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『ジャスト6.5 闘いの証』

2021年02月22日 | 映画(さ行)
『ジャスト6.5 闘いの証』(原題:Metri Shesh Va Nim)
監督:サイード・ルスタイ
出演:ペイマン・モアディ,ナヴィド・モハマドザデー,ファラッド・アスラニ,パリナズ・イザディアール他
 
休みを取った日、京都シネマで3本ハシゴの1本目。
 
警察と麻薬組織との攻防が描かれたイラン作品。
本国イランで大ヒットを飛ばしたそうです。
ポスターを見るかぎりでは、目の据わった兄ちゃんと汚職警官との対決なのかと思っていました。
実はこの兄ちゃんこそが麻薬組織のボスで、どうしようもないクズだった(笑)。
 
薬物撲滅警察特別チームを統率するサマドは、相棒のハミドと共に次期署長候補。
下っ端の売人ばかりを捕まえていても埒があかず、早く組織のボスを挙げたい。
少々強引な手法を使って次々と関係者を連行すると、最終ターゲットの首領ナセルに迫る。
 
ナセルの自宅に乗り込んだところ、ナセルは大量の睡眠薬を服用して風呂場で意識を失っていた。
病院へ搬送し、回復を待って拘留するのだが……。
 
いろいろとビックリ。
こんな話、当然賄賂を受け取る警官が出てくると思っていたら、
サマドはナセルの取引にいっさい応じようとしません。
こういう正義感あふれる警官の姿が大ヒットに結びついたのかなぁ。
 
ヤク中の人たちが住んでいる場所にまずびっくり。
今まで観たことのあるスラム街とは全然違う。
建物と呼べるものはどこにもなく、大きな土管が彼らの家。
そこでひたすらクスリを吸ったり打ったり。
死んでいる人がいても誰も気にしない。
 
さらに驚いたのは、留置場のありさま。
立錐の余地もないほどの数の犯罪者が同じ部屋へ押し込まれます。
そしてそこにいる者たぶん全員、麻薬を売ったり買ったりした人。
親が捕まると、ほかに身寄りのいない子どももそこへ一緒に放り込まれる。
親は罪から逃れたくて、子どもがクスリを買ったことにしようとする。
サイテーです。そんな親でも子どもは慕う。
 
こんなにも多くの人々をヤク中にした責任を麻薬組織は取るべき。
そう考えるサマドは、ナセルの罪を追及します。
ナセルのクズっぷりに腹が立ちますが、家族思いであることは確か。
ほんの少しだけ同情するシーンもある。
 
最後にまた驚いたのは、死刑の処し方。
これはもうなんというのか、死刑ではなくて処刑です。
10人ぐらいが一度に横並びに絞首台に上げられて、あっというまに吊るされる。
顔に覆いをかけられることもなければ、懺悔する時間もない。
整列、はい、吊るすよ、終了、みたいな感じで。
 
初めて観るタイプのイラン映画でした。驚愕。
タイトルの意味は全然わからないんですけど。調べてみよっと。

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