生きていくのは大変だったらしく、生き抜くためには一芸に秀でてなくてはならないし

マネージャーも必要だったんだろ。そのマネージャー役の設定が面白い。

元南軍の狙撃兵。イーサン・ホークが適役。腕利きの狙撃手だった。それがトラウマ。その後の人生をダメにしている初老の男。

そんな悲しい男の気持ちを良く分かっていて付き合い続けるイ・ビョンホンが愛おしかったりした。

全編、セリフはワンフレーズで完了してしまうし、くどくど説明するセリフはない。

つまり、言い訳がないのだ。

その変わりといっては何だが、「率直」で「ウソ」のないセリフだということなんだろう。

 

「愛しているよ」と言えば・・・・「そう。私もよ」

そんなセリフの繰り返し。

へたな駆け引きや打算や信頼を試すことはほぼないのだ。

 

七人の間では友情などないのだ。

それぞれがそれぞれの思いのなかで敵を殺していく。

殺せば殺すほどに自分の傷口は広がっていく。なのに殺していく。

殺さないと、殺されるからだ。

実に単純でわかりやすい。

人間はそんなものなのだ。

人を殺す力を持っているし、その力を抑制する力も持っている。

死に場所を探すほかなくなるんだろう。

 

自己犠牲は自己満足。