夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

秋に想う。

2006年09月23日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
9月の終わりから12月にかけてが
私のいちばん好きな季節です。
秋空に変わるとなんとなく寂しくなって、
切ない気持ちにさせてくれる映画ばかり観たくなります。

本日公開、キアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロック共演の
『イルマーレ』は韓国映画のリメイク。
同じ海辺の1軒家に2004年と2006年に住むふたりが
時空のねじれが原因で手紙を交わすようになり、
会えない相手に想いを募らせます。

韓国版についてはこちらの日記をご覧ください。
日本人としてはこの空気はアジア的。
いくらハリウッドの人気俳優の共演でも
オリジナルは超えられんやろと観る前から思ってますが、
スペイン語圏の映画に惹かれる私は
監督がアルゼンチン出身なのが気になります。

いずれにせよ、郵便箱を介して生まれるふたりの恋は切なさいっぱい。
映画に便乗して郵便箱がネットで売られていることを知り、
何でも商売になるんだなと感心する一方、
郵便箱を観るだけで切なくなる私って何?

郵便箱といえばもうひとつ、
イタリア・フランス合作の『イル・ポスティーノ』(1994)。
タイトルを日本語に訳すと「郵便屋さん」。
イタリア、ナポリの小さな島にやってきた詩人宅へ
郵便を配達するようになった青年が、
詩人と友情を育むうちに詩の素晴らしさを知り、
一目惚れしたひとりの女性に詩を贈ろうとします。

この作品を観たのはもう10年以上前なので、
台詞を一言一句覚えていたわけではありませんでした。
その切ない台詞を思い出させてくれたのが
先日観た韓国映画、『永遠の片想い』(2003)。
スインという女性にこれまた一目惚れしたジファンが
勢い余ってすぐさま告白。迷惑だと言われたあと、
落ち込んだジファンは時計屋の前を通りかかり、
大きな壁掛け時計を購入します。

スインのいる喫茶店に駆けつけると、
ジファンは時計の針を1時間前に戻し、
ガラス越し、その時計とともにこんな手紙を掲げます。

「時計を1時間前に戻しました。
 僕が言ったこと、忘れてください。
 そして、今度偶然会えたら、
 友だちとして会いましょう」。

『イル・ポスティーノ』の台詞はスインの口から。
とても素敵な映画だから観てほしいと両親に薦めたあとで。

「僕は恋に落ちました。
 心が、とても、痛い。
 でも、この痛みを持ち続けていたいと思います」。

恋人も友だちも、片想いも両想いもみんな切ない。
そんなことを、秋に思う。

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