夜な夜なシネマ

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『シティ・オブ・ゴッド』

2004年01月12日 | 映画(さ行)
『シティ・オブ・ゴッド』(原題:Cidade dos Homens)
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:アレシャンドレ・ロドリゲス,レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ,
   セウ・ジョルジ他

ブラジル・リオデジャネイロ郊外の「シティ・オブ・ゴッド(=神の街)」と呼ばれる街が舞台。
公営住宅が新設されたこの街には、
放火や洪水で住むところをなくした人びとが集まってくる。
その名前とはまったくかけ離れたスラム街だ。
1960年代後半から1980年代初頭までの時期を3つに分け、
カメラマンを夢見る少年ブスカペの目を通して語られる。

まずは60年代後半、3人組のギャングの物語。
神の街を通る車を襲っては金品を巻きあげていたチンピラ3人は
もっと大きく稼ごうと、モーテルを襲撃することに。
これはチンピラのリーダーの弟、リトル・ダイスの案だった。
しかし、自分の案にもかかわらず、リトル・ダイスは見張り役に仕立てられる。
おもしろくないリトル・ダイスはモーテルの外で騒ぎを起こし、
罪は兄たちに着せて、自分はまんまと金を盗んで逃げだすことに成功する。

そして、70年代へ。
リトル・ゼと改名したリトル・ダイスは街の独裁者となる。
ちびっこギャングも横行し、街には暴力とドラッグが蔓延している。

70年代後半になると、
リトル・ゼに言いがかりをつけられたバス運転手が
愛する人を次々に傷つけられる。
猛然と立ち向かうバス運転手とリトル・ゼをめぐって、
街は二分化され、権力争いが巻き起こる。
戦場と化す神の街。

実際にこの街で育ったパウロ・リンスのベストセラーが原作。
出演している子どもたちも、実際にスラム街に暮らす子どもたちだそうです。
サンパウロ生まれのCM監督の3作目。
とにかくスゴイ映画です。
私は完全にKOされ、ロードショーで観なかったことを心底後悔しました。

犯罪が当たり前のこの街では、自分が生きるためなら良い悪いもないわけで、
子どもが子どもに銃を向け、ボスから言われれば友だちも殺す。
そんな見たくないタブーもさらりと見せつけられます。
でも、暗くない。パワフルなこと、このうえなし。

テンポよく、パワフルに、ユーモアもまじえて、
こんな映画を年始めに観てしもたら、あとはどうしたらええんでしょう。
早くも今年観る映画のベスト1になりそうな気が。
脳天直撃された感じです。スゴイ。

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