夜な夜なシネマ

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『ステーキ・レボリューション』

2015年11月13日 | 映画(さ行)
『ステーキ・レボリューション』(原題:Steak (R)evolution)
監督:フランク・リビエール

これを観たいがために取った午後休でした。
シネ・リーブル梅田の近くのコインパーキングに駐車したまま、
えっちらおっちら大阪ステーションシティシネマへ移動。
かなりお疲れモードだけれど、本命はこれだから頑張りました。

開映前、おもしろいな~と思ったのは客層。
封切り直後でもそんなに客は入っていなかっただろうと思いますが、
おそらくもうじき終映で、観客はまばら。
そして私を除いて全員男性、誰も彼もが料理人に見えます。
コックコートを着たら似合いそうなスキンヘッドの人とか。
料理人コンビとおぼしき人もやっぱり劇場ではポップコーンをほおばるんだ。

フランク・リビエール監督は大の肉好きで、実家はシャロレー牛の繁殖農家。
シャロレー牛はフランスで最古の肉牛。
監督はシャロレー牛こそ世界最高の牛だと思っていました。
ところがどうもそうとも言えないらしい。

どこの牛がもっとも旨いのか、そして旨い牛肉はどのようにつくられるのか。
その謎を解き明かしたくなった監督は、牛肉を求めて世界各地を飛び回ります。
相棒はパリ一番の精肉店の店主イヴ=マリ・ル=ブルドネック氏。
ふたりで20カ国、200を超えるステーキハウスを食べ歩き、肉牛のベスト10を決定。

料理人じゃない私は、牛の種類や調理法を聞いてもピンとは来ません。
それでも、フランス、アルゼンチン、日本、スウェーデン、スペイン、イタリアなど、
各地の牛がどんな場所でどんな飼料を与えられて育っているのか、
それがどのように料理されるのかを見るのは興味深く楽しいものでした。

『フード・インク』(2008)で逆三角形の鶏に目が点になった私。
牛も鶏同様、売れる部位が大きくなるように改良されることがある。
草食動物なのに穀類をばんばん与えられている牛に疑問を感じるものの、
日本からランクインしている神戸牛と松阪牛はやはり美味しそうで、
“築地さとう”のステーキにはよだれが出そうになりました。

牛肉の見分け方のわかりやすい説明もあります。
タイへ行ったとき、「オーストラリア産WAGYU」の表示に笑いましたが、
スウェーデン産和牛の章のおかげで和牛の謎がちょっぴりわかったような気が。

自分が育てた肉牛をランキングされるなんて嬉しくない人もいるでしょうが、
監督はとにかく牛肉に愛情を持っているので、
イマイチな場合でも貶める言い方はしません。そこが好感の持てるところ。

私はもともと豚肉がいちばん好きだし、年を追うごとに牛肉を食べるのは辛くなりました。
このさき一生牛肉を食べられなくてもかまわないと思っていましたが、
こんな作品を観ると、極上のお肉を少しだけ、いただきたくなります。

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