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平均勤続年数

2013年07月01日 16時45分08秒 | キャリア支援
「平均勤続年数ランキング」トップ300
長く働き続けられる会社はどこだ?

赤峰 みどり :
東洋経済(『就職四季報』編集長)
2013年06月17日

東京スカイツリーが好調な東武鉄道が2位に入った

自民党の参院選公約に盛り込まれるかが注目された
ブラック企業の社名公表。
かつて「ブラック企業」といえば、
悪質な法令違反や暴力的な取り立てが露呈した
“ありえない”企業を指したが、
今日の見方はそれだけではない。

おそらく自民党では、
その数値的な線引きの基準について相当な議論を重ねたと思われるが、
現代のブラック企業認定が
「働き続けられる会社なのかどうか」を基に判断されているのは間違いない。
口コミに踊らされ、考えなしにブラック呼ばわりすることは避けなければいけないが、
ブラック企業は決してありえない会社だけとは言えなくなっている。

そこで今回は、自分の目で、
働き続けられるかどうかを検証できるデータ「平均勤続年数」に着目して、
『就職四季報2014年版』掲載の1135社から、
「長く働ける」300社を紹介しよう。

「3年後離職率」の代替指標

入社3年後離職率がブラック企業を判定できる指標として注目を浴びて以来、
『就職四季報』調査でも、
公表に神経をとがらせる会社が増えてきている。
離職率がわからないときでも、
だいたいの離職状況がつかめるのが平均勤続年数だ。

平均勤続年数は有価証券報告書で必ず開示しなくてはならない項目なので、
上場企業なら必ずわかる。
『就職四季報』掲載企業の平均は14.7年。
毎年安定して新卒の大卒を採用し、
ほとんど中途採用のない会社なら、
22歳から定年60歳までの38年の半分、
勤続19年程度が「社員がほとんど辞めない会社」の目安となる。

インフラ系強し! 社数は少ないながら上位を占有

最も長く働ける会社に輝いたのはJR四国で、
勤続年数は24年を数える。
昔から長く勤めるには電力・ガスなどのインフラ業界と言われてきたが、
インフラ代表格の鉄道は、
2位の東武鉄道が続きワン・ツー・フィニッシュ。
名古屋鉄道(20位)、京阪電気鉄道(31位)と
3大都市圏の私鉄の雄に、JR東日本(31位)も加わり、
上位50社中1割の5社を占めた。

電力会社もやはり強い。
3位の中国電力をはじめ、対象となっている回答企業7社のうち、
鉄道と同数の5社が50位以内に顔をそろえた。

と来れば、同じエネルギー産業の石油元売り。
同率3位の出光興産は民族系だが、
外資メジャー系でも東燃ゼネラル石油(17位)、
コスモ石油(35位)、昭和シェル石油(45位)と
勤続年数は20年を超える。

小売りでもデパートと大手スーパーは働きやすい

50位内には百貨店も目立つ。
島屋(11位)、阪急阪神百貨店(25位)、
大丸松坂屋百貨店(27位)、そごう・西武(35位)、
三越伊勢丹(50位)と全国区のデパートが肩を並べた後は、
216位の松屋までこのジャンルは登場しない。

80~100位には、イトーヨーカ堂(80位)、ユニー(85位)、
東急ストア(98位)の大手スーパーもランクインした。
勤続年数は3社とも約20年、
ヨーカ堂とユニーの3年後離職率はともに10%前後にとどまる。

一般に小売業の早期離職率はどちらかというと高い部類に入る
厚生労働省による2009年3月卒の大卒3年後離職率35.8%は、
調査18産業中12位で、全産業平均の28.8%を7ポイント上回っている
(新規大学卒業就職者の産業別離職状況)。

小売りをはじめ、人が休んでいるときが稼ぎどきの飲食業や宿泊、
サービス業は離職率が高くなるが、
デパートと大手スーパーの働きやすさは、
長く培われた福利厚生基盤と、それを背景とした社風の賜物といえる。

激務でも勤続年数は長い、商社と新聞社

103~144位のゾーンには、激務で知られる総合商社のうち、
三井物産(117位)、三菱商事(137位)の2強が入った。
商社といえば起業を志す人が多く、
実際に両社出身の著名な経営者は幾人もいるが、
両社とも大卒入社中心で丸めて勤続19年と、
「社員がほとんど辞めない会社」に当てはまる。

激務といえば、144位に朝日新聞社が登場したことで、
読売新聞社(85位)、毎日新聞社(91位)と、
朝毎読の全国紙3社が150位以内に入ることとなった。
産業経済新聞社も169位、18.5年と勤続年数は長いといえる。

これらと並んで、NTT西日本(108位)、NTTコミュニケーションズ(137位)、
日本郵便(125位)、ゆうちょ銀行(137位)、
中日本高速道路(144位)といった「民営化」企業が同居しているのが興味深い。


同じ業種でも男女の働きやすさには大きな差

男女の勤続年数を比較すると、
女性の活躍推進が課題とされるわが国ゆえ、
女子が男子よりも長く働けるという会社は極めて少数だ。

その中で、100位を超えたところから、
セイコーエプソン(103位)、安川電機(117位)、
リョービ(144位)、日本信号(185位)と、
女子の平均勤続年数が男子のそれを大きく(3年以上)上回っている会社が出てくる。

反対に、鉄道や建設業界においては、男子の勤続年数、
男子従業員比率が女子を大きく上回るのは容易に想像できるが、
同じメーカーでもセイコーエプソンなどとは対照的に、
グンゼ(11位)、キリンビバレッジ(144位)などは、
男子の勤続年数が女子のそれを10年以上も上回る。

男子:女子の従業員比率をみると、セイコーエプソンはおおむね5:1、
安川電機とリョービが8:1、日本信号6:1と、
メーカーの女性従業員比率は商社や金融、
小売りなどの非製造業ほど高くない。
これは男子の勤続年数が高い企業でも同じで、
キリンビバレッジが5.5:1、グンゼは実に25:1である。

新卒女性の採用も少ないため、
一見、働きにくいイメージを受ける会社でも、
実はそうではない会社もある。
その一方で、肌着や飲料というイメージだけで会社を見ていては、
実態を大きく見誤ってしまうこともある。

女性の働きやすさを計るためには、
全体平均だけでなく、必ず男女別に数字を押さえておくべきだ。

男性優位の業界でもJFEとスーパーゼネコンは別

そうした男女差に注目すると、
216位のJFEスチールは女子が男子を5.5年上回るという、
業界では異例の女子の勤続年数の長さを誇る。
新卒採用の男女比は両社でそう変わらないものの、
従業員の男女比率は旧新日本製鐵の20:1に対し、
JFEは4:1で、社内風景はかなり違っていそうだ。

また、建設業界も伝統的に男子従業員のウエ-トが高いが、
竹中工務店(61位)をはじめ、
清水建設(117位)、大成建設(125位)、鹿島(157位)、大林組(216位)の
スーパーゼネコンだけは、全体の勤続年数も長いうえ、
女子も男子に劣らず長く働いていることは注目される。

勤続年数は長ければ長いほどよい?

271位には、よく比較される資生堂と花王が同じ17.7年で並んだ。
両社とも化粧品メーカーのイメージだが、
従業員の男女比は資生堂が1:1、花王が3:1とかなり違う。
勤続年数の男女別も、資生堂がバランス型、
花王は男性主導型といった感じだ。

ところで、ここまで「長く働ける」ことを主眼にランキングを見てきたが、
勤続年数は長ければ長いほどよいのだろうか。

大卒中心ならば19年で「辞めない会社」だとしたが、
トップの四国旅客鉄道は高卒等も含むとはいえ、
この基準を5年も上回る。
19年の根拠には、「毎年安定的に採用を続けていれば」という条件もついている。
上がつかえていて若年層を採らなければ、
勤続年数は長くなり平均年齢は上がる一方だ。

実際に上位企業でも、
持ち株会社ベースのため参考値扱いだが、
再編を経た学研ホールディングス(7位)や、
まだAV不振の爪あと深いパナソニック(11位)、
そして楽天などが第三者割当増資を共同で引き受ける方針が報じられた出版取次の大阪屋(7位)など、
経営の不安定さの背景に新陳代謝の悪さもあったとみられる会社も散見される。

いわゆるブラック企業ではないにしても、
経営が立ちゆかなくなれば辞めざるをえなくなることもある。
会社は皆同じではないし、「ブラック」「非ブラック」などと
なかなか線引きできるものではない。
「長く働ける会社」かどうかは、他人の判定に頼らず、
やはり自分の目で判断しなければならないのだ。

http://toyokeizai.net/articles/-/14322より

退職が決まったら

2013年07月01日 01時32分39秒 | キャリア支援
跡を濁す鳥と濁さない鳥は
どちらが合理的なのか?

退職時に思い知らされる
人の本性と将来性の明暗


――処方箋㉓「評判重視社会」では関係性が終わるときこそがチャンス
【第23回】 2013年6月19日
渡部 幹
[早稲田大学 日米研究機構 主任研究員/客員准教授]


嫌な職場を離れるときにどう振る舞うか?
外務省批判を続けた田中眞紀子氏の損得


プロジェクトが終わったり、
職場が変わったりするとき、
あなたはどのように振る舞うだろうか。

特にその職場に不満があったり、自分への処遇に納得できなかったり、
プロジェクトのパートナーとうまくいっていない場合、
いざ自分が職場を離れたり、パートナーと別れることになったとき、
あなたはどのように振る舞うだろうか。

1つの典型例は、小泉政権時代、
外務大臣だった田中眞紀子氏の所作だ。

彼女は、外務大臣就任以来、一貫して外務省の体質を批判、
「外務省は伏魔殿」という言葉で、メディアに持論を主張してきた。
このことから、外務省と田中氏との関係は
よいものではなかったのは誰しもがわかるだろう。

色々とメディアをにぎわせた挙句、田中氏は更迭という形で大臣を辞任する。
辞任の際には、職員の前で
「外務省の今後のご発展をお祈りする」という旨を語っていたが、
その後メディアではやはり持論を主張し、
外務省への批判を繰り広げていた。

それだけではなく、自分を更迭した当時の小泉首相や内閣にまで、
批判の矛先を向け、それが自民党を辞し、
民主党へ入党するきっかけともなった。

実態は少し違うのかもしれないが、
少なくとも外側から観察する限り、このように見えた。

会社を辞める場合の例はどうだろう。
最後だから上司に言いたいことを言う、
辞めた後に組織の悪口(批判ではない)を言う、
ネットに罵詈雑言を書き込む。
こういった振る舞いは、
前述の田中氏の行動と基本的に同じものだ。

このような行動は諺で言えば、「旅の恥はかき捨て」というものだ。
旅行先で関わった人には再び会うことは少ない。
だから本来ならば、恥ずかしいような好き勝手な振る舞いを
したっていい、という意味だ。

一方で、先日こんな話を聞いた。

某中堅企業の職員が辞めることになったのだが、
彼は嘱託職員、つまり非正規雇用だった。
しかし、そこでは4年働き、現場との連絡や経理、政府との交渉などをこなし、
現場からは正社員ではなく、彼を指名して仕事の依頼が来ることも珍しくなかった。

だが、というより当然、彼は職場に不満を持っていた。
1つは、嘱託職員という不安定な処遇についてだ。
誰もが彼の手腕を認めてはいるものの、
彼を正社員にするなどの処遇改善について、
心を砕いてくれる上司はいなかった。
本来は正社員の補佐でありながら、正社員顔負けの責任の重い仕事を任されるのも、
本来の処遇ではなかった。

「美味しいとこ取り」に不満でも
職場に矛先を向けなかった嘱託職員


ただ、彼はそのような仕事を任されること自体には不満を持ってはいなかった。
むしろやり甲斐を感じていた。
しかし、嘱託職員であることが足かせとなって、
肝心の重要な意思決定の場面で、
自分の意見が反映されることがないことには、大きな不満を持っていた。
意思決定の材料となる会議資料はつくっても、
そこに出席し、発言することが許されなかったためだ。

彼は、自分が結局は組織に「美味しいとこ取り」をされているという不満を常に抱いていた。
嘱託社員は、正社員とは年収にして300万円も差がある。
正社員の仕事の質を見ても、自分より300万円多い年収には納得はいかなかった。

上司は無能で、彼の仕事がいかに質の高いものかを理解していない。
辞めることが決まって、引継ぎを始めてから、
やっと「君、こんなすごいこと1人でやってたの?」などと言い出す始末だ。

それでも、彼は冷静に自己分析をすることで、仕事をこなしてきた。
仕事をするときもそうだが、前述の不満についても、
「なぜ上司は部下の仕事の質を理解できていないのか」
「なぜ嘱託職員に、正社員ばりの質の仕事を負担させるのか」などを常に考え、
結局は組織・人事の不備が根幹にあると結論づけた。

だから、彼は辞めると決まってからも、
自分をいいように使ってきた上司や同僚に矛先を向けることはなかった。
ただ一点、彼が資料をつくってきた意思決定会議にオブザーバーとして参加した際、
上司に了解をとって、自分の思うところを述べたという。
それは、彼なりにまとめた現在の組織の問題点と、
その問題解決のために組織と人事をどのように改革しなくてはならないか、
というものだった。

退職前の組織批判でも悪口を言わない
跡を濁さない職員に寄せられた激励


彼の初めての「組織批判」だったが、
彼が最も気をつけたのは「悪口雑言」にはしない、という点だった。
自分が今まで心血を注いで尽くしてきた組織を、
もっと良いものにしたい。
個人攻撃はせず、あくまで建設的な批判を心がけ、
まず自分のことをよくわかってくれる上司にそのことを言い、
それを上層部に上げてもらえるようお願いした。

その甲斐あって、上層部でも彼の進言を真剣に検討してくれることになった。
さらに、彼の元に「よく言ってくれた」というメールが来るようになった。
また、辞めるという話を聞いた各部署から、
「君がいたから仕事を頑張れた」
「君の部署で現場のことを最もわかってくれたのは君だった」
という言葉を多くもらったという。

彼は、それだけでもこの組織で頑張ってきた甲斐があったと話していた。
諺でいうならば、彼の行動は「立つ鳥跡を濁さず」である。
先の田中氏の例と、この嘱託社員の例を比較すると、
どちらが合理的だろうか。

ゲーム理論の立場から言うならば、
田中氏のケースの方が合理的である。
社会的交換や経済交換がもう続かないならば、やりたいことをやって、
心理的・経済的な利益を得るほうがいい。
ゲームの最後では、相手を裏切ってでも
自己利益を追求するほうが、理に適っているのだ。

そして社会心理学的、ないしは実験経済学的に言えば、
このときにこそ、その人の本質が露わになることがわかっている。

相手を裏切ることは本当に合理的か?
「囚人のジレンマゲーム」が暴く本性


「囚人のジレンマゲーム」という「相手と協力することで利益を得られるが、
相手を騙すことでもっと大きな利益を得られる」という
社会的交換状況がある。
すでに有名なゲームなので、ご存知の方も多いだろう。

この囚人のジレンマゲームが長く続くときには、
自己利益しか考えない合理的な人でも、
協力的になることが多くの研究から明らかになっている。
ある相手との付き合いが長くなるとき、その相手とは協力しあったほうが、
長期的に見た利益の総額は高くなることが多い。
したがって、どんなにひどい人でも協力的になるのだ。

しかし、相手との取引がもうすぐ終わることがわかると、
「合理的」な人は態度を豹変させる。
相手を搾取して、短期的に自己利益を求め始める。

実際の社会でも、関係が終わることがわかると態度を変えて、
好き勝手する者がいる。
以前、拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』(講談社新書) で述べた、
定年まで間もなく、昇進の芽もない社員が、
クビにならない程度に好き勝手をする
「上がり型フリーライダー」もそのタイプである。

逆に言えば、冒頭の嘱託社員の例のように、
辞めることになっても依然として組織のために働こうとする人は、
「非合理的」に見える。

しかし、最近研究者たちは、そのような「非合理性」は
評判情報を活用する社会」では合理的になるという議論をしている。
簡単に言えば、辞めることになってもなお「協力的」な人間は、
本性が協力的であり、次に経済交換や社会的交換の相手として
選ばれる確率が高まるから、という理由による。

以前の回で紹介した、シリコンバレーでの転職の事例などは、
評判重要視社会」によって、
短期的関係の中でも最大限の協力を引き出せるようにしているケースである。

途中入社の同僚や部下などの本質を見抜くには、
以前勤めた会社での退社直前での振る舞いを調べてみるといい。
ずっといる社員ならば、
もう二度と関わらなくなったプロジェクトの最後期での振る舞いや、
辞めるとわかっている同僚や部下や上司に対して
態度が変わるかどうかを、見てみるといい。

そしてあなた自身は、最後まで協力し通すことが、
将来への投資になると考えておき、
そのための人間性を磨くことを考え、行動すべきだ。

愚直なまでに人との関係を大切にせよ
辞めるときこそ評判を高めるチャンス

それを一言で示すならば、
「愚直なまでに関係を大切にする」ことだ。

具体的には、以下のような振る舞いを心がけるべきだ。

・辞めていく社員に対して態度を変えない
・プロジェクトの終わり、業務の終わり、転職のときなどに、
上司、同僚、部下、取引先など、
相手にかかわらず、これまでお世話になった人々への
謝意を示すことを忘れない
・関係が切れてしまった後に、相手の悪口を言わない
・仕事とは関係のない場所での、短い関係
(たとえば、1泊2日で行った旅行先でのレストランでの振る舞いなど)も大切にする

本性は仕事の場面だけではなく、その人の人間性全体にかかわることなのだから、
仕事以外の場面でも最後まで関係を大切にする姿勢が出るはずである。

労働力の流動性が高まっている現在、
近い将来には必ず評判が重視される社会になる。
そのときに最も情報価値の高い評判は、
「短期的な自己利益を追求せず、
組織や周りの人々のことを考えて行動できる」というものだ。

そのような本性を持っている人にとっては、
関係の終わるときこそが、
実は評判をつくるための最もよいチャンスとなるのだ。

http://diamond.jp/articles/-/37600より