夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『大統領のカウントダウン』

2006年09月08日 | 映画(た行)
『大統領のカウントダウン』(英題:Countdown)
監督:エヴゲニー・ラヴレンティエフ
出演:アレクセイ・マカロフ,ルイーズ・ロンバード,
   ジョン・エイモス,ヴァチェスラフ・ラズベガーエフ他

ロシア映画史上最高額の製作費を注ぎ込んだのがウリ。
今週いちばん笑ったのがこの映画。
いや、ほんとは笑っちゃいけないんでしょうけど。
『ミュンヘン』(2005)同様、
チェチェン独立紛争も私たちには理解しがたい問題ですもん。

ロシア連邦の共和国のひとつ、チェチェンでは
独立を求める武装勢力と、ロシアへの従属を主張する勢力が激しい紛争を続けている。

独立派の捕虜となったロシア軍のスモーリン少佐は
モスクワでの爆破テロに関わったとの虚偽の告白を
ビデオカメラの前でするように強要される。

独立派がもしこのビデオテープを公開すれば、
国の軍人がテロ活動に関与したことが各国に知れ渡り、
ロシア政府の権威は失墜することになる。
独立派の目的はそこにあるように見えた。

しかし、彼らの本当の目的は放射性物質の輸送機。
これさえ奪えば、世界中が自分たちの言うことを聞く。
目的達成のため、イスラムの過激派と手を組んだ独立派は、
2,000人を収容中のサーカス小屋を占拠。

……言うなればロシア版『ダイ・ハード』ですが、ストーリーはかなり難解。
チェチェンにイスラム、国連まで絡んで、スケールでかっ!
能天気に観ていられそうなB級アクション映画ですら、
背景を知らないと頭がこんがらがって、
勉強しなくちゃと思わせてくれるロシア、恐るべし。

ところで、私が笑い転げてしまったシーンはちょうど1時間を経過したころ。
捕虜となっていたスモーリン少佐は、
紛争の取材に訪れていた女性記者の助けにより脱出に成功し、
自分の娘がサーカス小屋にいると知って、現場に潜入します。
ここで本作最強の悪役と思われる男と遭遇。
んでもって、速攻でコイツが死んでしまうんです。
あまりのあっけなさに唖然呆然、笑い転げました。
ハリウッド映画ではあり得ないでしょ、
極悪人があと1時間も残っている段階であっさり死ぬなんて。

さらにその後、極悪人に利用されていたお人好し男から
「ここは俺に任せてくれ」と言われたスモーリン少佐は
あっさりサーカス小屋から出ていくのであります。
あんた、主役やろぉ、なんで人質を残して
そんなあっさり出ていくね~んと目が点に。

ハリウッドとはちょっとちがう、B級映画の典型に敬礼。

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B型のどこが悪い。

2006年09月04日 | 映画(番外編:映画と血液型)
血液型が問題にされるのはB型ぐらいなもんでしょう。
映画の中で血液型による性格が取り沙汰されるのは、
私の知りうる限りでは日本と韓国だけです。

以前、『刑務所の中』(2002)で山崎努の台詞に大笑いしたことを書きました。
ボンボン囚人に向かって、山崎努が羨ましげに言う台詞は、
「いいよなぁ、いいとこのお坊っちゃまで、受刑者で、B型で」。
その心は「怖いものなし」でした。

日本でも話題になった韓国映画『B型の彼氏』(2005)。
ハミは運命の出会いを信じる女子大生。
合コンに明け暮れる友人たちの誘いにも乗れずにいます。
そんな彼女がまちがってメールを交わしたのがヨンビン。
すべてにおいてルーズ、自意識過剰でどうしようもないのに
なぜかイカレてしまう女性が後を絶たないこの男に、
ハミは運命の糸を感じてしまうのでした。

ハミの従姉は血液型に徹底的にこだわる結婚相談所員。
ヨンビンがB型だと確信した彼女は、
大事な従妹をB型男に預けてたまるものかと
ありとあらゆる妨害工作を図りますが……。

監督をはじめ、製作スタッフ全員がB型だという触れ込みですが、
こんなにちゃらんぽらんなB型を見せるとは自虐的かも。
当然ハミはA型です。A型女性はB型男性の憧れ?

同じく韓国映画の『小さな恋のステップ』(2004)。
余命3カ月と診断されたプロ野球2軍選手のチソン。
交際中の恋人からは突然ふられ、やけくそ気味で行きつけの飲み屋へ。
酔い潰れた彼を介抱したのはバーテンダーの女性、イヨン。
実はイヨンはチソンの家からわずか39歩のところに住み、
チソンがそこに引っ越してきた10年前から
ずっとチソンに想いを寄せていました。

ある日、近所で起きた盗難事件の犯人が、
警察に追いかけられてチソンの家に飛び込みます。
犯人に改心を促し、逃がしてやったチソンは
容疑者として自分が追われるはめに。
家の前に張り込む警察から逃れて、イヨンの家にしばらく匿ってもらうことになり、
ふたりの共同生活が始まります。

ネタばれですが、余命わずかとくれば
韓国お得意の純愛ものかと思いきや、誤診です。
クスッと笑ってしまう可愛いコメディ。

こんなに近くにいながら、
今までイヨンのことを何も知らずにいたチソンが
エンディングまぎわに投げかける質問のうちのひとつ。
「血液型はO型?」
「ううん、B型」。

かくいう私もB型です。
B型じゃダメですか。

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ヘレンとヘレンとヘレン

2006年09月01日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
借りればなぜかヘレンだらけ。流行りですか?

今週、レンタル開始になった『子ぎつねヘレン』(2005)。
獣医かつ写真家である原作者の子ぎつねの介護記録が基。
母子家庭に育つ小学生、太一は、母の海外出張中、
北海道の動物診療所に預けられます。
ある日、太一は道端で子ぎつねと遭遇、居候先に連れ帰ります。
目も耳も不自由であることがわかった子ぎつねを
ヘレン・ケラーにちなんでヘレンと名づけ、
太一は毎日を一緒に過ごすように。

予告編を見るだけでウルウル来ていましたが、
残念ながら(?)すべてが凝縮されていた予告編が秀逸。
あとは警官役の阿部サダヲが個人的にツボ。
泣くはずが、阿部サダヲが出てきただけで笑ってしまいました。

『ヘレンとフランクと18人の子供たち』(2005)。
メグ・ライアンの元夫、デニス・クエイド演じるフランクは、
死別した妻との間に8人の子どもがいます。
一方、レネ・ルッソ演じるヘレンは死別した夫との間に子どもが10人。
高校生の頃、交際していた2人が同窓会で会い、速攻で再婚を決めるも、
合計18人の子どもたちがうまくやっていけるはずもなく……。

劇場未公開も納得ですが、レンタルならそれなりに楽し。
正反対のフランクとヘレンの性格が端的に描かれ、
そんなふたりの性格を熟知した、愛らしく小生意気な子どもたちが
ふたりの仲を引き裂こうとあの手この手を使う姿は最高。
最後はお決まりの展開に涙。
しかし、18人はなんぼなんでも多すぎ。
ほとんど出番のない子がいるのはどうよ。

『プリティ・ウーマン』(1990)と並べて「プリティ・シリーズ」と銘打たれた
『プリティ・ヘレン』(2004)。この邦題はご勘弁。
原題が“Raising Helen(=ヘレンを育てること)”と知って観るべし。

ヘレンはNYのモデルエージェンシーに勤める有能なエージェント。
自由きままな独身生活を送る彼女のもとへ、長姉夫婦の交通事故死の知らせが。
遺言状には長姉夫婦の3人の子どもをヘレンに託すと。
専業主婦を立派に務めあげてきた次姉はその遺言に納得できず、
ヘレンも戸惑うのですが……。

主演のケイト・ハドソンはいつも超キュート。
次姉役のジョーン・キューザックは毎度ながら素晴らしく、
学校の牧師役、ジョン・コーベットは安心感を与えてくれます。
長姉の子どもたちを育てていながら、
実はヘレンのほうが育てられていく様子を見守ってください。

ということで、私は3本目のヘレンに1票。

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