夜な夜なシネマ

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『捜査官X』

2012年10月26日 | 映画(さ行)
『捜査官X』(原題:武侠)
監督:ピーター・チャン
出演:ドニー・イェン,金城武,タン・ウェイ,ジミー・ウォング,クララ・ウェイ他

最初は珍しかった「TSUTAYA独占レンタル作品」も今は乱発気味で、
全作制覇するのはとても無理になってきたため、
最近は本当に興味を惹かれたものだけを観ています。

本作は『君さえいれば 金枝玉葉』(1994)の監督作品であり、
いつぞやそのビリヤードの腕前に驚いた金城武を久々に見たくなり、レンタル。
謎を匂わせる邦題が付いていますが、原題はシンプルに『武侠』。
ミステリーというよりは本格派のカンフーアクション映画です。

1917年、雲南省ののどかな村。
旅人とおぼしき人相の悪い二人組がメシ屋で酒を飲んだあと、両替店に押し入る。
たまたまその場に居合わせた紙職人のジンシーは、
しばらく扉の陰に身を隠していたが、意を決して強盗に体当たり。
もみ合いになった末、強盗は二人とも死に至る。

この強盗が指名手配中の凶悪犯であると判明し、
偶然とはいえ、腕に覚えもないはずのジンシーが成敗したことで村は沸く。
ジンシーはもちろん正当防衛を認められ、知事は名誉を授ける。

しかし、捜査を担当することになった刑事のシュウは、
ジンシーの動きが武術の達人のそれにちがいないとにらむ。
検死の結果からも、強盗が偶然死に至ったのではなく、
ジンシーがあきらかにそれを狙っていたと考えるのだが……。

金城武演じるシュウが、両替店で発見した足跡やモノから、
ジンシーの動きを想像するシーンがとても面白いです。
抜けた歯が瓶に飛び込んだところなど、お見事。
達人には虫すら寄ってこないという話は「ホンマか!?」と疑うし、
達人なら避けるはずと鎌を振りかざすところはやりすぎですが。

ジンシー役のドニー・イェンが見せる、キレ味抜群のアクション。
北京の体育学校で武術を学んでいたときはジェット・リーと同期生だったとのこと。
温厚な人柄を感じさせる表情とアクションの鋭さが対照的。
この人は善人なのだろうか悪人なのだろうかと最後まで悩まされますが、
悪いことをしてきた人も変われる、そう信じたくなる顔です。

ジンシーを信じ支えつづける妻に『ラスト、コーション』(2007)のタン・ウェイ。
寂しげで健気で強さも見せる彼女はとても素敵です。
「シュウさんは優しい人だけど、自分でそのことに気づいていない」という彼女の台詞は、
その後シュウが取る行動に現れています。

適当に借りたわりにはかなり楽しめるアクション映画でした。
金城武はやっぱり○。

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