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『さらば、わが愛/覇王別姫』

2003年08月21日 | 映画(さ行)
『さらば、わが愛/覇王別姫』(原題:覇王別姫)
監督:チェン・カイコー
出演:レスリー・チャン,コン・リー,チャン・フォンイー他

夏休み中はやはりビデオレンタル店に足を運ぶ人が多いのか、新作の貸出率が高い。
そんなわけで、今月はなんとなく旧作中心、
「観損ねていたものを100円レンタルで借りまくる月間」になってます。

1993年の香港の作品。
激動の中国を舞台に、京劇を取りあげています。

京劇団に預けられた子どもたち。
いつか立派な役者になることを夢見ながら、
師匠に鞭打たれて厳しい練習に耐えている。

そんな劇団にやってきたまだ幼い蝶衣。
遊女である彼の母は子どもを育てるのに限界を感じ、
やはり劇団にわが子を預けにきたのだった。
母と離れ、周囲になかなか溶け込めずにいる蝶衣に
団員のリーダー格である段小楼は優しく接する。

こうして本当の兄弟のように育ったふたりは
やがて京劇界のトップスターとなる。
段小楼は男役、蝶衣は女形として。
いつしか蝶衣は段小楼に恋心を抱くようになる。

蝶衣の思いを知ってか知らずか、段小楼は遊廓通い。
遊廓の一番人気である菊仙と恋に落ち、ふたりは結婚することに。
3人をめぐる愛憎劇がはじまる。

3時間近い上映時間のなかで、
まず袁世凱によって中国北東部が支配されていた時代が描かれます。
そして日本軍による侵略、終戦へ。
さらには中国国民党の天下の時代を迎え、やがて共産党による文化大革命が。
本当に、「怒濤の」という言葉がぴったりで、
中国ってすごい国やなぁと思うことしみじみ。
中国人にパワーがあるのはもっともだと思うのです。

作品中、京劇をたっぷりと観ることができます。
蝶衣と段小楼が演じる京劇は「覇王別姫」。
司馬遼太郎の小説にもある「項羽と劉邦」に登場する
西楚の覇王と、劉邦の愛妃である虞妃の物語。
「四面楚歌」という言葉の由来の話ですね。

香港のトップスターであったレスリー・チャンが妖艶な蝶衣を演じています。
ゲイ疑惑があっただけに(疑惑じゃなくて事実だったけど)
段小楼と菊仙を見つめる目が演技だとは思えないほど。
今年4月に飛び降り自殺。
古尾谷雅人の自殺もショックだったけど、
レスリーのニュースには呆然としました。合掌。

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