大学の授業にかかわる話題

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損益分岐点について

2013年05月10日 17時47分35秒 | 学習支援・研究
損益分岐点売上高 
-ウチの会社はいくらの売り上げで利益がでるのか?

PRESIDENT 2013年4月15日号
著者:公認会計士・税理士 柴山政行 
構成=高橋晴美 
図版作成=ライヴ・アート

日本電子は2013年3月期の連結損益分岐点売上高が
10年同期に比べて1割強下がる見通しであるという。
円高対応として、人員削減やグループ会社の統合などのコスト削減を進めた結果であり、
1ドル=78円でも黒字になる収益構造が構築できたそうだ。

損益分岐点は営業利益が赤字にならないデッドラインのことである。
その営業利益は売り上げから変動費と固定費を除いて計算される。

固定費は経営を維持するために不可欠な費用で
「キャパシティコスト」ともいわれる。
人体でいえば、生命を維持するための「基礎代謝」に当たるものである。

一方の変動費には、
材料費、商品の仕入れ費、外注費、変動給などの製造原価のほかに、
発送費や販売促進費などの販売原価が含まれる。
いずれも売り上げ如何によって金額が変動し、
「変動費÷売上高」で売上高一円当たりに対する変動費の比率が計算できる。
変動費が120円、売上高が200円の場合は、
「120円÷200円」で変動費率は「0.6」となる。


グラフを拡大
グラフで表した損益分岐点売上高

次に損益分岐点売上高の計算方法を紹介していこう。
まず「売上高-固定費-変動費=営業利益ゼロ」という式を想定する。
そこから固定費と変動費の合計が売上高とイーブンになる水準、
つまり損益分岐点を求めていくのだ。

では、商品1個当たりの売価200円、
それにかかる変動費が120円(変動費率0.6)、
そして固定費が300万円の事業の場合、
損益分岐点売上高はどうなるだろうか。

売上高を「S」とすると、
「S-0.6S-300万円=0」いう方程式が成り立つ。
その解を求めていくと、
「0.4S=300万円」
「S=300万円÷0.4」と導かれ、
商品を3万7500個売った750万円が損益分岐点売上高だとわかる。
売り上げがこの750万円ラインを超えると、
営業利益が計上されるようになるのだ。

また、損益分岐点売上高が低ければ低いほど、
赤字になる売上高の水準も低くなるということもできる。
実際の売上高に占める損益分岐点売上高の割合を「損益分岐点比率」というが、
これも低いほうが赤字になりにくい体質といえる。

損益分岐点売上高も損益分岐点比率も把握していない会社がたまにあるが、
企業の収益構造、コスト体質の強さを測る判断指標として、
ぜひとも把握しておきたい数値だ。
それでは損益分岐点比率は、
どの程度の水準が望ましいのだろうか。

景気変動などによって売り上げが10%低下することは珍しくないが、
一気に20%ダウンすることはまず考えにくい。
それなら損益分岐点比率が80%を切っていれは、
財務体質として安心感が得られるだろう。

リーマンショック前、
上場企業の損益分岐点は70%台半ばを維持していて、
かなり優れた状態にあった。
経費削減などの企業努力でコストを抑えたことで、
利益が上がりやすい体質になっていたのである。

しかし、いま多くの中小企業の損益分岐点は90%台で、
売り上げ減少に対する抵抗力に不安があるといわざるをえない状況だ。
早いうちにコストを見直すなど、
損益分岐点比率が80%を切るように一層の努力が求められる。

損益分岐点売上高や損益分岐点比率が低く抑えられていることは、
取引銀行や株主にとっても歓迎すべきことで、
冒頭の日本電子では報道が好感されて株価も上昇している。

個人の家計においても、家庭版の損益分岐点を分析しておくことは重要だ。
いくら収入あれば生活が維持できるのかを把握しておくのだ。
そうすれば、貯蓄に回す余裕ができる収入の水準がわかるし、
給与ダウンがあっても慌てなくて済む。


http://president.jp/articles/-/9163より

損益分岐点(分析)について、
簡単にまとめられている。
営業費率70%台が目標ということことのようだ。

この資料は、SUの授業「経営分析」で使えるし、
SIUの「マーケティング」でも、
すで固定費については話をしている。
損益分岐点については、素人でもなんとなく
わかる概念である。
勉強しましょう。

また、学校会計でも応用される。
定員にたいする在籍者数で、
何名が入学すれば、収支がプラスになるのか。
固定費の見直しが必要になる。


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10日(金)の4講目

2013年05月10日 17時03分28秒 | SUの授業
本日の「経営分析基礎」は、
まず「損益計算書」を簡単に解説。
経常損益の区分を中心に、区分表示について触れました。
営業外損益の部で、とくに重要と思われる項目、
「為替差損益」について解説しました。
4月4日(木)付、日本経済新聞13面の記事、
「わかる財務 決算書はこう読む③」から
「円安に『見えざる効果』」という連載記事から
為替変動が収益に及ぼす効果を紹介しました。

損益計算書に表れるのは、為替差損益ですが、
記事では、「円安による輸出競争力の相対的高まり」で、
増産・出荷増に結びつく効果は大きいとありました。

見えない効果は、会計では取り上げられないので、
為替差損益の発生のメカニズムを解説しました。

次に、「ホーmac」の親会社「DCMホールディングス」社の
第7期決算から、同社の連結P/Lを使い、
原価率・粗利率の計算、
それに売上高の前期比較と減少率を計算してもらいました。
4,288億300万円(今期)と4,371億3,800万円(昨年)との比較です。
1.9%の減益です。


DCMホールディングのロゴ

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10日(金)の1講目

2013年05月10日 10時59分13秒 | SIUの授業
本日の「オフィスワーク演習」は、まずはじめに、
「ス○ジ×ータ」の商品名でで有名な企業から
就職関連資料が送られてきたので、
その資料を紹介した。
職種や仕事の内容、それに処遇(給料など)、
そこに記載されている内容を説明した。
くい付が悪く、興味なさそうだったが、20分近くこの話題に触れた。

同社のイメージ

4月28日(日)付け日経新聞11面より、
「消費税還元セール禁止」について、
同記事を読みながら紹介した。
あわせて、流通過程における(消費税)課税の仕組みを解説。
課税の計算も‘ままならない’学生がいるが、
簡単な説例で、課税過程を説明した。
本当に学生は計算問題が嫌いのようだ。

最後は、いつものコラム要約練習です。
本日のコラムは4月25日の「春秋」より、
やはり起・承・転・結を出席カードの裏に
要約してもらいました。

ちなみに私の要約は、以下のとおりです。
起:岩崎小弥太はフェアプレイを説いた。
承:フェアな精神で、企業は商品やサーヴィスを
  提供しなければならない。
転:三菱自動車のリコール問題は、
  岩崎の説いたフェア(公正さ)を裏切った。
結:コンプライアンスとは、
  相手の立場で考えるということである。

本日は34人の出席でした。

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