「並盛」値下げで客は増えたが…
誤算の吉野家
2013年7月6日(土)13:20
吉野家ホールディングスは5日、
2013年3~5月期の連結決算を発表した。
売上高は前年同期比6・6%増の425億円だったが、
本業のもうけを示す営業利益は7億円の赤字
(前年同期は3億円の黒字)に転落した。
4月に牛丼「並盛」の100円値下げで来店客は増えたものの、
円安で原材料費が高止まりする誤算から、減益となった。
牛丼の値下げ後は、来店客が前年比で
2ケタ以上伸びた。
しかし、店舗の従業員を増やしたため人件費が同4%増えた。
今年2月には米国産牛の輸入規制が緩和され、
仕入れ価格も下がると見込んでいたが、円安で、
「価格が思うほど下がらず、
見込んでいた利益が得られなかった」(広報)。
吉野家は7月以降、480円の商品を売り出すなど、
高価格帯の品ぞろえを強化し、
収益改善を目指す。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20130705-567-OYT1T00893.htmlより
吉野家、
低価格競争に“逆張り”新商品
焼き丼2種投入、
脱・牛丼依存に布石
松浦 大 :東洋経済 記者
2013年07月02日
吉野家が7月4日から発売する「ねぎ塩ロース豚丼」
「吉野家」「すき家」「松屋」の牛丼3強に、
焼き牛丼の新興「東京チカラめし」も絡んで、
牛丼業界では熾烈な低価格競争が続いている。
その中で吉野家は7月4日から、
全国の店舗(一部を除く)で「ねぎ塩ロース豚丼」と
「牛カルビ丼」を発売すると発表した。
定番の牛丼並盛りに比べ200円高い価格設定
値段は並盛りで各480円。
吉野家の定番メニューである
牛丼並盛り(280円)に比べて、200円高い。
牛丼各社が足元で繰り広げている値下げ・値引き競争からは
“逆張り”ともいえる価格設定になっている。
「ねぎ塩ロース豚丼」はフランスやスペインを中心とした
欧州産の豚ロースを使い、
赤身と脂身のバランスが9対1になるように調整した内容となっている。
「牛カルビ丼」は北米産カルビを6枚使用するなど、
男性客でも満腹感のあるボリュームがウリとなっている。
吉野家は昨年、7月には「焼味ねぎ塩豚丼」(夏季限定、並盛り390円)、
9月には「牛焼肉丼」(並盛り480円)を投入。
両製品の販売が好調だったことを受け、
今回、内容を刷新したものだ。
7月1日に都内で行われた吉野家の新商品発表会には、
お笑い芸人の宮川大輔さんと、
アイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーでもある
菊地亜美さんが登場した。
「がつんとくるような牛カルビ丼が好き」(宮川氏)、
「北海道生まれなので豚丼にはなじんでいます」(菊地さん)
といったトークセッションを繰り広げた。
「焼味豚丼十勝仕立て」の刷新も検討か
新商品発表会で会見した吉野家(吉野家ホールディングス傘下で
「吉野家」を運営)の門脇純孝(かどわき・よしたか)専務取締役は、
「(価格改定で)牛丼の価値を再設計するという目標は達成した。
夏からはセカンドステージに入り、
牛丼を中心に据えながら周辺商品を強化し、
吉野家の総合価値を高める」と宣言した。
「牛カルビ丼」は、昨年9月発売で好評だった
「牛焼肉丼」を刷新した新商品という
同社は4月18日に牛丼の並盛り価格を380円から280円に値下げ。
その効果もあってか、4月の既存店売上高(前年同月比、以下同)は
111.1%と7カ月ぶりにプラスに転じた。
続く5月も115.9%と底入れの状況が続いている。
ただ、その中身を見ると、
4月も5月も客単価は前年を割り込んだものの、
値下げによる客数の大幅増で補う形になっている。
今回、吉野家は旗艦商品の牛丼に対して、
新商品群を「ネクストバリュー商品」と位置づけ、
「ねぎ塩ロース豚丼」と「牛カルビ丼」を投入した。
同社側では詳細を明らかにしていないが、
今後は「焼味豚丼十勝仕立て」の刷新や、
鶏肉系どんぶりの再投入などを模索しているもようだ。
「牛丼だけでは対応できない」
吉野家が大型新商品を投入する背景には、
定番品の牛丼だけには頼れない現状がある。
門脇専務によれば、
「6月の既存店売上高は110%程度とプラスを維持している」というが、
社内の計画に比べるとやや下回ったもようだ。
同社のある幹部は、
「すでに牛丼店は4,000店に達している。
顧客の嗜好もさまざまに変化しており、
牛丼だけでは対応できない」と、
大型新商品を繰り出す背景に、危機感をにじませる。
牛丼各社は低価格戦争を繰り広げた結果、
並盛り280円という価格で膠着状態に陥っている。
その一方で、低価格路線による集客は限界にきており、
6月の既存店売上高は、すき家(ゼンショーホールディングスが運営)が92.9%、
松屋(松屋フーズが運営)が94.5%と、
いずれも前年割れが続いている。
牛丼各社は、牛丼のトッピングメニューを充実させることや、
定番の牛丼よりも価格の高い新商品を投入することによって、
客単価の引き上げを狙う。
ただ、吉野家は昨年も各種の新商品を漸次投入したにもかかわらず、
通年では既存店売上高の前年比をプラスに持ち込むことはできなかった。
悩める牛丼業界に、
はたして有効な打開策はあるのか。
http://toyokeizai.net/articles/-/14552より