夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『机のなかみ』

2008年03月25日 | 映画(た行)
『机のなかみ』
監督:吉田恵輔
出演:あべこうじ,鈴木美生,坂本爽,清浦夏実,
   踊子あり,内藤トモヤ他

TSUTAYA DISCAS、月額1,974円のプランでは
レンタル枚数は上限8枚で全然足らん。
スポットレンタル(月額とは別に支払ってレンタル)、しまくり中。
レンタル枚数が多ければ多いほど割引率が高くなり、
5枚以上なら13泊14日というのは嬉しい限り。

昨春公開された拾いもの。
吉本興業のピン芸人とミス週刊少年マガジンが主演です。

同じ時間に、複数の登場人物の身に何が起こっていたか、
種明かしのように描かれるのは、
『運命じゃない人』(2004)と同じ手法ですが、
この手法で撮られた作品にハズレなしかも。今のところ。

フリーターの馬場は、高校3年生の望の家庭教師となる。
母親のいない望は、父親から溺愛されており、
その父親から「くれぐれも変なことにはならないように」と釘を刺されるが、
望のあまりの可憐さに、馬場はアホほど妄想を膨らませる。

望の成績では志望大学の受験は無謀かと思われたが、
馬場が家庭教師を始めてからというもの、成績はうなぎのぼり。
しかし、受験結果は不合格。
打ちひしがれる望をベッドに押し倒し、服を脱がせる馬場。
と、その瞬間、父親がドアを開けて……。

ここまでが約45分。そして、ここから話は時間を遡って、
同じ時間に望がどうしていたか、何が起こっていたかが描かれます。

この最初の45分はひたすら苦痛。
何がって、あべこうじ演じる馬場のうざいこと。
勘違い野郎もいいとこで、最後まで観る自信がなかったほど。
ところが、そこまでうざくする必然性があったんですね。
後半を観て大納得。
この前半の腹立たしさがあったからこその面白さ。

後半では、望の学校生活を中心に、
彼女の行動や気持ちが明らかにされていきます。
前半の馬場と一緒だったシーンを思い返してみれば、
あのときの彼女の表情はそういう意味だったのかとか、
あのときはこんなことがあったのかなど、
なるほどとうなずかされることばかり。

望の過ごした時間がすべて明らかにされると、
父親がドアを開ける、問題のシーンから再開。
あれだけうざかった時間はどこへやら、
最後は思わずもらい泣きしてしまうぐらい、
切ないラブストーリーと化すのでした。

『運命じゃない人』が座布団3枚なら、
これは1枚半、差し上げたい。

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